星野道夫(ほしの・みちお)
1952年、千葉県市川市に生まれる。自然写真家。
1968年、慶應義塾高等学校入学。
1969年、移民船アルゼンチナ丸でロサンゼルスへ。
約2ヶ月間、アメリカを一人旅する。
1971年、慶應義塾大学経済学部入学、探検部に入る。
1973年、アラスカ・シシュマレフ村でエスキモーの家族と一夏を過ごす。
1976年、慶應義塾大学を卒業。動物写真の第一人者、
田中光常氏の助手をはじめる(以後2年間務める)。
1978年、アラスカ大学受験のため、シアトルの英語学校に通う。
1978年、アラスカ大学野生動物管理学部入学(4年間留学する)。
1986年6月、第3回アニマ賞・受賞(「グリズリー」)。
1990年、第15回木村伊兵衛写真賞・受賞(週刊朝日連載)。
1993年5月、結婚。
1996年、ロシア・カムチャツカ半島クリル湖へテレビ番組の取材に同行。
1996年8月8日、ヒグマの事故により急逝。
1999年、日本写真協会賞・特別賞受賞。
9月8日(木)から9月19日(月・祝)まで、
没後20年を迎えた
写真家・星野道夫さんの「傑作100点」を
TOBICHI2に展示いたします。
題して「星野道夫の100枚」展。
星野さんが暮らし、撮影し続けた
アラスカの自然や動物の写真のなかから
傑作を100枚、
今回の展覧会のために選り抜きました。
作品によっては、購入することも可能です。
でも、決して広くはないTOBICHI2に、
どうやって写真作品を100枚も!?
たねあかしは、こうです。
テーブル大の巨大ライトボックスを用意し、
その上に、星野さんが撮影した
「35mmフィルム」を100枚ならべて、
ご来場のみなさまには、
ルーペを使って、
1点1点、作品と1対1で向き合うように、
ご観覧いただくという趣向。
しかも、その「巨大なライトボックス」は
展示の構成を手掛ける
写真家の石塚元太良さんが手作りする予定!
さらに、展示100点のなかの9点は、
額装の上、ご購入いただくことができます。
現在、松屋銀座で開催中の
星野さんの大回顧展「星野道夫の旅」が
9月5日(月)で終了し、
その後、大阪の高島屋へ巡回する予定ですが、
このTOBICHI2での展覧会は、
それら大展覧会のすき間を橋渡しするように
開催されるもの。
星野道夫事務所の星野直子さん、
小説家・編集者で
長く星野さんの担当編集者だった松家仁之さん、
そして写真家の石塚元太良さん‥‥と、
展覧会を手掛ける人たちの顔ぶれこそ
「星野道夫の旅」と同じですが、
まず会場のサイズが(ぜんぜん)違いますし、
展示内容も、おのずと別ものに。
松屋銀座をごらんになったかたも、
大阪高島屋をごらんになる予定のかたも、
ぜひ、足をお運びください。
以下、松家仁之さんから届いた文章です。
TOBICHI展の概要がよくわかるだけでなく、
今回の大展覧会の実現にこぎつけた
元担当編集者の
静かな熱意が行間ににじみ出ているようで、
読んでいて、わくわくします。
みなさんにも、共有させていただきますね。
静かなベストセラーを続ける『旅をする木』など、
何冊もの名エッセイを書き遺した星野道夫さんは、
この夏で没後20年になる自然写真家です。
星野さんがアラスカの丸太小屋で暮らし始めたのは
20代のこと。
野生動物の生息する原野をめぐり、
氷河の迫る海をカヤックで進み、
厳冬期の零下40度の雪原にテントを設営し、
たったひとりの時間を過ごしながら、
のちに海外でも高い評価を受ける自然写真の撮影を
続けました。
遺された数万点におよぶ写真を丁寧に調べてゆくと、
星野さんは次々にシャッターを切る、
「攻め」の写真家ではなかったことがわかります。
大自然のなかに自分自身を溶けこませるまで、
じっくり待ちつづけ、
レンズの向こう側と呼吸をあわせるように
シャッターを押していた──。
そんな様子が見えてくるのです。
自然写真家としての星野さんが
もっとも活躍した1980年代から1990年代前半は
フィルムによる撮影の最後の全盛時代でした。
デジタル写真はまだまだこれからという頃。
遺された写真は、すべてフィルムによるものです。
一本のフィルムで撮影できるのは、たとえば36枚。
撮影が終わればフィルムを抜きとり、
交換をしなければなりません。
撮影済みのフィルムは、現像所に渡し、現像してもらう。
現像があがってくるまで、どのような写真が撮れたのかは、
本人にもわかりませんでした。
星野さんが主に使用していたのは、
「35ミリのカラーポジフィルム」です。
今回のTOBICHIでの展覧会では、
星野さんの代表作となった写真集や写真絵本から
名作傑作を100枚厳選し、
そのオリジナルカラーポジから
あらたに高精度のデュープ(複製)をつくって、
みなさんにご覧いただくことにいたしました。
100枚のカラーポジをライトテーブルにのせ、
ルーペで覗く。
フィールドから自宅に帰ってきて、
仕上がったフィルムを
ライトテーブルで星野さんがチェックしていたときと、
まったく同じ経験をしていただくことになります。
星野さんになったつもりで、
印刷に回される前のカラーポジを100点、
じっくりご覧いただければと思います。
なお、会場では、100点のなかから
さらに9点をしぼって選び、
オリジナルプリントをつくって額装し、展示をいたします。
展示された9点は、
額装した状態で、ご購入いただくことも可能です。
なお、8月24日(水)から9月5日(月)まで、
松屋銀座で
「没後20年特別展『星野道夫の旅』」を開催しています。
よろしければ、この大展覧会に足を運んでいただき、
余韻のさめやらぬ9月8日(木)より、
TOBICHI2で開催される「もうひとつの星野道夫の世界」を
味わっていただけたらと思います。
TOBICHI2「星野道夫の100枚」展、ぜひご期待ください。
松家仁之
作品自体のサイズ:
縦162mm × 横244mm(1~7)
縦193mm ✕ 横241mm(8,9)
額装をしたサイズ:
縦358mm × 横434mm(すべて共通)
※「キャビネ、大四つ切、半切、全紙、全倍」など
「六つ切り」以外のサイズをご希望の方は
会場のスタッフまでお問い合わせください