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ジョージ |
靴よぉー。靴。お靴っ!
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── |
靴、お好きですよね。
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ジョージ |
そうよ。だって靴屋さんで
しゃがんでフィッティングしてくれるのって、
うれしいじゃない?
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── |
(西本)いちどだけ、それを、
ジョン・ロブで味わいました。
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ジョージ |
あらっ、ジョン・ロブ持ってるの?
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── |
はい、結婚するときに、
式で履く靴を買ったんです。
一生に一足でいいから、
すごくいい靴が欲しい、と思って。
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ジョージ |
確かに一生ものよね。
ボクはダブルモンクが好き。
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── |
いまも時々履くんです。
無茶苦茶重いけど、履くと軽いんですよ。
けれども青山のジョン・ロブがなくなってしまって、
靴底の張り替えや
修理をどこにもっていけばいいのか‥‥。
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ジョージ |
ここ(伊勢丹)に持ってくれば?
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── |
えっ、他所で買ったのに?
やっていただけるんですか?
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伊勢丹の人 |
もちろん承ってございます。
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── |
やった! よかった!
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ジョージ |
けれど張り替えで
そこそこの靴が一足買えちゃうわよ。
お気を付けあそばせ!
ちょっときてごらんなさい!
見て、面白いのよ。
びっくりするような値段のかばんがあるの。
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── |
うわっ、うおーっ。
いちじゅうひゃくせんまん‥‥えっ?!
にひゃくまんえん?!
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ジョージ |
クロコダイルで一枚革ですもの。
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── |
きっと触るときは
白い手袋をするんでしょうね‥‥。
こういうのって
どんなかたが買うんでしょう。
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ジョージ |
このラインはアメリカの
エスタブリッシュメントな人たちが
大好きなラインなのよ。
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── |
ということは、
その世界を知っているか、
その世界にお住まいか、
その世界に憧れていて
財力がたっぷりある方ですね‥‥。
はぁ‥‥。
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ジョージ |
ね、伊勢丹って、商品、
総額いくらになるのかしら。
石入り時計がずらりと
並んでいる売り場もあるじゃない。
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伊勢丹の人 |
店頭に並んでないものもございますからね。
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ジョージ |
いちばんお高いものは?
なんてこんなこと訊いてもいいのかしら。
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伊勢丹の人 |
たとえば、バブルの頃の話ですが、
商品価格が‥‥(ナイショ話)。
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ジョージ |
フガッ。桁が違ったわ!
「これ、いただけます?」なんて言ったら
赤いビロードを敷いて
白手袋をした人が持ってきそうなものが
きっと今もいっぱいあるんでしょうねえ。
それを平気で
「ごめん、これいらないわ」
って言える幸せってどういうことかしら?!
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伊勢丹の人 |
キュキュッと商品を磨きながら
きっといらっしゃるであろう
次のお客さまを待つという時間も楽しいんです。
磨いたり、ディスプレーを直してみたり、
いらしたときに「お待ちしておりました」と、
いつでも言える準備をしておくんです。
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ジョージ |
素敵っ!
だから、たまに行ってあげないとね!
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伊勢丹の人 |
そうですね。
高額品でも、たまに着たりつけたり
していただかないと、
ちょっとさみしいですから。
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ジョージ |
売り場に立ってみたいわあ。
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伊勢丹の人 |
空間の見え方が全く違うと思いますよ。
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── |
さて、いよいよ‥‥。
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ジョージ |
ぱんつよ! 紳士肌着っ!
やっぱりここでは、まずTOOTよっ。
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── |
トゥート。
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ジョージ |
これを入れようって決めた人、偉いわ。
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── |
これ、ちいさくないですか?
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ジョージ |
小さいんだけど、入るのよ。不思議と!
こっちにはヅィメリ(zimmerli)がある。
すっごーい。
コットンなのにシルクのようなさわり心地。
乾燥機で乾燥させると
キュン! ってなっちゃう。
でも、このやわらかさの意味はね、
天使が守ってくれるっていうことよ。
天使がここを守ってくれるのよ!
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── |
天使もたいへんですね。
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ジョージ |
丸首のTシャツが好き。
着てるか着てないかわかんないくらい、
ふわーっとしてるの。
しかも、汗をきれいにとってくれる。
こういうのって一番最初は汗を吸わないじゃない?
これはおろしたてでも汗を吸うのね。
「すっごいですね!」って言ったら、
すっごいお金持ちから、
「これは一回着たら捨てるんです」って言われたわ。
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── |
ひゃあ、そんなことしてる人いるんですか。
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ジョージ |
これこれ! ボタン付きのショーツ。
これがかわいいのよ!
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── |
大滝秀治みたいになりませんか。
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ジョージ |
ならないの。かわいいの!
エッチじゃないのに、ピタっとしてかわいいの!
ボク、買ってるはずなんだけどなあ。
どこ行っちゃったんだろ?
早く履かなくちゃ、
ゴムがバラバラになっちゃうっ!
ムフッ!
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── |
ジョージさんのテンションがかわってきました。
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ジョージ |
これはシーサー(schiesser)
っていうドイツのメーカーよ。
これは生成りのほうがいいの。
白よりも生成りよっ!
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ジョージ |
ジョン・スメドレーの下着も
前はあったんだけどな。
あそこのショーツが
「炎のランナー」なのよ。
ちょっと大きくてボタンがあって、
そういうショーツだった‥‥。
なつかしいわ‥‥。
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── |
なにを思い出されているのでしょうか。
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ジョージ |
女の下着にも時代があるでしょ。 男の下着にも時代があるの。
ね、これ、カップが入ってるわ。
こっちは紫のハイレグビキニよ。
いい友だちだと思っていた友達と温泉にいって
風呂上りにこれを履いて出てきたらどうする?
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── |
そりゃ、ちょっと困りますね。
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ジョージ |
こっちにはふんどしよ!
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── |
それもちょっと弱りますね。
ところでこちらは女性販売員さんが
とても多いですね。
しかも、ベテランのかたが多い印象です。
男性が買いやすい感じになっている!
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ジョージ |
だってこの売り場に見目麗しい
マッチョな殿方の販売員がいたらどうすんの!
ドキドキして買えないか、
いっぱい買っちゃうかどっちかでしょ!
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── |
みなさんがそうだとは限りませんが‥‥。
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ジョージ |
あら、包帯パンツがあるー。
包帯の素材で作ってあるから
通気性がよくってしかも縫ってないのよ。
一枚裁断で。
腹部を押し付けないで良いってことらしいよね。
武将パンツってありませんでしたっけ?
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伊勢丹の人 |
甲冑パンツでございますね。
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ジョージ |
それそれ!
いやだわ、なんでこんなに知ってるんだろう?!
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── |
ふうー。ジョージさん、
これで、全館を歩きましたよ。
この先は本館連絡通路です。
紳士肌着と高級食材やスイーツのフロアが
繋がっているんですね。
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ジョージ |
そうよっ。
男の下着は、女のスイーツとおんなじだもの! |