明日に向かって捨てろ!!
~ボーズの脱アーカイブ宣言~

第42回 『ハードディスクレコーダー余波 その1』



── おひさしぶりです!
ボーズ まあなんやかんやでだいぶ経ちましたよ。
── はいはい、要らないものも
だいぶ溜まったようですけれども。
ボーズ この連載のために
捨ててないものとかあるからね。
「あ、これ、連載でやってから捨てよう」
とかね。
── 本末転倒じゃないですか。
ボーズ 本末転倒なんですけれども。
── それじゃあ、さっそく‥‥
ええと、どこからいきましょうかね?
ボーズ まずね、この半年の大きな動きとしては、
とうとう、これを買ったんですよ。
ハードディスクレコーダー!
── 遅っ! やっと買ったか!
ボーズ ようやく踏ん切りました。
最新デジタル家電ですよ。
── ていうかね、
いきなり言わせてもらいますけどね、
その隣にビデオが
さんざん積んであるっていうのはどうなの?
ボーズ だからね、それなの。
── 「それなの」じゃないでしょ。
ボーズ 取り込んで、
(DVDに)落として、みたいな。
だけど、落とす作業がけっこうたいへんでさ。
── じゃあなに? このへんのビデオは
まだDVDに録りきれてないやつ?
ボーズ いや、録った。
録ったけど置いてあるみたいな。
── ダメじゃん、それ(笑)。
ボーズ なんかこれ、捨てるのもけっこう恐い、
なんか不安、みたいな感じで。
── じゃあほんとにものが増えただけじゃんか!
ボーズ それちょっとおかしいよね?
── おかしいよ。
ボーズ おかしいんだよねえ。
それがいまのいちばんの問題。
── まあ、でも、全国のご家庭で
同じような現象が起こってるんでしょうけど。
ボーズ そう。これみんなやってると思うんだけど。
着々と新アーカイブはできてるんですけどね。
── あ、このへんに
『ふぞろい(の林檎たち)』とかあって。
ボーズ やってますよ! 着々と!
やってるんだけども‥‥。
── 元のビデオを捨ててないという。
ボーズ というパターンにおちいってるね、いま。
なんだろうね? 盤面とか印刷して、
表紙とかつくってちゃんとしたら、
元のビデオは捨てれるのかな?
── いや、それ、手間と時間が
延々と増えていくだけだから。
ボーズ だよねえ。でもさあ、
やっぱりこの状態だと、
けっこうしょぼいっていうか
信用がおけない感じしない?
── ははははは。
ボーズ なんかこの状態がさあ、
完成形とは思えないっていうか。
せっかくやったんだけど。
── でもさあ、元の手書きビデオだって、
信用おけるかっていったら
ぜんぜんしょぼいでしょ?
ボーズ そうなんだけど、
手書きビデオと手書きDVD比べたら、
DVDって軽い感じがするんだよ。
「大丈夫? こいつ」って。
ビデオのほうが安定感ない? まだ。
── それってなに?
ボーズ なんだろうね?
── 実績?
ボーズ あ、実績だね。
── 「5年間ずっと部屋にあって、
 消えなかったぞこいつは!」っていう。
ボーズ そうね、そうね、
ずっと消えなかったし、
まだぜんぜん見れるし。
それに比べると
こいつら(DVD)はまだ‥‥。
── 新参者で、いつ辞めるかわかんない
バイトみたいなもんだ。
ボーズ そうそうそうそう。
「なんかブルーレイとか言ってない?」
みたいな。
(ブルーレイ
  =次世代DVD候補規格のひとつ)
── はははははは。信用がおけない、と。
ボーズ そうそうそう。
このペラペラはまだ信用できない。
── 何年か経つと実績ができて
平気になるのかなあ。
ボーズ なるのかねえ?
── うん。「7年消えなかったし」
っていうことになれば。
でも、そうするとまあ‥‥。
ボーズ つぎの新しい装置が出るんだよ!
── そうそうそう(笑)。
ボーズ じゃあ、ずっとなんかしらの
アーカイブを複数持ち続けるのか?
── ていうかね、これはちょっとひどいよ。
だって、たとえば
『ガキの使い(やあらへんで!)』って、
メディアが3種類あるってことでしょ?
ボーズ ん? ああ、そう。
── 「そう」じゃないでしょ。
ボーズ 最初にテレビを録画したビデオがあって‥‥。
── オフィシャルのビデオがあって‥‥。
ボーズ DVDがある、と。
── ていうか、ちょっとこれ写真撮っとくわ。
ほんと、ちょっとあきれるよ。
ボーズ ははははは、これは変だよなあ。
ハードディスクレコーダーを買って、
3つに増えました!
── 増えちゃダメなんだってば。
だって、中身はもう、
さんざん観てるわけでしょ?
ボーズ 観た観た。だから、
「中身はもう観ない!」だって(笑)。
── 落語みたいなこと言っててどうする。
これ、いちばん古いのは何年の?
ボーズ 『ガキの使い』は放送が
はじまったときからだいたいあるから‥‥。
あ、これは「1993年」って書いてあるね。
── 1993年‥‥。え! ってことはなに?
12年持ってたってこと?
ボーズ え? うそ。‥‥あ、そうだ!
このビデオ、12年モノだ(笑)。
── 部屋の棚の、手の届く、いい場所に‥‥。
ふたり 12年(笑)!
ボーズ ヤバい、ヤバい(笑)。
── すっごいなあ(笑)。
ボーズ おかしいよね、ちょっとね。
── これ、オレ、捨てようか?
ボーズ あははははは、
連載の本来の趣旨に戻って。
── そうそうそう。
「けっきょく捨てないコーナー」
とか呼ばれてるしさ。
ボーズ うん。いいかもしれない(笑)。
うん、いいと思う。いいと思う。
── 何度も自分に言い聞かせるように。
ボーズ いや、いい! 捨てる!
これ、持って帰って!
── もう事務所でぼーんと捨てますよ。
ボーズ うん。捨ててもいいし、
みんなで観てもいいよ?
── 観ないって! きりがない(笑)!
ボーズ ふつうにおもしろいからね(笑)。
じゃあ、これ、お願いします!
── 12年間、保存し続けたビデオ、
おあずかりしました!
事務所でポーンと捨てますよ。ほんとうに。
ボーズ お願いします。

※しかし、そのビデオは、現在、
 まだ糸井事務所に存在しているという‥‥。
 いや、なんか捨てられなくて‥‥。

~担当者よりお知らせ~

「そのビデオ、捨てるならください!」
というメールをたくさんいただきました。
しかしながら、
「捨てるものを、売ったりあげたりしない!」
というのは、連載をはじめるにあたり、
ボーズさんとぼくが決めた
いちばん最初の決めごとであります。
それを揺るがすわけにはいきません。
このコンテンツの根幹であります。
まことに申しわけありませんが、
このコーナーでテーマにしたものを
売ったり差し上げたりということはできません。
なにとぞご了承くださいませ。

永田

(続きます!)

電気グルーヴとかスチャダラパー

スチャダラパーと電気グルーヴが
コラボレート! なんと! マジかよ!
ありそうでなかった組み合わせに
関係者一同「ほんと?」と半信半疑のなか、
なんとがっちりアルバムまでリリース。
ゆるめるべきところはゆるめ、
締めるべきところは締めるという
名曲珍曲混在の全13曲!
味写な豪華ブックレット、ついてます。 
定価 :¥3,360(税込)
発売日:2005/6/29

ボーズさんへの激励や感想などは、
メールの表題に「ボーズさんへ」と書いて、
postman@1101.comに送ってください。

2005-07-11-MON

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