大阪の『アジアフェア』と
台北の『電鍋の周辺器具展』。
実は、7月24日から始まる
大阪の阪急梅田本店の『アジアフェア』に
店も私も大々的に関わっています。
店の方では、
今年5月にほぼ日の『生活のたのしみ展』で瞬殺した
ステンレスの椅子は今回は大量に送りました。
あの時持って行ってない、あの品も送ったし、
本当にもう2度できないという規模で展開します。
コーディネイトでも、
台北の永和の豆漿屋さん「世界豆漿大王」や、
台湾のレトロサンドイッチで有名な「洪瑞珍」や、
おかっぱ先生こと鄭先生に、
みんなの憧れ台湾茶の先生・小慢さん、
先住民の月桃のカゴ、パイワン族の伝統刺繍の巨匠、
台湾の懐かしい生活雑貨の緑兎子など、みんなを連れて
大阪を台湾でいっぱいにさせます。
私のトークショーや鄭惠中先生のトークショーもありますよ。
7月24日〜30日、
阪急梅田本店の『アジアフェア』の詳しくはこちら。
そして、ここからは、
夏の暑い台湾に重大な問題を抱えている
今の台北の店の話をさせてください。
一年くらい前から、
何度も私の会社に電話をかけてくるおじいさんがいました。
「電鍋」の周辺器具を作っている会社の方で
私に商品を見にきて欲しいというのです。
「電鍋」というのは、
台湾の家庭に必ず1つはあるという調理器具で、
炊く、煮る、蒸すができるというすぐれもの。
「電鍋」というだけあって、電化製品です。
話をもどして。
おじいさんは電話をかけてくるたびに、
どんなものがあるのか聞くのですが、
「とにかく来てくれ、6000種類ある。」というだけです。
カタログもないし、ネットで検索してもよくわからない。
詳しいこともぜんぜん話してくれない。
ただあまりにも熱心に電話がくる。
だったら、一度見せてもらおうということで、
先日、おじいさんの会社を訪問しました。
台北郊外にある古い建物ですが、
広々として隅々までしっかり清潔にされていました
そのおじいさんのお父さんと
電鍋を作っているメーカーの「大同」が
電鍋を作り始めた時の社長が友達で
「俺は電鍋、お前は周辺」と仲良く分業をしたのだそうです。
社内には、蒸気の回り方を6年も研究して作った周辺器具などがあり、
「これを使えば旨さ倍増!」と自信たっぷりに紹介してくれました。
しかし、実演はなく、口だけで熱く語ります。
左が、おじいさんところの電鍋。最初から縦長です。
これと開発された内釜シリーズを一緒に使うと
食材が125%蒸気で膨張すると言っていましたが、
口頭のみの説明。
その中に、私が勝手に『長いフタ』と呼んでいる
一目惚れしたあの一品を見つけました。
「誰がこんなひょうきんな見た目のものを考えたんだよ」
と思っていたので、作った人に会えてうれしい!
深いフタ? 高いフタ? どれもピンとこないので、
『長いフタ』とネーミングしてる。
茶碗蒸しや蒸しスープの容器がいくつも並べられるものから
3段重ね、つまり三種のおかずも一片にできる上に重ねて行くタイプ
どれも蒸気が上からも入る工夫の内釜たち。
しかし、日本に持って帰るには相当がさばる。
電鍋と同じくらいかさばる。
内釜とセットじゃないと蒸気の研究が無駄になると、
バラ売りは絶対しないの一点張り。
じゃ、うちでは扱えないです。と匂わせると
ただでは返してくれない空気が臭い返される。
他にも6000種もあるんじゃないですか?
と他の商品で誤魔化そうとしたら
ゴムの鍋つかみなど、特に引っかりのない商品でした。
「うちもね、これを売るとなると
普段閉めている隣のギャラリーを開けて、
スタッフを一人投入して、クーラーつけるんです」
とかケチくさいことまで言ってみたがダメ。
クーラーのあたる店内で涼しい顔をしている電鍋。
押しの強いおじいさんに負けて
荷物のガサを気にしない
買いっぷりのいいお客さんに期待して
今、うちの店で電鍋の周辺器具展をやっています。
おじいさんの会社では、口だけの想像に頼る説明でしたので
我らも実験をして、真剣にセールスしないと。
電鍋の内釜や蓋にクーラーをかけてあげている
珍しい人になってしまう。
自主的に実験をせねばならぬ。
コメを炊いてみる。
確かに、お米の炊き上がりも少し艶が違う。
撮って見たけど写真に写らない程度。
肉まんを蒸してみる。
なんだか表面の保湿感が少し違う。
冷めた時の表面の乾きが、通常仕様に比べると明らかに
遅い。やはり保湿力が高めなのか?
これを受けて加熱前後の重さを計ったデータをみると
おじいさんの電鍋では、
肉まん142g→149g。
通常仕様の電鍋では、
肉まん141g→144g。
1合の米が、
おじさん→407g。通常電鍋→385g。
微妙ですが、良さそうです。
上に上に蒸気を無駄なく積み重ねて使えて
一度に何種の料理も作れるのは、文句なくいい。
もっと電鍋で遊んでみたい人は、是非。
すでに電鍋がないと死んじゃうこの国の人には引きが強く、
わざわざ見に来るお客さんもいて
売れております。
おじいさんの目的は
日本人に大同ばかりでなく
自分の技術を知ってほしいということなんですが、
私は、電鍋の内釜たちにクーラーではなく、
そのクーラーは興味を持ってきてくれる
お客様のためでありたい。
そう思っております。
お土産物売ってる45號まできた暁には
隣も覗いてください。
おじいさんにも日本人に興味持ってもらえましたよ!
と報告できたら夏の問題、解決であります。
7月末までやっています〜。
6年の研究は、この穴。