ジョージさんのお勉強篇、ラストです。 女性がきれいになるためには 男性の力も必要よ! というジョージさん。 ときには下着をプレゼントするくらいの 甲斐性をもちなさい、と‥‥。 そういうのって、どうなんでしょう? |
ジョージ | お年を召した方の下着のおしゃれっていうのも、 やっぱりあるんですよね? |
松原 | そうですね。お年を召してくると、 例えば五十肩になったり、 お肌にかゆみが出るなど、 肉体的なトラブルっていうのを、 多少、経験なさると思うんです。 |
ジョージ | どうしようもないですもんね。 |
松原 | どうしても出てくるんですね。 そういった意味で、たとえばワコールでは、 いろいろな工夫をした肌着が 出ていたりするんですよ。 「ワイヤーを中に入れましょう」とか、 裏生地は、今までナイロンだったのを、 「綿にしましょう」とか。 体のラインも崩れてきますので、 ひもがしょっちゅう落ちるのを防ぐために、 肩の所だけ太くなっているものとか。 それこそ、本当に「寄せて上げて」っていうだけの 機能性じゃなくして、また今度、違う意味の 心地よさの機能性っていうのが出てきています。 |
ジョージ | 男から見てて、「女の人って、大変だなぁ。 ブラジャーみたいなきついものを いつも胸にしなきゃいけないのって、大変だなぁ」 と思ってましたけど、今日のお話聞くと、 「女の人って、羨ましいなぁ」と思います。 「こういうところでおしゃれができるんだ!」って。 |
松原 | そうですよ! |
ジョージ | 例えば、男性が、奥さんや恋人の使っている ブラジャーを1枚こっそり持ってきて、 松原さんにお渡しして、 「すいません。このブラジャーをしているのは 僕の妻なんですけれど、今度のお誕生日に、 いいブラジャーをプレゼントしたいんです。 選んでいただけますか?」 というようなことは、大丈夫ですか? |
松原 | もちろん大丈夫です。 |
ジョージ | そういうときは伊勢丹に来る途中で 職務質問受けないように 挙動に注意しなくちゃね。 |
松原 | (笑)初めてプレゼント、ということになりますと、 お相手のかたは、おそらくこれまで、 普通の感じのもの、 テレビコマーシャルにあるような肌着を 着けていらっしゃる方だと思うんですよ。 けれどもこういうもの1回着けたら、変わりますよ。 もちろん誰でもとは言いませんけれども、 女性にはこういうものに対する 憧れがあると思うんです。 |
ジョージ | そのときにプレゼントした側の対応も大事ですよね。 「美しい」、「きれい」と褒めてあげれば、 それだけできれいになります。 |
松原 | なります、なります、絶対! 今まで肩が内側に入って猫背気味になっていた方も、 着方によって、そして胸を張ることによって 1センチくらいは上がるんです。 そうすると、肩の前のあたりでしわが寄ってたのが 伸びるわけです。 やっぱり気持ちが変わります。 「胸を開く」っていうのは そういうことだと思うんですよ。 |
ジョージ | いい靴を履くと、1センチ身長が伸びて、 いいブラをつけると、1センチ胸が膨らむ。 本当、身体って、気持ち次第ですもんね。 変わりますものね。 |
松原 | 絶対そうだと思います。 本当に私も長いことずっとここで 働かせていただいてるんですけれども、 働く女性たちも増えてきてるし、 お家にずっといるようになっても、 すぐにお迎えは来なくなっちゃいましたでしょう? けれども「あとちょっとで死ぬからもういいの」と、 綺麗なものを身に着けることを やめちゃう人はいないと思うんです。 やっぱりいつまで経っても、今までの流れとして、 綺麗なものをつけて、死ぬ間際までつけていたい。 そういうものだと思うんです。 寿命が延びたというのは、 喜びの時間がたくさんあるっていうふうに 考えていきたい。 |
ジョージ | そして、その時その時にピッタリのものが、 どこかにあるんですよね。 |
