── | 二十四節気が変わりましたね。 「穀雨」です。 穀物に実りをもたらす雨が降り注ぐ。 必ずしも雨が多いわけではないけれども、 菜種梅雨(なたねづゆ)というようなことを 言われることもある、と。 |
いい言葉ですね、「穀雨」。 |
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── | 恵みの雨っていう感じがしますね。 そして七十二候は「葭始生」。 アシが芽吹くんですね。 |
アシかぁ~。 |
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── | 枯れきっていた水辺に、 アシの若芽が芽吹く! アシは、「ヨシ」とも呼ばれるすだれの原料。 これはもう、 生活に必要な植物が芽吹くので、 嬉しいことですよね。 |
ちょうどゴールデンウィーク前くらい。 |
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う~ん、いいなあ。 葭が生えてきた、みたいな季節感は 東京に住んでいるとなかなか‥‥。 |
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── | 不忍池(しのばずいけ)とかはもしかして? |
ああー! あるかもしれないですね。 |
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── | 枯れたと思っていた植木に 芽が出ていた時もびっくりしますよね。 |
ああ、いいですね。 |
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── | 抜かずに放っておいて良かったと思って。 自分が怠けたことに感謝します。 |
ほんとにそうだ。 眠ってるだけだったりしますもの。 |
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── | 植物は丈夫ですよね。 さあ、「眼張(めばる)」。 またかわいいお魚です。 「春告げ魚」と呼ばれます。 |
受け口ですよね、眼張。 |
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── | 目が大きくて受け口。 かわいい特徴ですね。 |
しかも、おいしいですねえ。 |
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── | 「身離れがよい」、そうね。 眼張食べたいなあ。 唐揚げもおいしいです。 |
お腹すいてきましたね(笑)、 眼張のこと考えたら。 |
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── | そして旬の野菜には「筍」! 竹かんむりに旬と書いて、タケノコ! |
ううー、来たー、来たー!! |
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いいですよね。 |
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── | 筍、この季節は食べる、食べる。 食べ過ぎて腹がつまって えらいことになったことがあります。 みなさん気をつけてください。 よく噛んで適量を心がけましょう。 |
ちょうど今どきがいいですよね。 ゴールデンウィークになっちゃうと 大きくなりすぎちゃう、ちょっと。 |
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── | そうですね。 早いうちがいいです。 とれたては本当に根に近い方まで柔らかいから、 こーんなに厚く切ってもいいんです。 |
そうそうそう。 |
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あと刺身とかね! |
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わわ、うまいうまい。 |
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── | 刺身って本当に生? |
生ですね。 京都に筍料理専門店があるんですよ。 |
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── | 京都は専門店が多いですね。 いろいろ。 |
え、この季節しかやらないんですか? 通年? |
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行ったことはないんですけどね。 なんていう店だったかな。 ちょっと待ってくださいね。 長岡京だったかな。 あ、「錦水亭」です。 明治十四年の創業。 通年営業のはずです。 |
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── | いいなあ。筍料理かあ。 |
京都の竹林と筍料理店って もう対になっている感じがする。 そういうイメージですよね。 |
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── | でも明治だから そんなに古くはおまへんがな、みたいな? ついこないだやん、みたいな? |
そうですね、京都では 老舗に入らないですね(笑)。 |
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── | やっぱり。 ほら~、京都の人は~。 でも、いいですね。 どんな料理があるんですか? |
掘りたてで、まさに筍料理。 筍会席なんですよ。 |
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ほぇ~。 |
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三月中旬から五月末までは 筍料理のみ、って書いてあります。 「若竹すまし汁」とか。 |
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── | ああ、そっか、すまし汁もおいしい! |
じきたけ。 |
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── | じきたけ? |
登録商標ってあります。 輪切りにした筍を秘伝のだしで煮るそうです。 これが看板料理かな? ほかにも「田楽、むしたけ、てんぷら、焼竹、 酢の物、たけのこ飯」。 |
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うわぁーーーーー! |
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もう、筍づくしですよ。 |
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すごい。おいしそう! |
