- ほぼ日乗組員:
- (控え室にて)
この部屋、大丈夫ですか。
暑くないですか?
- ジェイソン:
- あつ‥‥厚切り!?
- ほぼ日乗組員:
- いやいやいや、すいません(笑)。
そういう意味じゃなくて。
- ジェイソン:
- すみません、つい(笑)。
- ほぼ日乗組員:
- ‥‥お待たせしました。
対談場所が、こちらになります。
- ジェイソン:
- すいません、失礼します。
- 糸井:
- (一口羊羹をつまみながら)
こんにちは、どうぞ。
ちょうど直前にいただいたもので、
羊羹を食べながらで、すみません。
- ジェイソン:
- いえいえ、羊羹おいしいですよね。
- 糸井:
- 食べますか? そこにもう1個ありますよ。
- ジェイソン:
- いまは大丈夫です。
ありがとうございます。
- 糸井:
- じゃあ、お土産に。
- ジェイソン:
- よろしいんですか?
申し訳ありません、頂戴いたします。
- 糸井:
- はい(笑)。
日本語でしゃべってくださって、
ありがとうございます。
- ジェイソン:
- いえいえ、英語でもいいですけど。
- 糸井:
- (即座に)英語じゃないほうがいい。
- ジェイソン:
- (笑)はい、そうですね。
じゃあ日本語で。
- 糸井:
- 漢字も大丈夫なんですか?
- ジェイソン:
- 大丈夫です。
いちおう日本語検定1級を持っています。
- 糸井:
- よく勉強されたんですね。
まだお若いんでしょう?
- ジェイソン:
- いま29歳で、4月で30歳になります。
- 糸井:
- 芸人さんになったのは、今年ですか?
- ジェイソン:
- 芸能事務所に正式に所属したのが
2014年の10月です。
初めてテレビでネタをやったのが、
2ヶ月後の12月29日。
- 糸井:
- じゃあ、まだ1年くらいなんだ。
(※対談は2015年12月に行われました)
なのにもう本まで出て、早いですね。
- ジェイソン:
- そうですね。
去年のいまごろ、ぼくのTwitterのフォロワー数は
300人もいませんでした。
でも、いまはその1000倍弱あります。
嘘みたい。
- 糸井:
- 本も出されたばかりですけど、
もともと本を出したかったんですか?
- ジェイソン:
- 最初はとくに考えていませんでした。
だけどTwitterをしてたら、なぜかいろんな人から
人生相談がきたんです。
「どうしてそんな大切なことを
厚切りジェイソンに聞くんだろう?」
という感じですけど(笑)。
でも、質問にひとつずつ答えていたら、
思いのほか喜んでもらえて、
「本にしませんか?」という話になりました。
ぼくとしても、Twitterだと短文だから、
もっとちゃんと説明したいと思っていたんです。
- 糸井:
- なるほどね。
そして、芸人さんになってもITのお仕事は
変わらず続けているんですよね。
- ジェイソン:
- はい、いまのところはなんとか続けています。
だんだんお笑いのほうの仕事が増えて、
現実的な量じゃなくなりつつありますけど。
- 糸井:
- だけど、その混ざった状態って、
楽しいんじゃない?
- ジェイソン:
- はい、ぼくはとても楽しいです。
- 糸井:
- 周りが大変?
- ジェイソン:
- 大変‥‥というか、ややこしくなりましたね。
ぼくはITについての講演をするときもあるんですが、
クラウドコンピューティングの話は、
本名のジェイソン・ダニエルソンでいいけど、
そこで厚切りジェイソンとしてのネタをやるなら、
芸能事務所を通す必要があるとか。
「今回は‥‥どっちだっけ?」みたいに
混乱しやすくなりました。
- 糸井:
- ITの仕事では、市場の分析とかも
されてるんですよね。
- ジェイソン:
- いちおうしてますね。
- 糸井:
- じゃあきっと自分自身で
「厚切りジェイソン」という芸人さん自体の
分析もされてますよね。
「この芸人さんはどう育てばいいかな」とかって。
- ジェイソン:
- そうですね、ぼくも考えますし、
事務所のみんなも考えてくれてます。
- 糸井:
- 芸人さんとしてのお仕事を
ITの会社に活かそう、という思いもありますか?
- ジェイソン:
- うーん、会社のほうはただ、
ITの分野で成功したいだけなんです。
だから開発した製品をどう売るかが、
いつでも最優先。
芸人としてのメディア露出から業績を増やすとかは、
あんまり考えてないですね。
- 糸井:
- だけど、ITの仕事のほうでも
「厚切りジェイソンの会社だよ」というと
興味を持つ人は多いんじゃない?
- ジェイソン:
- そこはそうですね。
ピン芸人の大会である
「R-1 ぐらんぷり2015」の決勝に出た夜は
ウェブサイトのアクセスが爆発的に増えて、
会社のサーバーがダウンしました。
- 糸井:
- (笑)そこまで、ですか。
- ジェイソン:
- はい、月1万アクセスだったものが、
一気に10億アクセスになったから。
シューッ、ブブッ、ビーッとかなりました。
- 糸井:
- そのアクセスには、外国の人もいたのかな。
- ジェイソン:
- どうでしょうね。
とりあえず、うちの会社のアメリカ法人の人たちが
サーバーダウンの原因を調べたらしいんです。
そしたらぼくの「R-1」のネタが出てきて、
「え‥‥ジェイソン、日本で何してるんだっけ?」
となったそうです。
- 一同:
- (笑)
- ジェイソン:
- それで「なにがあったの?」と聞かれたので、
「すいません、実は‥‥」とぼくも説明しました。
アメリカの人たちには、それでばれましたね。
- 糸井:
- え、それまでばれてなかったの?(笑)
- ジェイソン:
- はい、ぜんぜん。
アメリカの人たちは日本のテレビを見ないし、
知る必要もなかったですから。
でも、さすがにいまはもうばれてます。
あとアメリカで展示会をすると、
ジェイソンのまわりに日本人が集まってきて、
一緒にたくさん写真を撮ったりするから、
現地メンバーが「何これ?」と。
- 糸井:
- それは、ほんとに「何これ?」ですね。
- ジェイソン:
- ええ、だからそのときに
「いや、実はこういうこともやってまして」
と説明しています。
- 糸井:
- 日本の会社の同僚たちは、
ジェイソンがお笑い芸人になったことを
いつ知ったんですか?
- ジェイソン:
- 仲のいい数人には、テレビの放映前に
ライブに呼んだりしていましたけど、
ほとんどの人は「R-1」のタイミングですね。
あと日本側の社長には
事務所のオーディションに受かったあと、
最初の番組の放送日に。伝えたんです。
「実は今夜ちょっと、
地上波でネタをやります」って。
でもそのときに、やっぱり社長も
「えぇーっ!?」
- 糸井:
- そりゃもう「えぇーっ?」ですね。
- ジェイソン:
- 「えぇーっ!?」
- 一同:
- (笑)
- ジェイソン:
- ‥‥不思議ですねぇ。
<つづきます>
2016-03-01-TUE