「この人に教えてもらったら間違いない。」
という人が世の中にいます。
私のいいもの探しは、
こういう人から提供されたネタが多いんです。
『沁園』というお茶屋のおばさんもその一人。
観光地にありがちな、
ぼったくり茶屋が多い中
14年前に知り合った時から
お茶も安全でおいしい、いいものを
適正価格で扱っている店です。
おばさんは、自分の食事にも気を使い
お店で自炊をする、まず外食をしません。
こんな人が合格点を出す外食ってあるのか?
私は、暇に飽かしてこの店に入り浸り
いろんなことを聞くんです。
お店で販売しているお茶は全部試飲できますよ!
おばさんにお茶を入れてもらえたらラッキー。
素敵な茶器もあり。
大当たりモノでは、
台湾人が朝ごはんによく食べる、
もち米で作った巨大なおむすび。
具は、揚げ麩と台湾のたくあん、肉のでんぶ。
形は、三角でも丸でもなく太く長い楕円形。
白いもち米が一般的で、
時にこれに黒米を混ぜて色が白にうつって
紫米と名付けて売っているのもあるけど
おばさんに習った店は、オール黒米。
はっきり言って、粘りゼロの米だから
握ってもくっつかない。
それを無理に握って売っている店を
紹介してもらいました。
もち米の一般的なタイプでも
日本のおむすびとは全く別物で
おむすびの具は
ガリッサクッの揚げ麩
パリッのたくあん
カスッカスッの肉でんぶ
という食感の宝庫。
これが、香ばしい黒米に包まれているんです。
店は、テレビと神棚があり、
山下清のようなおじさんとおばさんがいて
そのままお茶の間になっています。
開けっぴろげなのです。
写真はお茶の間感薄めですが
ここでくつろいでいます。
「うちのお店もいつかこんな風に」
と、わたしも企んでいますが、
スタッフに「自分でやれよ」
と言われるのがオチだろうから
まだ秘密にしています。
でも、こんな感じにしていたら
客がフッと懐に入ってきてくれて
素敵なお店ライフになりそう。
やってみたいのです。
台湾のおむすびの話にもどります。
握り方も日本とはだいぶ違います。
台湾人は、日本のように熱いごはんを
我慢して握ったりはしません。
タオルをビニールに入れたものにご飯をのせ
タオルごと力一杯握る。
出来上がりはビニール袋に入れてくれるので
食べて形が崩れたら、
ビニール袋の上から自分で押さえつけて
形を整えつつ食べるのが台湾風。
黒光りする、強気のオール黒むすび。
そんなだけど、とても美味しいんです。
特にこのお店は、
わざわざ黒豆で作った豆腐や豆花もある。
お茶の間で売ってるんで、朝に限らず
おじさんとおばさんが
起きてから寝るまで売ってくれます。
黒豆で作っているんで灰色です。
『沁園』のおばさんは、他にも綺麗な味のする
安い麺を教えてくれました。
この話はまたどこかで。
フルーツのような掘り立ての季節の筍を
おすそ分けしてくれたりと、
オススメはなるべくシンプルな味、
普通のアイテムで
どれもちょっとだけ気が使われている。
同じ茶葉で、同じ茶器でも
おばさんの淹れるお茶が格段においしいのも、
ちょこっと気が使われている、
このセンスからきていると私は睨み、
『沁園』の看板商品である
高山茶や凍頂烏龍茶より
台湾の紅茶や茶梅を
我が店でも売らせてもらっています。
と言うのも、
ここにおばさんのセンスが漂っているからです。
うちのお店にある沁園のお茶の様子です。
電話:02-2391-2226