・たとえば、じぶんがクルマだったとしたら、
 走りたいと思うんだ。

 速く、すっごいスピードで走りたい。
 わぁっとみんなをびっくりさせるような速度で、
 走り回りたいと思うんだ。
 
 ずっと、どこまでも遠くまで走りたい。
 ガソリンの最後の一滴がなくなっても、まだ、
 走り続けていたいと思うんだ。

 たくさんの人たちを乗せて運びたい。
 憶えたての歌を歌うこどもたちとか、
 何百人でも乗せて走りたいと思うんだ。

 たとえば、じぶんが歌だったら、
 じょうずでも、へたでもかまわないから、
 みんなに歌ってもらいたいと思うんだ。

 たとえば、じぶんが野うさぎだったら、
 地面にいっぱい穴をほって、いっぱい逃げたり、
 いっぱいはねたり、いっぱいこどもつくったり。
 野うさぎっぽいこと、いっぱいしたいと思うんだ。

 たとえば、じぶんが生まれたての人だったとしたら、
 なにができるのかわからないままに、
 できることを探したり増やしたりしながら、
 なにかやらせて、なにかやらせてと動くんだろうな。
 
 クルマでも、歌でも野うさぎでも人間でも、
 できることはぜんぶやったなぁと感じるのが、
 いちばんのあこがれだよなぁ。
 
 このからだを、このこころを、この知恵を、
 この思い出を、このいのちを、
 まるまるまるごと使い切れたら最高だよな。

 できるかもしれないことは、したい。
 できることは、もっとじょうずになりたい。
 生まれたての人のようにね。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
生まれたての人だったとき、ものすごく生きたがってたね。



(2013年1月7日「今日のダーリン」より)