ホーメイ、大流行か?!
奇跡の声をもつ男、
ボロット・バイルシェフさんが来日します!

日本からアルタイに行くには
3日間かかるんですよ。


ほぼにちわ。たんじふみひこです。
普段はアノニマ・スタジオという本のレーベル
編集者をしてますが
『ボロット・バイルシェフ
  in JAPAN 2004』コンサートでは
私は「アルタイ文化研究会・会長」として、
運営面を担当しています。

先程、アルタイから3日間かけて
ボロットさんが日本に到着したという
連絡を受けたのでこれから、
ボロットさんのお迎えにいってきます。
それも「アルタイ文化研究会・会長」としての
大事なお仕事。
これだけ気軽に海外旅行が出来るようになった
この時期に最短で3日間かけて行く場所って
みなさん想像できますか?

今回はボロットさんが歌う
「カイ」のことを中心に、
アルタイのことをご紹介したいと思います。

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ボロットさんは、アルタイのシャーマンが
2000年の長きにわたって伝えてきた
「カイ」と呼ばれる英雄叙事詩をうたいます。
楽譜や歌詞を記録したものはなく、
すべて口承で伝えられたものです。
長いものでは歌いきるのに
7日7晩もかかるといわれる(!)
叙事詩ですが、もちろんカイの歌い手カイチたちは
すべて記憶しています。
しかしボロットさんの歌を聴いていると、
それは憶えているのではなく、
まさにからだから湧き出てくる、
というイメージが近いように思います。
アルタイ人のからだに埋め込まれた
何世代にもおよぶ記憶が、
歌とともにするすると呼び出されている。
そんな気がしてきます。
「カイ」は、言葉によるメッセージではなく、
太古の物語や知恵を、歌とともに情景として展開する
時間を超えた解凍ソフトのようなものなのかもしれません。

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ぼくはアルタイ語を知りません。
ですから歌詞の内容もアウトラインしか理解できません。
ですが、ボロットさんの歌を聴いていると
アルタイの情景が脳裏に浮かんできます。
また見ぬ山々や湖が、草原をわたる風が、
そこに生きた人々の営みが、
自分をすっぽりと包んでいるのを感じます。

これは普通に歌を聴く、というのとはちょっと違います。
うまい表現が見つけられませんが、しいていえば
「歌に身をゆだる」という感じでしょうか?
驚異的な声にからだの奥底を揺すぶられて、
ひとつひとつのことばを
追いかけることではあり得ないような
情報量が一瞬にして伝わってくる。
それはひとつの超越体験と言っていいと思います。

この「歌に身をゆだねる」感覚
「歌に包まれる」感覚が、
「カイ」の大きな魅力です。
しかしそれ以上に、
「カイ」を通して語られる自分たちの祖先の物語、
世界のとらえ方が、
文字を持たなかったアルタイ人たちの
アイデンティティになっていたのでしょう。
だからこそ「カイ」はシャーマンたちによって
伝承されてきたのです。

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「カイ」は、「喉歌(のどうた)」と呼ばれる唱法です。
「ほぼ日」でも何度か紹介されていた
トゥバ共和国の「ホーメイ」や
モンゴルの「ホーミー」の、
いわば兄弟といってもいいでしょう。
モンゴルのホーミーは、
楽曲的には非常に中国的な音楽です。
(おおざっぱに表現すれば、
 「ちゃわわわわんわん、わんわんわ〜ん」
 という感じ、です)
その西に位置するトゥバのホーメイは、
中国の影響はかなり薄れ、
草原の風に乗って届いたような音楽です。
さらにその西に位置するアルタイのカイは、
すでに中国の影はなく、
しかし、かといって西洋の音楽ではあり得ない、
不思議な音楽です。
それは、アルタイの複雑な歴史の影響かもしれません。
ロシア、カザフスタン、中国、モンゴルと
強い国々にかこまれた小国アルタイは、
歴史の中で何度も戦いの場になりました。
アルタイは東と西の覇権争いの
交差する場所でもあったのです。
その戦いに巻きこまれる歴史のなかで、
しかしアルタイ人は自分たちの文化を
かたくなに守り続けました。
それが「カイ」という
叙事詩の中に結晶しているのです。

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今回、11月18、19日に行なわれる
東京公演は飯田橋のトッパンホールを
会場に選びました。
http://www.toppanhall.com/jp/index.html
このホールは座席数400人の小さなホールで、
基本的にクラシック専用です。
特殊な構造を持ち、地下鉄や高速道路など
近隣の騒音や振動を限りなくゼロに近づけ、
演奏者の息づかいまでも
観客に伝えることに成功したホールです。
ボロットさんのめくるめく倍音の世界、
口琴のささやき、トプショールの弦のこすれまでを、
じっくりとお楽しみいただけます。
※東京公演で当日券をお求めの方は、窓口で
 「『ほぼ日』見ましたよ」とおっしゃっていただければ、
 前売り料金で当日券をお売りいたします!
 チケットが残りわずかになってきました。
 確実にご覧いただくためには、
 チケット窓口までお電話で
 ご予約いただくことをおすすめいたします。
 電話03-3486-7727(青い鳥創業



Information


「宇宙の命脈」ボロット・バイルシェフ
  in JAPAN 2004


アルタイの山々に木霊する
驚異の声帯がもたらす宇宙の音楽。
東京公演はクラシック専用のトッパンホールを舞台に
微細な倍音の彩りを心ゆくまであじわってください。
インフォメーションサイトはこちら。
http://www.makigami.com/bolot/

東京公演※終了しました。
11月18日(木)19日(金)
開場:18:30 開演19:00
会場:トッパンホール(東京・飯田橋)
出演:ボロット・バイルシェフ
   (カイ、トプシュール、ショール、口琴)
   巻上公一(ヴォイス、口琴、テルミン)
   佐藤正治(パーカッション、ヴォイス)
トークセッション:
   田口ランディ(作家)、
   菅靖彦(翻訳家、トランスパーソナル学会副会長)

チケット:前売り5,500円 当日6,000円 
     学割5,000円(直販のみ)全席指定
取り扱い:青い鳥創業
    (03-3486-7727 平日10〜18時)
     チケットぴあ
    (Pコード184-938 tel.0570-02-9999
     または03-5237-9966)

富士吉田公演※終了しました。
11月20日(土)
会場:富士吉田ナノリウム(山梨県富士吉田市)
http://www.fujigoko.co.jp/Events/yoshida/bolot/
問合わせ+チケット:tel.0555-24-2938

京都公演※終了しました。
11月23日(火)
会場:くろ谷 永運院(京都市左京区)
http://www.kbic.ne.jp/%7Eviewboo/mai2-69/
e-mail:maimai-69@k9.dion.ne.jp

沖縄公演
11月28日(日)十六夜(いざよい)
会場:読谷村 座喜味城跡(ざきみぐすく)
http://www.karacara.com/text/bolot/
問い合わせ カラカラ編集部 098-857-8401

2004-11-16-TUE

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