研究レポート その7
お子さまは酢がお好き?
ほぼにちは、カソウケンの研究員Aです。
先日、カソウケンの所員一同そろって
所長のお姉さんのお宅へ遊びに行き、
お姉さん夫婦に寿司屋に連れて行ってもらいました。
「何を頼んでも良いからね」
と気前の良いお姉さん夫婦。
ここぞとばかりに遠慮なくがっつく
貧乏人根性丸出しの所長と研究員Aなのです。
でも、なぜか研究員B(2歳児)がお気に召したのは
「もずく酢」。
自分の分だけでは飽き足らず
他の人のものまで手を出しています。
そして、もずくがなくなると
今度は刺身のツマを合わせ酢の中に入れて
黙々と食べているのです。
ふうん、安上がりなイイ子ね〜と思いながら
研究員Aはトロやら岩ガキやらを堪能したわけですが。
そしたらタイミング良く
つい最近のこんな研究を見つけました。
Liem D. G. & Mennella J. A. Chemical Senses 28, 173 (2003).
子供たちに
濃縮レモンジュースよりもさらに!酸っぱくしたゼラチンと
それよりもマイルドな味のゼラチンを
食べ比べてもらった実験です。
「濃縮レモンジュースよりも酸っぱい」なんて
聞いただけでも口の中が唾液でいっぱいになりそうです。
でもなんと、1/3の子供が酸っぱい方のゼラチンを好む
という結果が得られたそう。
ちなみに、その子供たちの母親にも食べ比べてもらうと
酸っぱい方を選んだ人は皆無だったとか。
というわけで
「大人よりも子供の方が酸っぱいものが好き!」
という結果の研究なのですが。。。
ここで、「あれ?」と思われた方、いませんか?
「子供は酸っぱいものが苦手なはずでは?」と。
ちなみに、研究員Aもこの研究結果を知るまでは
そう思っていました。
「生きるために必要な物質は
体が喜んで食べるよう味覚が進化した」
という説です。
どんな説かといいますと。。。
甘味・塩味・旨味は一般的に好まれる味ですが、
これらは
・甘味→大切なエネルギー源になる糖分
・塩味→たんぱく質の働きの調節などに不可欠なミネラル成分
・旨味→身体に必須のタンパク質を作るアミノ酸
(グルタミン酸など)
→DNAとなる核酸(イノシン酸など)
というように生物にとって欠かせない物質だから。
一方、酸味や苦味は
・酸味→腐敗物や未熟な果実のサイン
・苦味→毒物のサイン
ということで、乳幼児や動物は本能的に拒絶する。
という具合に、生物の味覚の好き嫌いが進化した
というもの。
ただ、ニンゲンの場合は
酸そのものが体に悪いモノではないこと
苦いもの全てが毒物ではないことを知っているので
酸味や苦味も楽しむ食文化を築いてきた
ということです。
この説を知るまでもなく
小さいお子さんをお持ちの方は
子供に野菜を食べさせるのに苦労した経験から
「うんうん」とうなずいて頂けるのでは〜と思います。
言われてみれば、研究員Aも苦いものは
年をとるまでは美味しくないと思っていました。
山菜もコーヒーも、小さい頃は
「ナニが美味しいのさ?」と思っていましたが
今ではどちらも積極的に好きですもの。
というわけで
「子供の方が酸っぱいものが好き」
vs
「乳幼児は酸味を嫌う」
と、「酸味」に関しては矛盾するハナシに!
そういえば、離乳食のレシピ本など見ると
ある本では「赤ちゃんは酸味や苦味を嫌うので」
と書いてありますが、別の本では
「赤ちゃんの好きなさわやかな
トマトの酸味がアクセントの〜」
なんて書いてあったりします。
で、「どっちがホント?」
とフシギに思った記憶があります。
研究員Bの場合、もずく酢に限らず
赤ちゃんの頃から酸っぱいものは平気な子でした。
トマトも、ヨーグルトも好物です。
40歳に足を踏み入れつつある所長の方が
よっぽど酸っぱいものが苦手。
ドレッシングを作っても「もうちょっと酢を減らして〜」
と注文するから、「なんてオコサマな味覚なんだ。」
と思っていたのですが。
でも、「子供の方が酸っぱいものが好き」説によれば
それもあり得る話になるのでしょうか?
ちなみに、研究員Aは酸っぱいものは大好き〜。
現在はオレンジやレモンを使った
お菓子作りなどにハマり中。
そして、「子供の方が酸っぱいものが好き」説の研究には
次のような面白い結果も報告されています。
「酸っぱい味の好きな子供たちは
食べ物の好き嫌いが少なく
より多くの種類の果物や野菜を食べた。」
というのです。
確かに、研究員Bは今のところ食べ物の好き嫌いは
それほどありません。
(ま、子供は気まぐれだからこの回がupされるころは
どうなってるかはわからないのですけど)
ちなみに現在の彼のブームはきゅうり。
おやつにきゅうり一本丸齧りして楽しんでいます。
ラクだし安上がりで助かるのですが
それなりの「苦味」もあるはずの野菜です。
「酸っぱいものが好きな子は、苦いものも嫌いではない」
ということは、そのような子供たちは
「味のセンサーが敏感ではない」ために
酸っぱいものも苦いものもへーき、になるのかも!
というのが研究員Aの勝手な予測です。
「味のセンサーが敏感ではない」は
言い換えると「味オンチ」。。。
実際、お風呂で浴槽のお湯を飲んで「うんまいね」と言う
研究員Bを見ていると、それも否定できない母なのです。
それとも、ナニか良いダシでも出ているの?ひゃあ。
それに、「酸味」は腐ったもののシグナルでもある一方
最近は「健康に良い」と注目されている味でもあります。
梅干しやレモンの酸っぱさの成分であるクエン酸
今はちょっとしたブームですよね。
クエン酸で血液サラサラに〜とか
クエン酸でダイエット〜とか。
となると、実は「酸味」って
「生物に欠かせない物質」なのかもしれませんね。
さてさて、ヒトは本能的に酸味が好きか嫌いか?
当カソウケンには
離乳食を始めたばかりの研究員Cという
都合の良い実験材料が!
というわけで、今後もこの説を追跡していきまーす。
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参考サイト
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