<街のボス「ふくちゃん」> わたしには、自分ちのねこ以外に、 顔見知りのねこが何匹かいる。 ミグノンのことかもいるけど、 ほとんどがひとん家のねこ。 ひとん家のこではない街で暮らす、ねこたちもいる。 ここでも、前に書いたし(記事が見つけられず)、 インスタでは、牛とミッツよりも 「いいね」の数が多いこともある、顔見知りの地域猫。 スナックのおばさんが毎日のお世話をしていて 10年以上そのあたりにいる、ねこ。 わたしも10年くらい住んでたから、 けっこう長い付き合いの仲になったよ。 「仲」と言っても、 特別に心を開いてくれているわけでもなく、 会ったら声をかけるだけだけどね。 毎日会うわけでもなくて、何日かに1回会う。 わたしたちが会うのは、夜。 朝会うこともあるけど、だいたいが夜。 ある日、スナックのママがそのねこ (はじめは勝手に「ボス」と呼んでいた)に ごはんをあげているのをわかっていたので、 くわしいことを知りたくて、話しかけた。 そのときにわかったのは、 ・いつも見るこのこは、「ふくちゃん」。 ・ふくちゃんは、スナックで面倒を見ている 地域猫で去勢手術をしてある。 ・いつもいっしょにいるのは、 ふくちゃんより先輩の、シロ。 (ちなみに色は、ふくちゃんが白くて、シロがグレー。 うすいグレーのシロと、白いふくちゃん ここは慣れないと、混乱するポイントよ) ・もう1匹、ゴエモンみたいな名前の白黒もいたけど、 最近いない。 どこかにいってしまって、たぶん死んでしまった。 ・シロもふくちゃんも、10年以上暮らしている。 ということ。 外で暮らすねこの寿命は3年とか言われている中で、 そんなに長く生きられて、 なんならうちのねこたちよりも 太っているダイナマイトボディのふくちゃん。 スナックのママ以外にも、 色んな人にごはんをもらっていたんだと思う。 そこを通らなくても帰れるけど、 あえてふくちゃんの道を通るようにする日々。 「ふくちゃん、元気?」 「ふくちゃん最近見ないなぁ。どうしたのかしら」 「あれ?今日はシロだけ?」 「最近はシロ見ないなぁ。 ふくちゃんより歳とってるしな。だいじょうぶかな」 「わーふくちゃん、ひさしぶり、元気だった? だいぶ、薄汚れたね」 「あら、真っ白になったじゃない。どうしたの」 と、ご近所さんらしく、日々見守ってたのですよ。 ちょっと見ない日が続いてるときには、うろうろして スナックのママが出てこないか、待つ。 扉を叩く勇気は、ない。 会えたら 「最近、ふくちゃん見ないけど、来てます?」 って聞いてみたり。 何年も見守り続けていたんだけど、 去年引っ越しちゃったから、 毎日見に行けなくなっちゃった。 でも、近くまで行ったら 「今日はふくちゃんを見て帰ろう」 って、通って、会えたり会えなかったり。 あるとき、知らない女性が エサをあげているのを目撃して、 元カレのデート現場を目撃しちゃったみたいな? 心のザワッがあったよ。 「あー、わたしいなくても、うまくやってるのね。 そうだよね・・・」 みたいなね。 しかもまた別の日には、 わたしには一度もスリスリしてくれなかった ふくちゃんが、その人にスリスリしてたりして、 もう完全に、ジェラシー。 いつも、 ニュースキャスターのように植え込みから、 道路に向かっているのがかわいいふくちゃん。 マンションの駐車場のベンツの上に乗って 暖を取っていたのが、最高にかわいくて。 いっつもそのベンツなの。 他にも車あるのに、ぜったいにベンツ。 だいたいは右の列にあるベンツなんだけど、 左のベンツのときもある。 ときに、ベンツのとなりの車のときもあるけど、 基本ベンツを乗り回していた、ふくちゃん。 そんなふくちゃんが、1週間くらい前に会ったときに、 だいぶやせていた。 あんなにぷっくりしていたのに。 これは、きっと病気だ。どこかが痛いのかもしれない。 スナックに連絡しようかな?とか考えつつ日は経ち、 インスタに、あるメッセージが。 ふくちゃんが倒れているのを発見した、 ふくちゃんウォッチャーの方から。 ふくちゃんが亡くなっていたと。 お店の方にも伝えましたと。 びっくりして、帰りに行ったら、 お店からは大音量の「かもめが翔んだ」が聴こえてきて、 やっぱり扉を叩く勇気はないけど、 今日こそは叩かなくちゃなぁと思っていたら、 おじさんが出てきた。 「あのー・・・ふくちゃん。亡くなったって聞いて、 これ持ってきました」 「え、どうして知ってるの?」 「さっき、発見した人が連絡くれて」 「ああそうかー。ありがとうね。お線香あげてってよ」 おじさんからお線香をもらって、 近くのコンビニで買ったねこの缶詰をお供えして、 お別れを言うことができた。 「だいたいは、姿を消すんだけどなぁ。 ふくちゃんはここにいたんだよなぁ」 話してると、少し離れていたシロが、こっちに来る。 いつもは、ふくちゃんよりも、社交的じゃなくて、 あんまり近づけないシロだけど、 その日ばかりは、近づいてきた。 ふくちゃんの近くにいたかったんだね。 お店の扉が開いて、 「かもめが翔んだ」の次の曲が大音量で聴こえてきた。 中から、黒い服に身を包んだ、ママが出てきた。 「あぁ、あなた!」 ふくちゃん仲間として、覚えててくれたみたいで、 ふくちゃんの思い出話しをしていたら、 お店の中から、 「ママ!」 と呼び戻されるママ。 店から出て行く人もみんな、 「ふくちゃん、バイバイ」 と言いながら、帰っていく。 みんなから愛されていた、ふくちゃん。 ふくちゃん、おやすみ。ありがとう。 都会の地域猫の生きざまを、見せてくれたね。 まだ入ったことないスナックにも、 いよいよ行ってみようかな。 ▲1週間前の、ふくちゃんとわたし。 ふくちゃんの思い出はインスタでご覧くださいな。 ▲シロ。これからもよろしくね。グレーなシロ。 帰って、お2匹さんをだきしめたのは、 言うまでもありません。 こういうときに、ドコノコが活用できたら いいなぁ。と思ったですよ。 ふくちゃんウォッチャーの人たちに、 ふくちゃんのこと、 どうやって伝えたらいいんだろうか・・・。 さ、今週も、よいしょ〜っと。
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2016-10-24-MON