いいものを編む会社。ー気仙沼ニッティング物語 2011年の11月、糸井重里の発案で ひとつのプロジェクトがじわりと動きはじめました。 それは、編みものの会社をつくるプロジェクトです。 拠点となる場所は、東北の気仙沼。 「ほぼ日」の支社がある漁師町で 最高のフィッシャーマンズセーターをつくることが、 「その会社」の仕事です。 セーターは、手編み。 編み手は、気仙沼のおかみさんたち。 すばやく大量にはつくれないけれど、 編む人がたのしくて、買う人がうれしい! そんな、わくわく感で両者がつながる セーターづくりを目指していきます。  プロジェクトで決まったことや進んだことを、 すこしずつ不定期におしらせしますね。 「気仙沼ニッティング」のレポートは、ここから。
イントロダクション ここまでの歩みと3人のキーパーソン。

港まち、漁師(フィッシャーマン)のまち、気仙沼。

さまざまな縁が重なって、
「ほぼ日」がこのまちに支社を開設したのは、
2011年11月1日のことでした。

その数週間後、とある金曜日の午後に、
こんな書き出しで始まるメールが
「ほぼ日」の全乗組員に届きました。

件名:気仙沼「フィッシャーマンズニット」プロジェクト。

イトイです。

気仙沼で「手編みニット」を
仕事にしていくプロジェクトを進めていきたいと思います。

ここからです。
このときからじわりと、
「気仙沼ニッティング」のプロジェクトは動きだしました。
ドキドキ‥‥!

〈プロジェクトの最初のイメージ〉

  気仙沼に「編みものの会社」をたちあげて、
  「手編みニット」を東北の新たな産業にしていきたい。

 気仙沼のおかみさんパワーを頼りにしよう。

 「被災地の品物だから」ではなく、
   買う人が心からほしいと思う一流のセーターをつくる。

  たちあげた会社は、
  のちのち丸ごと気仙沼の方々にお渡しする。

なかでもとりわけ大きなポイントは、
「ほんとうにほしいと思う一流のセーター」、
これをしっかりとつくりあげること!
つくる側も買う側も、両者がわくわくと心を躍らせる、
「うれしくてすてきなセーター」が真ん中になければ、
プロジェクトはきっと前に進みません。

理想のセーターをデザインする軸として、
この女性にプロジェクトへの参加をお願いしました。

三國万里子さん。

ひとりめのキーパーソンは、
「ほぼ日」と縁のある、編みもの作家さんです。
セーターのデザインはもちろん、
気仙沼の人たちに技術を伝える役割もお願いしました。

三國さんと糸井は、打ち合わせを重ねました。
「みんなはどんなセーターがほしいんだろう?」
「自分がいちばんうれしいセーターはどんなの?」

毛糸と親しくなるために糸井は、
三國さんから実際に編みものを習いましたよ!

何日もかけてちいさな「目薬用ポーチ」が完成。
おおー、かわいいかもしれない!?

三國さんには、気仙沼を訪ねていただきました。
わあ、雪。
これは初めて訪れた2月の写真です。

2度目は、5月に。
このときは、「編み手」となる、
気仙沼のおかみさんたちと顔合わせをしました。

ここでまたひとり、大切なキーパーソンの登場です。

斉藤和枝さん。

気仙沼で水産加工業を営む「斉吉商店」のおかみさんです。
なにかとお世話になっている和枝さんは、
編みもののプロジェクトにも
大きな力を貸してくださっています。
この日は、ハイレベルな編みものの技術を持つ
気仙沼の女性を紹介してくださいました。

どなたもみな、明るくてたのしい方ばかり。

ご自分が編んだものを見せていただくのはもちろん‥‥

試しに編んでもらった、
ミトンを提出していただきました。

編める女性たちが、
もう、すでにこれだけ集まったのです。

さて、
こうした活動を続けているうちに、
季節は初夏へと変わってゆきます。

6月。
ここで大きな動きが起こりました。
なんと、プロジェクトメンバーの数名が、
アラン諸島へ向かうことになったのです!

アラン諸島‥‥それって、どこにあるの?
地図でいうならここにあります。

アイルランドの西にある、ぽつんとちいさな3つの諸島。
船でたどり着いたときの様子はこんな具合でした。

大きな樹が1本もない!

岩だらけ!

きれいだけれど‥‥気仙沼とはずいぶんちがいます。

かつてこの島では、
編みものがひとつの産業として栄えていました。
独特な模様の「アランセーター」は、
アメリカや日本に今でも多くのファンを持っています。

全行程10日間に渡るこの旅は、
糸井重里が出演するNHK BSプレミアムの
ドキュメンタリー番組「旅のチカラ」のためのものでした。
(くわしくはほぼ日ニュースを)

機会があれば、ぜひご覧ください。

糸井が番組の撮影をしているあいだ、
同行した「気仙沼ニッティング」のメンバーも、
この島で多くのことを学びました。

同行したメンバーとは‥‥。

ここで、
3人めのキーパーソンを紹介しましょう。

「気仙沼ニッティング」のプロジェクトリーダーです。

御手洗瑞子。

以前、「ほぼ日」のこのコンテンツ
登場した女性です。
彼女が、「気仙沼ニッティング」のリーダーです。
どうして‥‥?
それについては、またあらためて。

なにはともあれ、
この3人のキーパーソンが、アラン諸島へ行ったのでした。
にぎやかにたのしく、好奇心を最大にふくらませて!

三國万里子さん。


斉藤和枝さん。

 

そして、プロジェクトリーダー・御手洗瑞子。

3人は、それぞれの目をパチッと開き、
多くのアランニットに触れてきたといいます。

「編む人」との、出会いも!

みな熱心に、アランニットのことを教えてくれます。

互いに「編む人」だからわかる、尊敬に満ちた瞬間。

どうやら「すごくたのしかった!」みたいですねー。

岩だらけの島々で体感した、
様々なことは、いずれまたここに記す予定です。

この3人の女性たちについても、
もうすこしくわしくご紹介しますね。

それぞれの役割と、お人柄とかも。

ついでのようにおしらせすれば、
レポートの編集は「ほぼ日」の山下が、
デザインと写真は「ほぼ日」の山川が担当していきます。

すこし長めのイントロダクションになりました。

ともあれ今日も、
「気仙沼ニッティング」のプロジェクトは動いています。
すこしずつですが、進んでいます。
その進行に歩幅を合わせて、レポートをお届けしますね。
よろしくたのしくお願いします!

そうそう、この8月の下旬には、
もっと「編む人」に出会うため、
気仙沼の人に向けたワークショップを開くんですよ。
講師はもちろん、三國万里子さん。

 ※このワークショップへのお申し込みは終了しました

そこでもまた、じわりとIPPO、進むことでしょう。

さあ、次の更新が、「レポート♯1」。
最初はやはり、あらためて糸井重里に、
「気仙沼ニッティング」のはじまりを訊いてきました。
そもそもどうして、
このプロジェクトを思いついたのでしょう‥‥?

(来週につづきます!)


2012-08-22-WED


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