ほぼ日刊イトイ新聞 フランコさんのイタリア通信。アーズリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。
2008-12-02-TUE

イタリアのあのふたりは、経済危機と無縁?


12月になりましたが、
世界中を襲っている経済危機は
勢いが衰えませんね。
イタリア・サッカー界も
赤字に苦しんでいる‥‥はずなのですが、
そんな事はまるで無関係と言わんばかりに
快進撃中の人物が、ふたり、おります。
ミラノをホームとする2チーム、
インテルのモラッティ会長と、
ACミランのベルルスコーニ会長です。

インテル会長のマッシモ・モラッティは、
この11月半ばに、年間の収支決済のバランスをとるため、
1億5000万ユーロの埋め合わせをしました。
その数ヶ月前には、
イタリア首相でもあるベルルスコーニが、
4000万ユーロほどで同様のことしています。

インテルとACミランはイタリアの2大富豪チームです。
いや、むしろこの2チームだけが、
チーム強化のためには全くためらわない会長を
冠しているのです。

ベルルスコーニの最近の出費は‥‥。

ベルルスコーニは本質より見かけを愛します。
彼にとっては、どうあるかというより、
どう見えるかが大事です。
ですから自身のイメージを大きく見せようとして、
彼のチームであるACミランにも、
世界に知れわたる高名な選手たちを
買い与え続けています。

近年には、どこでも誰でも知っていた
ロナウドをとても欲しがり、
この夏にはシェフチェンコを呼び戻しただけでなく、
世界一の選手であったロナウジーニョで
チームを豊かにしました。

ACミランはカンピオナートで、
インテルの4連覇を阻止したいのです。
ベルルスコーニは自分のACミランが
ミラノで第2のチームであることを望まず、
チーム強化のために、
数千万ユーロをすでに準備しています。

マンチェスターUのテヴェス、
アーセナルのファブレガスとガラスが、
1月のイタリア入りを
すでに合意していると思われます。

cassano

しかし彼らの所属するイギリスの2チームは、
まだUEFAチャンピオンズ・リーグで
優勝のために激戦中で、それどころではありませんから、
チームの説得は、まだこれからしなければなりません。

cassano

いっぽう、モラッティの出費は‥‥?

インテル会長であり石油業者のマッシモ・モラッティは、
この夏に世界最高額で
モウリーニョ監督を雇い入れましたが、
モラッティの夢もまた
UEFAチャンピオンズ・リーグ優勝ですから、
チームをより強化したいと思っています。
インテルはこのユーロッパで最高の大会に1965年から、
つまりマッツォーラやスアレスが
世界最強だった時代から、勝てずにおります。

インテルと前監督マンチーニとの契約は
2012年まで続きますから、
モラッティはモウリーニョとマンチーニ
2人分を支払うことになり、
その合計は年に3400万ユーロです。
これはとんでもない金額ですが、
モラル面でいかがなものかという問題には、
彼は耳を貸しません。
惨めさなどというものには、
張り手をかませて吹き飛ばそうかという勢いです。
ベルルスコーニも同様です。

インテルはカンピオナートの来シーズンのために、
アルゼンチン人のアグエロを買い受けようとしています。
5000万ユーロにアドリアーノを付けるがどうだと、
アトレンティコ・マドリーを説得するつもりです。

cassano

その一方で、
インテルのスポーツ監督であるマルコ・ブランカが、
ドログバと彼の代理人
(モウリーニョの代理人と同じ人)を交え、
先週、ロンドンで夕食を共にしました。

ドログバのチームであるチェルシー側の要求は、
4000万ユーロ+アドリアーノで、
こちらに対するインテル側の興味は弱まったようです。

cassano

ベルルスコーニは、首相としては、
経済危機を乗り越えるための大きな犠牲を
イタリア国民に要求していますが、
ACミランのティフォーゾたちには気を配っています。
いずれ選挙の時には
彼に投票してくれる(であろう)人々ですから、
ベルルスコーニは、インテルのモラッティ会長と
対決する姿勢を彼らに見せねばなりません。

サッカーはイタリアの庶民にとって
毎日のパンみたいなものです。
古代ローマ時代には、
グラディエーターたちがコロッセオで熱戦を繰り広げ、
ローマ市民たちを楽しませておりました。
空腹など悲惨な現実問題を忘れさせるために‥‥

それから2000年が過ぎましたが、
この構図は何も変わっていないように思えます。


訳者のひとこと

それだけのお金があるのなら、
どこぞの国のように国民に分けてくれたら、
人口が日本の半分くらいのイタリアでは
1万2000円よりは多くなると思うのですが‥‥
要らないか。
それよりサッカーで世界一になる方が、
先に夢をつなげるでしょうか。

モスキーノ

翻訳/イラスト=酒井うらら



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