最近、「電子花車」絡みの仕事をしました。
「電子花車」とはデンヅーホァーチャーと読み、
台湾の派手なステージトラックです。
電気ビカビカの、思いつく限り飾りまくった
ステージ機能のついたデコトラ。
なんの為に使うか? というと
お寺のお祭り(神様の誕生日)や結婚式、
お葬式に使います。
お祭りとお葬式。
対極ですが、間違いなく両方に使われます。
昔は葬式でも、
ストリップも泣き女と一緒に出ていたとか。
1980年代一番ストリップが盛り上がって、
その後、90年代から取り締まりが
厳しくなり減っていきました。
ちなみに、
ストリッパーは、業界では「solo」と言われ、
その単位はなぜか「粒」。
3人のストリッパーは3粒のsoloというんです。
寺の前でやる廟會は、
お寺にお祭りしてある神様の1000何歳とかの誕生日で
神様を喜ばす賑やかしに登場。
エレクトリック演歌みたいなのを流して
電子花車の上では、
ミニスカートの厚化粧の
おばちゃんが歌ったりします。
だいたい頭は、ソバージュヘア。
パレードがあればその先頭を切るのが電子花車。
女子西楽隊(女性の鼓笛隊)と
一緒に練り歩くことが多い。
若くて容姿のいい農家娘が家計を稼ぐためにやる
兼業でやっていた1967年ごろから時間がたってしまい、
今はみんなおばあちゃんになっちゃった。
でもスカートは今もミニ。
見るとギョッとします。
女子西楽隊が出てきたことで、男性の鼓笛隊は
需要が減り歴史から消えたのですが
こうなってくると男性がまた出てきてもいいと思いました。
ギョッとする。ギョッとするけど、
その裏には客を喜ばせるためにという理由があった。
農村の娘も露出度を上げていかないと仕事がなくなる。
それで、しまいにはストリッパーに転身することも。
脱ぐか、やめるかという選択肢を迫られた時代もあった。
ただ、見て楽しいだけじゃない歴史も忘れてはいけない。
寺やお祝い事をしたい家の前の道路を
占拠するんで、都会では許可が降りないんです。
同じ道路法が台湾中布かれてるはずなのに
田舎は融通がきく。
発祥地が台湾の中南部というのも
田舎(中南部)のみ健在する理由。
私も真剣にこの電子花車で
結婚披露宴をやろうと
永康街(人気の街)の里長(エリアの長)に
挨拶に行ったこともあった。
「電子花車」は、
台湾らしくて台湾らしくて大好きです。
角頭音楽という、
台湾らしい音楽を出している
レーベル兼音楽イベント会社の張四十三社長が
この「電子花車」でフェスをやるって言うんで
手伝わせてもらいました。
GoPro(軽くて小さい高性能カメラ)で
自撮りしながら、日本語で中継する。
詳しい段取りの説明も
当日ちょっと聞いただけ。
我ら外国人レポーターは自力で、
なんとかしたもんでした。
このフェスは、
普段は田舎にしかない電子花車を
台湾中から何十台も集めてのフェス。
場所は、なんと、台北市政府前。
ずらりと電子花車が市政府前広場に並んだ。歴史的1日〜
本当に市政府の真ん前よ。こんなこと、日本ではできるかなぁ〜?
全トラックが一斉に、
普段地元でやっている司会と
歌と踊りを披露。
中には、派手な格好で出てきたものの
おばちゃん二人が漫談している車もありました。
同時に大音量で始めるもんだから
音が混ざっちゃって混ざっちゃって。
何がなんだかわからないけど、盛り上がった。
さすがにストリッパーはなかったけど、
セクシーポールダンスがありました。
走るジープの上にポールが立っている新型ポールダンサーも、
最近の電子花車のお供。
「電子花車」台湾のサブカルの真髄です。
なぜ、観光局はこれをウリにしないのか。
都会暮らしの台北人だって
あんまり見たことないから喜んでいた。
賑やかしで出てきた、お姉さん(男)。ずれちゃったかな?
ステージを見るべく、円卓を並べ
辦桌(台湾語読みで、バンドウ)と言われる
外で作る移動厨房のこれまた台湾らしい宴会がつきもの。
金持ちになったらこれでイベントをしたい。
その願いを、張四十三社長が先にやったのです。
張四十三社長の角頭という会社の名前は、
チンピラの「アニキ」的な意味。
扱う音楽もまた台湾の地のものメイン。
原住民の歌声に誰も注目してないころから、
機材を村に持ちこんで
録音してアルバムを出していた変わり者で
CDなのに全部LP盤のような
大きいパッケージに入っている。
これは店頭でわざと
CDの棚に入らないサイズにしてある。
「必然的に面だしで置かれて
目立つから。うっしっし」by社長。
そんな、アニキ(社長)が
台湾の文化局からお金を引っ張ってやった。
ポスターには、「台湾勃起しろ!」とある。
許可申請時に警察にした説明では、
ポールダンサーを「運動員」と伝えて。
ポールダンスの図。近くで見るとすごいですね。確かに運動員!
しないでもないけど、
国民(見に来ていた人)は、楽しんだ。
フェスなんでバンドのライブもキチンとやっている。
大きな電子花車を2個くっつけて、台湾のバンドが演奏中。
ちょっとヤンキーっぽい?
力一杯オシャレしてんだけど
すればするほど垢抜けない
という生命力たっぷりな
パワフルな田舎っぺがいて
それをかっこいい文化と思う空気がある。
私が、「奇怪ねー」という本を台湾で出して
台湾を面白く客観視した時も
怒るかと思ったら台湾人は逆に喜んだ。
「ぷぷぷ。そうそう、うちらってこうなのよ」
こんな台湾人の余裕がニクイです。
うちのお店你好我好でも並んでいますよ。