OL
ご近所のOLさんは、
先端に腰掛けていた。

vol.77
- ultra quick mailing list-


増井さんと高林さんとQuickML

今日はですねー。
超お役立ちコミュニケーションツール
ご紹介してみます。

今日のツールは感動です。
今すぐ使える!
「センタン」の話みたいに
5年後、10年後…っていうんじゃなくて
ほんとにほんとに身近で、
そしてうんとお役に立つツールだと思います。
いまイチオシです!

しっかし、
こんなに便利なものばかり
毎日考えてる研究者ってどんな人?
って、またまた私の好奇心がむくむくっと
湧き上がってきて。
気がついたら、ツールの制作者を
訪問して直撃取材してました(笑)。
その人物たち。
増井俊之さんと高林哲さんのことは、
もう書くことが多すぎるので、あとでまた。
今日は、そのツールに注力しなくちゃ。

そのツール(ソフトウェア)は、
QuickML(くいっくえむえる)
と言います。
フリーソフトウェアとして公開してもうすぐ1年。
ユーザ数は、2万人まであと少し。
(重複を除くと16,500人くらいだそうです)

これは、その名の通り、
メーリングリストを作成するためのツールです。

な〜んだ、と思わないでください。
このQuickMLは、
今までのメーリングリスト作成ソフトよりも
何倍も簡単で、簡単で、涙が出ちゃうくらい
簡単な、制作者の増井さんと高林さん曰く、
「超お手軽使い捨て型ソフト」です。

それにしても、
増井さんと高林さんが関わっている研究は、
ひとひねりふたひねりおもしろいものが多い。
「なんとかラクしたい!」
という強い動機でもって
ラクしないでマジメにプログラミングしている
というムジュンをはらんだものもあります。
あ、これはこんど、こんど。

メールがしたいからメールする

メーリングリスト作成ツールには、
Webベースの「FreeML」とか「eGroups」とか
便利なツールもありますよね。
使ってる人も沢山いると思います。
じゃあ、QuickMLがそれらとどう違うのかを
高林さんに聞くと、

「本質的には
 普通にメールを送る感覚で
 メーリングリストを作れる

 というところがQuickMLの利点だと思います。

 やりたいことはグループにメールを送ることなのに、
 そのために Webブラウザを立ち上げてメーリングリストを作る、
 という作業がはさまるのは変じゃないですか。
  みんなにメールしたい
  ↓
  WebでごにょごにょしてML作成
     ↓
  みんなにメールする

 という流れは
 余計なものがはさまっている感じがしませんか?
 メールがしたいのに何でWebしないといけないの?

 QuickMLなら
  みんなにメールしたい
     ↓
  みんなにメールを送る (MLはついでに作成)
 という流れになります。
 余計なものははさまっていません。
 メールがしたいからメールする。
 それだけでオッケーです。」

すごくわかりやすいし、これを聞いたら
なんだか楽しくなってきました。

整理整頓がラク

で、QuickMLを私も早速使ってみると、
こんなに便利なものはない!と実感。
周りの反響もひじょうによくて、
雑誌の連載コラムでも紹介するのですが、
「ほぼ日」でも急遽紹介することにしました。

私は今や、メールといえば、このQuickML中毒患者です(笑)。

★便利なところはなんといっても、
複数の人にメールを送るときに
「えっと、この件は誰と誰と誰に
送ればいいんだっけ?」と
アドレスをその都度考えて
コピーペーストする手間が省ける。

★それから、もっといいのは、
案件ごとにメールの整理がしやすくなるところです。

たとえば、すごくプライベートに作ったMLで、
[GCkanbukai]という謎のMLがあるのですが、

[GCkanbukai: 1]次のワインのことですけど…。
[GCkanbukai: 2]Re: 次のワインのことですけど…。
[GCkanbukai: 3]さぬきうどん食べませんか?
[GCkanbukai: 4]Re:さぬきうどん食べませんか?
[GCkanbukai: 5]芝のおいしいラーメンやにいく人〜。
[GCkanbukai: 6]Re:芝のおいしいラーメンやにいく人〜。
    ・
    ・
    ・