松原 | 絶対にあります。 「きれいに生活できますよ」っていうものが 今はたくさんございます。 お客さまの年代年代で、おすすめするものがたくさん。 心地いいものをつけて、 そこに頼っていただいていいと思うんです。 |
ジョージ | 松原さんが長くお仕事をなさってきて、 お客様の感じも変化してきましたか? もちろん体型は変わってきたと思うんですが。 |
松原 | そうですね。 前はおすすめする肌着にびっくりするお客様が たくさんいらっしゃったんですけども、 この頃はあんまりびっくりしなくなったかしら(笑)。 以前は「今、自分のサイズは全然わからない。 まず最初から測ってほしい」という方がほとんどで。 それは今つけてるブラジャーが 本当に合ってるかっていうことに 自信がないからなんですね。 でも、今は、自分の欲しいものっていうのが、 はっきりしてきたように思います。 |
ジョージ | それは情報が増えたからかしら? |
松原 | ということもあるでしょうし、 ボディ・コンシェルジュという仕事が 認知されてきたのだろうとも思います。 前は、「相談したら買わなければいけない」っていう、 ちょっと身構えたところがありましたが、 いまはずいぶん垣根が外れました。 |
ジョージ | 女性の意識は、そんなふうに上がっている。 けれども、まだまだ 一人芝居かもしれませんね、日本は。 男がいて、女がいて、1つの社会で。 男の人が女性の下着を本当に正しく見るという、 習慣というか文化がない。 それこそ、日本の男の人って褒め下手ですから。 女の人が褒めてほしくてすることを ちゃんと褒めないじゃないですか。 あるいは、とんちんかんな褒め方をする。 綺麗な下着を選んできた女性を、 「今日はエッチだなぁ」って言ったら、 もうお終いなわけじゃないですか。 |
松原 | そうなんですよね。 |
ジョージ | やっぱりその褒め方を教えてあげる何かがないと。 日本の夫婦関係を見てると、 女性って絶対褒めてもらいたいと思うんですけれど。 そして褒めてもらうのがご主人であってほしいのに、 ご主人は髪を切っても褒めない。 でも、近所の奥さんや友だちは褒めてくれるから、 女性同士で付き合うじゃないですか。 お互い褒め合ってるんですよね、女性の会食って。 でも、これ、不自然なことで、 ご主人が正しく褒めてあげれば、 ここで盛り上がれる、幸せになれる。 奥さんを褒めてあげるきっかけの1つとして、 こういう肌着は有効だと思うんです。 |
松原 | そうです、そうです。 もう、なんていうんでしょう、 参加するべきなんですよね、男性が。 下着の中にっていうとナンですけれど(笑)。 |
ジョージ | うん、わかる、わかる、わかります! |
松原 | たとえば女性同士で旅行する時は、 一番いい下着をつけて行くと思うんですよ。 もちろんそれも素敵なこと。 けれどもご夫婦で行く旅行だってあるでしょうし。 |
ジョージ | そういうときこそチャンス。 |
── | 男性に比べて、女性のほうがやっぱり 着るものに対する意識や パートナーに対する意識が高いですよね。 「ほぼ日」で、 イラストレーターの大橋歩さんがはじめた 「a.」(えーどっと)という洋服を販売しているんです。 これは、年を重ねて体型の崩れが気になる女性たちに ちゃんとオシャレをしてほしいと、 大橋さんがはじめたブランドなんですね。 そこに今回からメンズラインが入ったんです。 大橋さんが男性向けの服をなぜ作りたいかというと、 「旦那をカッコよくしたいから」。 |
松原 | そうです! |
── | 「ものすごくカッコよくならなくてもいいけど、 一緒に歩いて美術館に行ったり、 ちょっとご飯を食べに行ったりする時に こういうものを着てほしい」服をつくったんです。 そういうことって、案外、 若い人は言わないんですよね。 |
