HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN
台湾のまど 青木由香の台湾一人観光局 ほぼ日支所
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台湾らしいインテリア。

少し前、台湾のインテリアを取材しました。
インテリアスタイリストの石井佳苗さんのムック
「Heima」のお手伝いです。
取材先は、以前からお邪魔したことのある
お宅や会社が多かったのですが、
インテリアの角度からお話しを聞くと
その人の背景にも触れられて新鮮でした。
そして、改めて台湾らしいデザインとは?
と考えた日々でした。


ある会社のオフィス。みんなが知ってるあの会社の本社。

「台湾らしい、その人らしい空間」
を探すのが今回の私のミッション。
私が挙げた中から石井さんが選んだのは
一件を除いて、
他は全部50歳を超える方たちのスペースでした。
その方たちがみんな、
頭が柔らかいというか発想がナイスで、
例えば、それほど広めではない家の中なのに、
突然、腰をかけるにちょうどいい
高めの小さな板の間がある。

それはなんだと尋ねてみると。


今日の写真はわざと本文とずれたものを。
それは石井さんの取材の方を見ていただきたいから。
上は、縁側に憧れてる人の経営しているお店の方。
ギャラリーなのか、なんなのか。
こちらも柔軟にやっている

「台北で庭付き一戸建てなんて無理だからね。
日本の縁側がすごく好きで
縁側で寝っころがったり、スイカ食べたりしたいの。」

つまりは、縁側イメージ作られたスペースというのです。
見ると沓ぬぎ石までちゃんと置いてあるし。
さらに“縁側”は窓辺にありながら、
外ではなく家の中を向いていて
視線の先には、自分の好きな現代アートの作品と
奥さんが使う南仏のイメージで塗られた青い壁のキッチン。
縁側の方から、その景色を寝っころがって見るのです。

庭つながりでいくと台湾茶界の有名人、小慢の自宅もそう。
マンションの建物に入って、階段を登って
ドアと開けたらまた外に出て、
ぐるんと回って玄関にたどり着く。
長細いベランダ利用して、
外を歩く道をわざわざ作ったのです。


小慢のところで撮影の合間に、ご馳走になっちゃった風景。

目線の高さに植物を植えて、
飛び石を踏みながら玄関にいくまでの
庭的な意味で作った通路は、
雨の日には無駄に濡れることになるけど、
素敵に収まっていて不思議と風情がある。
不便だとか、使い勝手にツッコミをいれようなんて、
いじわる心が微塵も湧きません。

1949〜87年、台湾には戒厳令が敷かれていました。
日本では松田聖子や「たのきんトリオ」、
「おニャン子クラブ」、
イギリスやアメリカでは
「カルチャークラブ」に若者が浮かれていた時代。
今回取材した人たちの年齢から察すると、
他の外国とくらべると、
自由な表現ができる空気は台湾にはなく、
その時に多感な時期を過ごしているはず。


ここで話に出てこなかった、大物のご自宅。
蘭は買ってきたまま、
プラスチックのゲージ見たいのにはめたままボンと置いてある。

今回、みんなのインテリアが
ミックスカルチャーで自由だったのは、
その頃に自分の好みのものが、
お手軽に手に入る環境ではなかったから
自分で自分のおしゃれを発明してきたからなのでは?
と思うのです。

そして、人のことなんてあんまり気にしない台湾人。
「それ、本場の国ではそうじゃないし」
なんて、誰も言わない。

布の服で有名な、おかっぱ先生こと鄭(ヂェン)先生も
床の間を作ってみたけれど、「床の間風」でいいのだそう。
日本の床の間がどんな比率で作られているのかも
きちんと調べてもいません
あれだけオリエンタル文化オタクなのに。

年齢に関係なく、固定概念にとらわれず
好きなものは柔軟に無邪気に取り込んでいく。
それが台湾らしさです。

 

 

2018-09-19-WED