ガンジーさん。
いつ途切れるかわかりませんが
今後ともよろしく。

348.内臓におわび。

ガンジーさん、反省しきり。
脳という「神経系集中管理部門」のわがままなふるまいで、
内臓に大きな負担をかけてしまったからだ。

思えば、現代人は、みんなそういう
間違いをやらかす可能性がある。
脳は、人間の『コントロールセンター』でしかないのに、
身体の他の部分は脳に逆らうことができないので、
つい暴走してしまうのだ。
かくして、病気になる。

ガンジーさん、そういうことわかっていたはずなのに、
好奇心だか理性だかが勝ってしまって、
身体に叛乱を起こされちゃったんだなぁ。

自分も、ガンジーさんにならって反省しています。
脳も含めて、まるごと全部で「自分」なんだもんな。

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「イカンです、遺憾です」

ガンジーはね、
いま自分の体にふかくお詫びを申し上げているところだ。
せっかく癌細胞と闘かってくれてるのに
それをじゃましてしまったからだ。
人間は身体各部署のコントロールは出来ても
内蔵の管理は出来ない。
不随意筋というのかな?
意識して動かすことは不可能だ。
その内臓ちゃんにたいしておわびしている。

唯一、呼吸法でコントールが出来るようになる
とも聞いてるが
これは気功などの訓練が必要だろう。
その体のなかの壮絶な闘いのさなかに
ガンジーはかってな行動どころか
彼らの戦闘意欲をうしなわせてしまった。

闘病などといってわれわれは気負い込んでるが
ほんとは何もできない。
闘ってくれてるのは癌細胞に果敢に立ち向かっている
イイ子たちなんだ。
その良細胞たちは休む間もなく働いている。
それをガンジーは忘れていた。
プールで泳ぎ極暑の真昼に自転車をこいで
貴重なエネルギーを浪費してしまったのだ。

自然治癒力というこれらの軍隊が
いかに強力な部隊かをガンジーは身をもって経験している。
死刑宣告から今日まで生き長らえているのは
このおかげなんだ。
その部隊に声援をおくり続けていたのも事実。
それがパソコンであり
ほぼ日や読者のみなさんの胴上げだったと考える。

全国の病気人の同朋と、
それらを抱える家族の方々に申し上げたい。
病気は薬や医者が治してくれるものではない。
治せるのはこの自然治癒力という軍隊しかない。
われわれ自身でもないのだ。
われわれが意識できないところで
これらの部隊は活躍している。
それを応援することがわれら病気人や
医学というもの。
それがわれわれに出来る精一杯のことだと思う。

だからガンバレなんて
意味のわからないことを言うのはやめよう。
そんなこと言われなくっても
患者はガンバッテいるんだから。
しかしガンジーがガンバッテイルのは食事だけだ。
これもこの部隊に弾丸や銃器をおくりこんでるだけ。
闘ってるのはわれら患者自身ではない。
もちろん医者でもない。

それでも周囲はガンバレとしか言い様がないのはわかる。
そんなときには言葉なんかいらない。
見舞いにいったら病気の話なんかするな。
健康なときとおなじように接してあげよう。
笑い話を取り上げよう、身内ならなおさらだ。
気分はどう?なんて聞くな。
イイわけねぇだろ!
心配山積の病気人にむかっていう言葉じゃねぇぞ。
一番イイのは手紙かもしれない。
友達など身内以外の人ならね。

患者は泣きたければ泣く。
なにも見舞い客のためではない。
見舞い客もよけいなことを言って泣かせるな!
患者が泣くときは深夜だ、トイレのなかだ。
われわれは自分のからだとおなじように
家族の悲しみをもわかっているつもりだ。
だから涙なんか病室へ持ち込むな。
はじめガンジーも身内にかぎっては
見舞いの人にウソなんか見せずに泣くべし、と
相談者に答えたが今は違う。
泣くことが我慢できそうもなかったら行くのはやめよう。
手紙を書くか何か楽しい差し入れをしょう。

ガンジーが去年、ひっそり退院して家に帰ったら
TVのよこに小さなお地蔵さんがおいてあった。
おもわず笑みがこぼれたね。
赤いぼうしもかぶっている。
朋姫は身代わり地蔵とおもって買ってきてくれたんだろうが
うれしかったなぁ。
身長親指大の可愛いヤツだ。

ガンジー

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「小さなお地蔵さん」ひとつが、
大きな大きな役割を果たしてくれるんだよねぇ。
その後ろにある、気持ちと感応するんだよな。

そういうものなんだよね。
そういうことなんだよね。

(つづく)

2001-08-12-SUN

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