ジョージ | ホントはね、男と女で 協働で開けないと開かない扉があるのにね。 ところが日本では、 今、女の人が自分で開けられる扉しか開けてないの。 だから、そういうものしか売れてない。 通販っていうのは、1人で開けるドアですもんね。 でも、こういうのものって、 男と女で開けたら楽しいのよ。 だから男の意識が高くならないと‥‥。 松原さん、男性が女性をお連れして、 いっしょにフィッティングをお願いする、 というようなことってできるんですか? |
松原 | もちろんでございます。 そういうお客様もいらっしゃいますし、 そのための広めのフィッティングルームも ご用意しております。 |
ジョージ | んまっ! では、ひとり、女性をお連れします。 |
松原 | もちろん、歓迎でございます。 御一緒にいらしてくださいませ。 |
ジョージ | あんまり若すぎるような方じゃないほうが いいような気がして。 30代から40代‥‥。 |
松原 | そうですね、40代のかたは今おしゃれですよね。 輸入品の肌着をごらんになって、 「あ、つけてみたい」っておっしゃるのは 40代のかたが多いんですよ。 |
ジョージ | 感覚的に、第2の青春のような感じかな。 「ある程度子育ても終わって、 娘のおしゃれに負けない自分を探してる」 みたいな世代の女性と一緒に行くと、 ボクも一緒にはしゃげますし、 アドバイスしていただき甲斐もあると思うんです。 思いつきました。30代ですが、 ボクがフィッティングをみても大丈夫な女性。 お連れします。 |
松原 | お待ちしております! |
「歳を取るってこういうことよ」
自分のすべてが自分らしくなっていく‥‥、っていうコトなのよ、歳を取るってネ。体の崩れも、シミもシワも、全部今まで生きてきた自分が体の隅々に宿っているんだと思わなくちゃあやっていけない。でもそう思うと、自分のすべてが愛おしくなる。自分らしさをもっとステキに、人と分け合うコトができれば歳を取ることって決して嫌なコトでも怖いコトでもないのよネ。
「職務質問」
下着泥棒の容疑で質問されるのがいいのか? 女装趣味の初老のオヤジと疑われるのがいいのか? どっちもいやよネ。だから彼女、あるいは奥様の下着をもって外にお出になる時は、是非、証明書などを作成されて。「これは私の下着です」顔の写真かなにかを添えて、「どうぞステキな下着を彼に選んでやってくださいネ」‥‥、なんてステキじゃないの。そもそも女性の下着っていうのはワシントン条約で貿易取引が制限されている希少種と同じくらいに貴重なモノよ。
「男にとって、
1センチ身長がのびるものって
何かしら」
1センチ身長がのびるものって
何かしら」
そりゃ、あんた、好きな人の「あなた、ステキ」って褒め言葉に決まってるじゃございませんの。
「男が開くべき、オンナの扉」
今の日本の女性ってネ、「答えを出す存在」だと思うの。今日の晩御飯の献立だって。外食をするときどこで何を食べるかだって。お洋服を選ぶときだって、あるいは子供の教育だって。オトコはジッと女性の答えを待つ立場。例えば女性の下着選びも、自分で自分の答えをもって
一人で買って一人でたのしむ。勿体無いし、あまりにそれじゃぁ、切なくなっちゃう。ときに女性も「問いかけて答えを待つ」存在でありたいんだろうと思うのネ。あるいは「愛する人に問いかけて、共に答えを探す」存在にネ。それもシアワセ。心置きなく愛されるための「問いかけの扉」。鍵は愛。どうか注意深く、慎重に、そしてときに大胆に、開けてくだされ‥‥、うつくしく。
一人で買って一人でたのしむ。勿体無いし、あまりにそれじゃぁ、切なくなっちゃう。ときに女性も「問いかけて答えを待つ」存在でありたいんだろうと思うのネ。あるいは「愛する人に問いかけて、共に答えを探す」存在にネ。それもシアワセ。心置きなく愛されるための「問いかけの扉」。鍵は愛。どうか注意深く、慎重に、そしてときに大胆に、開けてくだされ‥‥、うつくしく。