メンバーからこのML宛てに
メールが届くたびに、上のように、
タイトルが番号順に並んでいきます。

現在メンバーが約15名いる[GCkanbukai]という
メーリングリストの中で、
いろんな話題が降っては湧き、湧いては消え、
している様子がよくわかりますね。ふふふ。

なんのことはない、
食いしん坊たちの連絡網なんですけど(笑)、
[GCkanbukai]というMLメンバー内での動きが
話題に関係ない人にも入ってくる。
「うどんは行くけど、ラーメンはやめとく」
という人は、ラーメンは受け流しておけばいいし、
逆に「たこやきどうですか?」という誘いもできる。
そんなときは、"サブドメインML"を作るともっと便利。

[takoyaki@GCkanbukai.quikcml.com]
[wine@GCkanbukai.quickml.com]
[udon@GCkanbukai.quickml.com]

のようにしておけば、さらに分類しやすく、
検索もしやすい。

それから、フィルタリング機能のついた
メーラーだったら、「GCkanbukaiで分類してね」と
設定しておくと、GCkanbukaiのメールを受信すると
ずっと1つのフォルダの中に入るようにできます。
こういうふうに使うと、宴会メールだけじゃなくて、
例えば、仕事メールにも超便利なわけです。
案件ごとにMLを作って、フィルタリングしておく。
すると、ごちゃごちゃだった受信箱が
すっきり片付いていくわけです。

関係ないメールが入ってくるのは、
うっとおしいわ!という人には
はなから、メーリングリスト参加は
オススメできませんけど…。
(でも使ってみてソンはないとは思う)

それから、こういうのは、
メーリングリストの達人の方々には、
基本的なことなので、
今さら〜っていうところでしょうけど。

でもお手軽なMLって今までなかった。

メーリングリストといえば、
けっこうUNIXの世界で、
サーバー管理者がいて、
その管理者に「お願いする」という形で、
「作ってもらう」「使わせてもらう」
っていう感覚だったのでは?

ところがこのQuickMLったら、
作りたいと思ったら、ほんとにすぐ作れるし、
メンバー間でも、システム上の上下関係がなくて
(使うとよくわかります)
退会したい、復帰したい、
アドレスを変更したから古いのは削除したい、
あるいは新しい分科会を作りたい、とか、
誰でもいつでもアクションを取れるところがすごいんです。
「自由で平等そして博愛」。
フランス国旗みたいなソフトウェアだなあ。

かと言って、MLにかたく縛られて、
変にグループ意識なんて持つのじゃなくて
(お望みとあらば持てますがね)
退会だって自由だし、作ったり、
消えたり(自動消滅します)も簡単だから、
「ゆる〜いつながり」という感じです。

MLでココロに変化が…。

使っているうちにますます
おもしろいなーと思ってきたのは心理的な側面です。

MLを作った途端、「ありがとう!」「便利!」
「うれしい!」と喜ぶ人が多いということ。
(すごく簡単でそんなタイソウなことはしていないのに)
そして、MLメンバーのメールの数が増えている。

つまり、これは、システムをちょっと変えただけで
メールを書く「心理」が変化している、という
おもしろい現象のようです。

「ボクは今、何々メーリングリストのメンバーだ」
「あたしの意見をメンバー全員が読んでいる」
「他の人がどう考えているかわかっておもしろい!」
みたいなことが、例えば、ウェブの掲示板に
行かなくても、メールで形成されているわけです。

活動に名前をつけることによって
極小のコミュニティが動きだす、という
ところでしょうか。

このあたりの研究ってあるかなあ。
「コミュニケーション形態の変化によるメール心理の変化」
とかそういうテーマ、やっている方いたら
また教えてください。

ちょっとひといき。
イモムシくんベスト イモムシくんイマイチ
私が撮った、高林さんの「イモムシくん」です。
(クリックしてね)


