鄭先生のものづくりの心得
台湾なりに秋っぽくなってきました。
大阪の阪急うめだ本店の「アジアフェア」の際には
ほぼ日の「生活のたのしみ展」同様、
いろんな人にお会いできて楽しかったです。
ありがとうございました(今更…すみません)。
阪急では、鄭先生とトークショーをやらせていただきました。
綿麻の日常着で、今、ブイブイいっている鄭先生です。
ヂェン先生と読みます。
私と先生は、対等に語りあったのではなく
話がそれやすい先生を誘導するナビゲーター兼通訳。
鄭先生をご存知ない方は過去に紹介したこちらをご覧ください。
先生のものづくりには3つの心得がある、
と言うお話をしてくれました。
トークショーの後、疲れから軽い記憶喪失になっていて
ずっと2つしか思い出せず、
最近ようやっともう1個思い出しました。
それは、環境・一般ウケ・中庸。
メモも取らず、エンターテイメント性を含めた
刹那的な通訳をしていると、
自分の口から吐き出したことも簡単に忘れるものです。
鄭先生と
(1)環境
環境を配慮したものづくり。
エコばかりでなく、一緒に働く人、使う人、作る過程も含めた
環境のことです。
先生は20代の頃、
織物の組織図を作り、
エンジニアとして働いていた工場をやめて、
天然素材と先住民の暮らしの中の布にハマっていきました。
世の中がどんどん化学繊維寄りになっていた時代です。
肌は呼吸をしているので、肌には天然素材をつけるべきだと
30ウン数年作り続けています。
最近は、台湾東部海岸線のペットボトルを拾ったら買い取って
繊維を作って生地を作って、
そのエリアの人に帽子などを縫ってもらうという
職のチャンスを作る活動もしていますが、
基本、綿と麻です。
(2)万人ウケ
いろんな年齢・性別・背景の人が着やすい服。
奇抜だったり、特別なものは作らず、
誰もが手に取りやすいもの。飽きないもの。
万人ウケと訳していますが、
先生は中国語で『入世』と言ってました。
入世、宗教用語らしく、私はよくわからないんですが
説明は上記のようなことでした。
(3)中庸
なんでもやりすぎない。
中間のちょうどいいところにしておく。
多すぎず、少なすぎず、高すぎず、安すぎず
欲張らず、「過度」にならないのが一番いいということ。
先生の服は天然素材ですが、実は染料は化学染料です。
(1)の『環境』は、どこに言ったと吠えるなかれ。
植物染料も色を定着させる媒染剤が
金属性の液体であるものがほとんどなので、
そのまま流したら環境に悪い。
だから、きちんと安全性が考慮されている
地球と人に優しい染料を選んで使っています。
植物染料は、植物が相手。
色が安定しないことや量の確保が難しく、手間もかかり
値段も高価になり(2)の『万人ウケ』も難しくなります。
理想を言えば、植物染料が良かったりするんでしょうが
理想を追っかけすぎると、ご飯がたべていけないし、
と言うことで、(3)の中庸。
ちょうどいいところでやっていっているんですね。
お金持ちでアート系の家系に育ったとかではない先生は、
お勉強よりお絵かきや歌が好きな子供だったそうです。
子供の頃にあるシスターと出会い、
大人になって禅のお坊さんと出会いました。
キリスト教の教えは、貧しい人にパンを恵むこと。
仏教の教えは、貧しい人に猟(方法)を教えること。
その両方から生きて行く術を学んだと言います。
60を過ぎた今は、若い人を育て、
サポートして行く時だ、と。
皆さんもそうしてくださいね。
とも言ってました。
台湾人ってがさつな人多いのに、
結構、奥深いこと言う人多いんですよね。
先生の仕事に対する3つの心得。
いろんなことに当てはめて使えると思いました。
9月末に新しくオープンする
台湾の誠品書店の日本支店「誠品生活日本橋」でも
台湾の滋味深ソープ、
YUANの社長と私でトークショーをします。
10/5の14:00開始の2時間ちょいのトークショーです。
30席のみ着席可で、30名はお土産付き。
さらに阿原社長が毛筆で(YUANのパッケージ全て社長の字)
沁みる言葉を書いてもらえます。
こちらも『心得』飛び出すはずですので
為になるおはなし、
聞きにきてください。