HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN
台湾のまど 青木由香の台湾一人観光局 ほぼ日支所
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子供と一緒に台東へ!
その1

先日、子供孝行をするべく台東に行ってきました。
台東は、原住民が多く住んでいて
海も山も自然も文化もたっぷり。
海岸線を走るとタイの田舎みたいな雰囲気のある所です。
いつもは、海側にばかり行っていましたが、
今回はどっぷり山側へ。
いつもは民宿ですが、今回は温泉ホテルへ。
そう、台東は温泉があるんです。

私たちが泊まった鹿鳴温泉酒店は、お山の中腹。
台東駅からは車で30分くらい。
鹿鳴温泉酒店は一年中天候さえ問題なければ
気球に乗れるんで、このホテルへ。
台東は、毎年6月末からバルーンフェスがあるのですが、
それに関係なく浮ける。それで飛びついてこのホテル。

昼ごろ台東駅について
1日目はホテルでゆっくり過ごそうと
お迎えを頼みました。


ちょっとだけ遅れての到着で慌てる運転手さん。
最寄り駅である鹿野駅までは、
事前予約で日帰り湯のみのお客さんも含めて無料送迎。
台東駅、台東空港までは一人200元なので、
右も左もわからない人は便利かも〜。

ホテルまでの道のりには
緑でできたトンネルがずーっと続きます。

外で広々してるだけで何にもなくても、
子供は喜び飛び跳ねました。

ラッキーなことに早めに部屋に入れて
子供の間が持たないとアレなんで
自転車(無料)を借りました。

ホテルの外のサイクリングロードに行ってみましたが
気持ちいい下り坂があんまりにも長く続くんで、
帰りの地獄に怯えてすぐにホテルの敷地内に戻りました。
子供がいるので、敷地内は車を気にせず良かったです。

そして、お花とちょっとした野菜を自然に育てている
農園みたいなところへ。
そこを管理しているおばちゃんが話しかけてきました。
「あっちに牛いるよー。餌やってみる〜?」と
言うやいなや
ガシガシとその辺の草を豪快に刈りはじめ
「牛も豚も鹿も鶏も一緒にいるんだよ。」
とわざわざ連れて行ってくれました。



ホテルから農園管理を頼まれている人なんだけど
フレンドリーで親切で農園の植物と動物をこよなく愛す人でした。

おばちゃんが餌のやり方もおしえてくれます。

豚は顔のたるみが激しいブタブタしたブタ。
鶏は柵から漏れています。
二匹中、一匹の牛が本当でかい。
そしてこいつが草を見てすごいヨダレ。
ヨダレが風でたなびいて、
縦横無尽のレーザー光線みたいになるのを避けながら、
もう一匹の小さい牛に餌をあげたくて
わあわぁ騒いで楽しみました。


ぶたぶたしたぶた。

部屋に戻ろうとすると、ホテルのフロントで
「今から、焼き芋体験があるから行ってこい。」
と言われました。
夕ご飯まで、子供の間が持たないとまたアレなんで
時間つぶしにはなんでも行ってみる。

言われた場所は、
ルンルンした字で『焼き芋体験コーナ〜』
とあるのかと思いきや、なんの看板もなし。
ただの空き地で、焼き芋のコーチみたいなのがいました。
てっきり枯れ木でやるのかと思っていたら
「その辺から泥の塊を集めよ。」と言うんです。
私と、リアルくまモンのような
丸くてデカイうちの旦那と3歳の鼻垂れ小僧の
凸凹三人トリオに向かって、
空き地というシュチュエーションで
授業中みたいな口ぶりのコーチ。
我らも真面目にやりました。

丸っこい土の塊を集めたら、積み重ねて
中を空洞に小さなバベルの塔見たいのを作るのです。
まだ「焼き芋といえば焚き火だろ」
と思っている我々をよそに
コーチ、全然説明がない。

土団子をふわっと乗せて、どうも窯をつくるっぽい。
うまく泥を選んでいかないとばしゃっと崩れてしまう。
なかなかムズカシイ。
ヒヤヒヤしながら順番に一人一団子ずつそっと置く。
『黒ひげ危機一髪』みたいです。
コーチは「俺の背中を見て学べ」風で
コツは教えてくれません。
ですが私が置いたのを見て
「没有路!(道がない)」とか言うんです。
多分、「次の団子を置く場所がない」の意味。
荒くれ者の子供に
「あなたはあっちで勝手に泥遊び!」と参加禁止を命じ、
大人だけですっかり超集中。
ミイラ取りがミイラってやつです。


土団子焼き芋のスタート。
一応、蒔きと芋の出入り口を確保するために入り口は
ブロックで基礎工事。

こうやって積み上げる。
まだ、崩れやすいことを知らず、うちの小人も参戦中。

子供にはあっちに行ってもらい、
やっとここまでたどり着いた!

最後の1団子を置いた瞬間に崩れた
2回目の経験を生かし3回目で成功しました。
カマクラのようになっている入り口から蒔きをくべて
土団子が真っ黒になるまで火を焚き、
蒔きが全部灰になったら
小バベルの塔の中にホイルで包んだ芋を入れる。
コーチに
「崩れやすい土の塊じゃなくて
石でやればいいじゃない。
焼き芋といえば石だよ。」
と言うと
石は土より高温になるけど冷めるのが早いんだそうで
土は火種が消えても70度くらいを小一時間キープできて
甘くお芋が焼けると言い切られました。
へぇ〜。


轟々と火が燃えるとなんだか気分が高揚するもんです。
蒔きも調子に乗ってズンズン入れると、
突き刺しちゃったりしてここまで来ても
塔が崩れることもあるそう。

ホイルでまいた芋を入れたら天辺から、
芋の上に土団子がかぶさるように崩し
その上に土をかけ蒸し焼きにするんです。


塔を崩したら、さらっとした土をスコップでかぶせます。

ここまでやると、コーチはすっかり泥だらけになった
凸凹トリオに向かって
「一時間後に戻ってこい」
とおっしゃいましたので
温泉に浸かりに行きました。


台湾のお芋はもとが水分が豊富なだけに、
焼きあがったお芋のうまさには瞳孔が開きました!
甘さが素晴らしく、そのままスィートポテトみたい!

いやー、ハラハラドキドキの泥んこ遊び、
火を囲むのもいいですね。
後で知ったのですが、
台湾の田舎ではこんなリクリエーションは
昔、よくしていたんだそうです。
またすぐやりたいです。

牛の餌やりも焼き芋も子供が喜ぶかも、
と参加したら自分がかなり楽しんでしまいました。
翌る日早朝の、メインである熱気球体験の前に
このはしゃぎよう。

台湾国内の団体さんが多い
9年目のホテルではあるけれども、
原住民のスタッフ(コーチも農園担当もフロントも)の笑顔と
親しみやすさが沁みる、
自然と戯れられる子連れにオススメのホテルです!

次回に続く。


2017-05-11-THU