イキサツと使い方とgNくん

さて、なぜ私がQuickMLを知ったかという
イキサツと、簡単な使い方です。

ここのコラムでももうお馴染みの、
最近穴を堀り続けているという(埋蔵金か?)
LinuxプログラマーのgNくんから、
目黒権ノ助坂の「太湖飯店」で
ごはん食べよう!というメールが
このQuickMLに載ってやってきたんです。

From: gN <gn@aaa.org>
To: 2002@taiko-hanten.quickml.com
Cc: mohri@iii.org, marsha@ttt.or.jp,
hal@eee.co.jp,yasutaka@ccc.org
Subject: [2002:1] Taiko Hanten

ML: 2002@taiko-hanten.quickml.com
新メンバー: gn@aaa.org
新メンバー: mohri@iii.org
新メンバー: marsha@ttt.or.jp
新メンバー: hal90@eee.co.jp
新メンバー: yasutaka@ccc.org
... のメーリングリスト。
--

--
ML: 2002@taiko-hanten.quickml.com
使い方: http://QuickML.com/

<2002@taiko-hanten.quickml.com> のメンバー:
gn@a...
mohri@i...
marsha@t...
hal@e...
yasutaka@c..
(もちろん、全部仮の名前やアドレスです)

うわっ!こりゃーなんだ〜?
って思って目をこすってよくよく見ると
私は[2002@taiko-hanten.quickml.com]
というメーリングリストのメンバーに
”すでに”登録されているというわけです。

これは、CC: に入っているアドレスの人と
From: の、送った本人がメンバーである
[2002@taiko-hanten.quickml.com]という
メーリングリストが出来たよ!
というお知らせだったわけです。

つまり、gNくんが「メーリングリストを作る」
というアクションを起こしたので
QuickMLのシステムから、
上のメールが自動作成され、
メンバー全員に

「あなたは[2002@taiko-hanten.quickml.com]の
メンバーになりましたよ」

というお知らせが来た、というわけです。

この流れ。
まとめると、

(1)メーリングリストを作りたい。
    ↓
(2)
To:好きな名前@quickml.com
From:自分
CC:メンバーのアドレスを全部(最大100人まで)
と送る。
    ↓
(3)メーリングリストができる。
    ↓
(4)メーリングリストで楽々メール生活。

やることはほんとに、
(2)の「送る」だけなんです。

追加したい人がいたら、自分がメールを出すときに
CC: に新しいアドレスを加えます。
退会したい人は「退会します」とかいうタイトルで
「空のメール」を送るだけです。

1ヵ月間、だ〜れもMLに投稿する人が無いと、
QuickMLから
「このメーリングリストを消滅しますよ〜」
と、お知らせメールがメンバー全員に届き、
そのあと24時間の猶予があって、
いよいよ、というか、あっさりと、
MLは自動消滅します。
これが制作者のいう「使い捨て感覚」な
ところでしょう。

auやH"携帯メールにも使えます。
それから、MLの規模は100人までです。
何万人も扱うようなのには向きませんので
ご注意を。

  ・ ・  ・ ・  ・ ・  ・ ・

それで、
目黒権ノ助坂「太湖飯店」で
めちゃくちゃおいしい台湾料理を食べながら、
gNくんに、
「あのメーリングリスト、簡単でいいねー」
と話していたら、

「あー、じゃあ、増井さんと高林さんに会う?」
という話になって、五反田御殿山の
ソニーコンピュータサイエンスラボラトリ(CSL)
への訪問が実現することとなりました。

ふぅ〜!いい流れだったなあ。
ナイス’ンスムース。
このQuickMLのように超クイックだった。
でもこの記事は長くなってしまった。

詳しいことは、http://QuickML.com/
へ行ってみてください。

それからそれから、
「ぜひ、いろいろ試してみてください」
と、増井さんからのメッセージでした。

あなたも今日から楽々メール生活。
では〜。

イモムシくん、再登場。
ミノムシくん1 ミノムシくん2 イモムシくん撮影現場 哀愁のイモムシくん
imomushi-kun by S.T.


marsha,
Special thanks to Masui-san, Takabayashi-san (Sony CSL Inc.) and gN-kun (FSIJ)

2002-09-26-THU

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