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同僚から初物のブドウを頂くたび、
病室に入れなかったことを思い出す。
最期の機会だったのに。
中学からの友人のお母さまは
わたしによくして下さった。
わたしが好きな餃子の日は連絡を下さり、
包むのからご一緒してお相伴に預かった。
公文の先生でもあり
高校2年で数学に落ちこぼれた私が
現役で大学合格でき
今の私があるのはその方のお陰だ。
娘の中学入学を機に
出身地に戻ってきて
わずか3年、
その方は癌で亡くなってしまった。
ブドウを持って
それまで何度訪ねたか数えらえないほど親しんでいる
友人の家を訪ねたのだが
私の知らないご親族がケアのリードをされている
病室の雰囲気に飲まれて、
部屋に入れずに帰ってきてしまった。
今年はもう15回忌。
あと10年くらい経ったら
わたし、おばちゃんの歳に届いちゃうよ。
ご命日にはお参りに行くから
待っててね。
(かなえゆい)
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