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── | おいしそう! |
筍ほりには行ったことありますか。 |
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── | 両親が大好きなんですが、 ぼくは怠け者なので、 「とって来て~」。 |
難しいんですよね。 だって頭が出ているうちに 見つけなきゃいけないから。 |
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── | 土が盛り上がってるだけのところを 掘っていって、 きれいに取り出すという。 あれは楽しいらしいですよ。 そういえば弊社モギは 母校の裏が竹林で、 教授と筍バーベキューを したことがあるそうです。 |
いいなあ。 |
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京都だと、塚原っていうところが 有名なんですよ。高級で。 |
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それは料理店ですか? |
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いや、地名です。 |
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筍の取れる地? |
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そうです。 |
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── | 京都って人口すごいあるんだから みんなが行ったら すぐなくなっちゃいそうです。 |
あははは。 |
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── | ちょっと全然関係ない話していいですか。 この間、静岡に帰ったら ちょうど桜が満開だったんですけど、 誰も花見をしていないんですよ。 いわゆる「花見の宴会」ですね。 友人いわく「なんで東京の人は 前の日から番取りまでして 桜の下で宴会をするのだろう」と。 言われて気がついた。 花見なんかしたことなかったです。 |
え、地元で? 一度も? |
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── | はい。 |
おやぁ~。 |
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── | 桜はたくさん咲きます。 桜をみながらそぞろ歩きもすることもあります。 でもどんちゃん騒ぎはしない。 もしかしたらあれって江戸文化なんじゃ? と思っていたら、友人が教えてくれました。 吉宗公が喧嘩と火事は 江戸の花と言われる時代に 延焼を防ぐ目的で 桜を土手などに植え、 花見を奨励したのが そもそもの始まりなんですって。 それは浮き世の憂さ晴らし。 だから落語の世界にも花見は出てくるし、 江戸町人文化としての花見が 現代の東京にも残っている、と。 |
さすが名君ですね、吉宗公。 |
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── | 名君でございます、吉宗。 |
庶民のガス抜きってことですね。 |
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蛤を結婚式にっていうのも 吉宗でしたものね。 |
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── | グルメで審美眼のある人だったんですね。 洋書の輸入を許したことで蘭学ブームになったり、 狩野派に師事して絵も書いてるし、 ベトナムから象を輸入して江戸に運んで 江戸に象ブームをおこしたりしてます。 「享保の改革」や 「米将軍」として有名だけど、 いろいろ逸話の多い人ですよね。 |
質素倹約の人でもあるんですよね。 食事は2回、一汁三菜だったというし、 華美な服装を嫌って木綿を着ていたというし。 |
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── | 経費削減で大奥の女性を 解雇しなくちゃいけないってときに 美人から先に解雇したんですよね。 美しければ働き口があるだろうと。 結果「おへちゃ」な女性が大奥に残ったらしいです。 |
── | 政治家としてすぐれていたんでしょうね。 なんだか私たちらしからぬ話でございました。 「若布」に行きましょう! わ・か・た・け~。 |
またIKKOさんみたいに(笑)。 いわゆる「出会いもの」ってやつですね。 |
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しかし、若布に季節があるっていうのも ちょっと驚きました。 |
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── | 気仙沼からやってきたのを頂きました。 知らなかったんですよ、 若芽と茎若布とメカブが、 1本の昆布の部位のちがいだってこと。 |
一本で三度おいしい、と。 素晴らしい。 |
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── | 気仙沼でいただいた若布のしゃぶしゃぶの おいしかったこと! |
ええええー。 そんなのあるんだあ。 何つけて食べるのかしら。 ポン酢とか? |
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── | ポン酢系のものと、 気仙沼特有の つけ汁みたいなのがありました。 若布は八世紀の『大宝律令』にも 記されたとあるから、 日本人は若布をずーっと食べてきたんですね。 若布って調理法は少ないけど 全般においしいですね。 若芽ごはんも若布スープも。 他の国でなぜ食べないんですかね。 |
韓国は食べますよ。 |
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── | ヨーロッパの人は? |
ああ、そうね。 |
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── | たしかスコットランド料理や アイルランド料理には海藻を使うものが あったような‥‥。 モギはアメリカ人に 「ヘンタイ!」って言われたそうですよ。 海藻食べるなんて、って。 |
気持ち悪いって言うんですよねえ。 おいしいのにね。 |
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── | ということで今回はたっぷり しゃべってしまいました。 次回は「霜止出苗(しも やんで なえ いずる)」。 4月25日にお会いしましょう。 ありがとうございました。 |
2013-04-21-SUN |