ぼくが独自に考えている
「ダメな会社の法則」っていうのが
いくつかあるんですけれど、
時間も少ないので、
1つだけご紹介しますね。
「自社のウェブサイトに社長の写真が
載っていない会社は要注意」
糸井さんは、もう毎日載ってますから
ぜんぜん問題ないです。
ぼくは、そういうところに
その会社が大切にしていることが
意図せずに表れていると思っています。
たとえば、こちらの
ゴールドマン・サックスという証券会社の
役員のページをご覧ください。
かっこいいですよね。
きっと、このポートレートは
一流のカメラマンに撮ってもらってると思います。
役員の役職と名前だけがただ並んでいるのと、
このようにちゃんと顔が見えるのとでは、
どちらがいいかは一目瞭然ですよね。
ゴールドマン・サックスは
アニュアルレポートもすばらしいんですよ。
アニュアルレポートというのは、
上場している会社が年に一度、
株主や投資家に配る年次報告書のことです。
経営者はよく、
「わたしたちの会社は社員を大切にしています。
社員は『人財』です。
『人財』の財は、材料の『材』ではなく、
財産の『財』なんです」
ということを話しますね。
いいこと言うなぁと思って、
そういう会社のアニュアルレポートを見てみると、
社員はひとりも映っていなくて、
工場のパイプとかがバーンと載ってるんですよ。
人じゃなくてパイプが大事なんじゃないか! と。
アニュアルレポートを見れば、
こういう嘘はすぐにばれるんですね。
ゴールドマン・サックスのアニュアルレポートは、
社員の写真だらけなんですよ。
内容は英語ですが、
こちらから過去のレポートを見ることができます。
このアニュアルレポートを見るだけで、
「ゴールドマン・サックスは『人』である」
と思っていることが伝わってきますよね。
ぼくね、かっこいいなぁと思ったのが、
3年くらい前のブラジル・リオのチーム写真なんですよ。
社員みんなで映ってるんですけど、
前のほうに、
ビシッとモップを持ってるおじさんが映ってて。
その姿がほんとうにかっこいいんです。
きっとね、
「この角度のほうがかっこよく見える!」とか
言いながら撮ったんだと思います。
その写真からは、
ゴールドマン・サックスは人で成り立っていて、
このモップを持っているおじさんだって
ゴールドマン・サックスなんだ、という
誇りやプライドを感じました。
短期的な利益が上がるか下がるかということは、
言ってしまえば、どうでもいいことなんです。
それよりも、
社員の写真が見えるところに
ちゃんと出ているか出ていないか。
こういうことが、ものすごく大事なんです。
だから、ぼくはアニュアルレポートでは
登場する社員数を数えるようにしています(笑)。
それと同じように、
日本の時価総額上位200位の会社のウェブサイトに
社長と役員の写真があるかどうかを調べました。
(笑)
社長と役員の写真がどちらも載っている会社は49社で、
両方とも載っていない会社は7社でした。
残りの144社は、社長の写真だけという会社です。
そして、リーマンショック以降の株価を見てみると‥‥。
このような結果になりました。
社長と役員の写真が載っている会社の株価は
リーマンショック後、66%のプラス。
社長だけの写真が載っている会社は、30%のプラス。
1、2ポイントの差だったら誤差かな、と思いますが、
実際には、その差36ポイントなので、
誤差とは考えられません。
ここまで差がはっきり出るとは、
ぼくもびっくりしました。
それで、次は社長の挨拶文の主語に
「私」「私たち」をつかっているかいないかを
調べました(笑)。
挨拶文に
「私はこう思う」「私はそう考える」というふうに
書いてあることって、すごく少ないんですよ。
だいたいは「当社は~」とか「弊社は~」とか、
会社が主語になっていたり、
主語がないものもけっこうあるんですね。
主語がない文章は受動態で書かれていて、
当事者意識がまるでないんですよ。
それを、またグラフにしました。
結果は歴然ですね。
それから、
さきほどの写真の有無と主語が「私」かどうかを
くっつけちゃったグラフがこちらです。
もう、圧倒的です。
ぼくは、投資において
なんのテクニックも持っていません。
こういう本質的なところを大事にしている会社に
投資をしているだけなんです。
真面目にお客さんと向き合って、
真面目に経営をしている会社は
ちゃんと利益を出して、株式市場で評価されます。
こういう会社を訪問して、社長さんとお話しすると、
お客さんのことをきちんと考えていて、
社員のことを愛しているんですね。
ちょっと長く話しすぎちゃいました。
ありがとうございました。
一同 | (拍手) |
---|---|
糸井 | いやぁー、おもしろかった。 |
藤野 | ああ、ありがとうございます。 |
糸井 | そうですね、どこから話すのがいいかな‥‥。 どの話も、 いくらでも掘り下げられると思うんですけども。 |
藤野 | いくらでも、話しますよ。 |
(次回より、
藤野さんと糸井重里の対談編がスタートします。
どうぞ、おたのしみに!)
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「ほぼ日」の創刊12周年記念の特集で、 |
日本・台湾の実業家、作家の邱永漢さんの |
「もしもしQさんQさんよ」を連載していた |
就職すること、はたらくことについて |