ガンジーさん。
いつ途切れるかわかりませんが
今後ともよろしく。

418.想妻家の気持ち。

ガンジーさんを「愛妻家」というよりは
「想妻家」というべきじゃないかと、ぼくは書いた。
ご本人からも、その呼び名は気に入っているとの報告。

そのガンジーさんが、妙にひねくれた変化球でなく、
珍しく直球で、妻を想う気持ちを書いています。

ぼくの個人的な好みからすると、
こういう直球のほうが何倍も好きだなぁ。

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「耐えて万歳」

永年夫婦をやってるけど
考えてみると二人は同じ道を歩いて来たわけではない。
これといった目的をもたずに過ごしてきたガンジーは、
とりあえず歩きやすいイイ道をえらんできた。
いっぽうのタスデ美は生まれたての頃から
辛酸をなめそれでも天は容赦せず
ガンジーというろくでもない男を引き合わせ、
さらなる苦労を強いた。

なんてこった!人間万事塞翁が馬、じゃねぇ。
苦労のあとにまた苦労、それでも彼女は
それらを苦労と受けとめてはいない。
すげぇヤツだ。
毎日ぐちっぽいことをいってるがそのじつは実に明るい。
嘆きを愚痴で小出しにしてるみたいだ。
この方法は難所にさしかかっても
へこたれない勇気を蓄えている。

ガンジーが諸君に、夫婦ゲンカをすすめるゆえんだ。
不満を小出しにしてガスを充満させないことだとおもう。
それはともかく、
おれはいったい彼女に借りを返せるのか。
もはや遅いとは思うが
何万分の一でもつぐなえないだろうか。
そんなことを考えるこの頃だよ。

「いっそ離婚したら」と子ども達に言われても
彼女は耐えた。
苦労と思わずに耐えた。
こんなに強い女だとは、あ、おしゃかさまでも
ご存知あるめぇ。
連れ添って歩いて来た道ではない。
タスデ美の歩くところはいつも水たまりの中や、
凸凹と小石のちらばった道ばかり。
その足もとのおぼつかない道を
諸君を背負って健気に歩き通した。
ガンジーがあらたまって、おかぁさんを頼むぜ、なんて
言わなくってもいいよな。
グスン!

波乱万丈といえる大袈裟な人生ではない。
ガンジー世代ではごく普通の男優位の生活だったと思う。
だが今、おおかたの6,70代の男達は
妻に感謝しココロからのお礼と賛辞を
おしまないでいることと思う。
リタイアしてもあいかわらずの仏頂面で、
いうことは、おぃ、お茶!風呂!新聞!かもしれないが
われわれ世代はお上手をいえないんだなぁ。
いやガンジーはいうけどさ。

リタイア亭主のおくさま方、どうかわかてやってくだせぇ。
この懺悔を聞いてやってくださいまし。
カミさんに先立たれ自殺がごとくに後をおう男達、
まるでカマキリのメスがオスを食い殺すという世界と
おなじだぜ。
さいわいガンジーは女中と道行きの切符、
おっとメイド行きかぁ、を手に入れたので
泣き明かす日々がこない。

そして今、タスデ美はやっと自分の人生を取り戻した。
奴隷と化した亭主とかわいいネコたちに囲まれ
至福の日々にみえる。
それをみながらガンジーはさらに思う。
ロト6が当たらねぇかなぁ、全部やっちゃうのになぁ。
このごにおよんでの神だのみ。
神チャマは言う、
お前のような無信心ものには慈悲をあたえる予算はない!
自費でまかなぇ!

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くじに当たらないかなぁ、という部分、いいなぁ。
落語のなかにも、たくさんの「富くじ」の噺があるよね。

少しずつ稼いでいくには、時間が足りない。
かと言って悪いことはしたくない。
そういう気持ちのある人が、くじの大当たりを祈るんだ。

(つづく)


※『出前ガンジー』あるいは『ガンジー水戸黄門』の
企画について。
ガンジーさんの行脚先を募集しています。
詳しくは9月24日付けの『ガンジーさん』
ごらんくださいませ。

2001-10-21-SUN

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