|
|
糸井 |
では、次の質問にうつります。
「ジャズミュージシャンは、
なぜあんなに純粋なのでしょうか?
ミュージシャンの中でもダントツ。
音楽に対する姿勢、頭が下ります。
ジャズミュージシャンのみなさんは、
どうやって生きているのでしょう?」 |
タモリ |
(笑)なんでこんなに
ジャズマンへの評価が違うんですかね?
さっきの人と、正反対じゃないですか。 |
糸井 |
きっと、具体的な人が、ふたりいたんだね。
誰だかは知らないけど。 |
山下 |
(笑) |
タモリ |
でも、さっきも言ったけど、
偉大な人ってかならず欠陥がありますよね。
ルソーは覗き見が趣味で、それを告白して……。
マルクスだって、悪いことばかりやっているし。
女中に手をつけたり、
非人間的なことをたくさんやっていますし、ね? |
糸井 |
ストレスの高い立派なことをやっている人の、
ちょっとした息抜きは、犯罪につながる時もある。 |
|
タモリ |
そこがないと、
やっぱり立派なほうも、できないですよね。 |
糸井 |
それ、ぼくは言いきれないんですが、そうですか。 |
タモリ |
きれいなものを10作るんなら、
その10倍ぐらい汚いものを見てないと……。 |
山下 |
おぉ! |
タモリ |
きたないものを知らないきれいさは不完全。
きれいなだけで、
美しくはないということなんですよね。
端的にいうと、そういうことじゃないですか? |
山下 |
芸術論だ! |
糸井 |
スウィングしてきた。
タモリさん、今までで
いちばん本気になってしゃべってました(笑)。 |
タモリ |
陽水も言ってたんですけどね、
同じようなことをね。 |
山下 |
たしかに、ジャズマンが
ひたむきに見えるというのは、そうですよね。
もちろんクラシックの人たちの
ひたむきさ加減というのはとんでもないです。
ま、音楽家はみんなひたむきでもありますが、
ジャズマンは、演奏家であり作曲家なんです。
自分のやっていることは、
何の手本もなくその場で作ってるわけです。
何といわれようと、
それはぜんぶ自分の責任なのね。
そういうことをすべて背負っている人だから、
ワガママな部分は、かならず持っているんです。 |
|
糸井 |
ひとり一棟梁なわけですよね? |
山下 |
そうですね。 |
糸井 |
で、時間に遅れるっていうのはどうですか? |
山下 |
たとえば、
仕事の時間が終わって来ちゃったとか、
そういうことをやっていると、
こわくて頼めなくなりますよね。
ですから、そこの塩梅ですよね?
だから、
「才能」と、「やっていいこと」の
バランスはむずかしいということで。
|