糸井 |
三宅さんとは、
娘どうしが仲良くさせていただいていて。
話を聞いてると、
たのしそうなつきあいなんです。 |
三宅 |
うちの娘と、
糸井さんのおじょうさんが、同じ学校の出身で。
学年はうちのほうが、ふたつ上なんですけど、
気があって、よく家に遊びにきてくれるんです。
やっぱり、感性が似ているみたいですね。
「おもしろがるところ」とかが。 |
糸井 |
そうですねぇ。
三宅さん、クリスマスの催しだとか、
いろんなことをしてるんですよね?
そこに娘が遊びに行ってたって。 |
三宅 |
よくやってましたねぇ、昔は(笑)。 |
糸井 |
土屋さんは、
三宅さんのことを、
仕事人間だと思っていたでしょう? |
土屋 |
ええ。
だから、今のお話を聞いて、驚きました。 |
三宅 |
家庭は、大事にしています。
家庭あっての自分、ですからね。
娘の小学校卒業の時には、
自分に何ができるかって考えて、
「じゃあ記念のビデオを作ろう」
ということになりました。
娘の学校にひとりで行って、
生徒全員のコメントを撮って、
自分で編集して、みんなでお金を集めて……。
最後、卒業式の日に「何組誰々」と、
校歌がBGMで流れるところに、
クラス全員の名前を
ロールで出したビデオを完成させました。
なかなか感動的で、好評だったんですけど、
そういうのは、好きでやってるんですよね。 |
糸井 |
すごいなぁ。
娘さんを見ていると、
マイホーム的に
べったりしているわけではないけど、
「ものすごく大事にされて育っている」
ということが、伝わってくるんです。
それって、
三宅さんの作る番組にも出ていますよね。 |
三宅 |
そうですか?
ぼくは、
生活も仕事も、あんまり、変わらない。
どこまでが遊びで、どこまでが仕事か、
あんまり境がないほうが、
いちばんラクだなと思ったんです。 |
糸井 |
遊びと仕事の境がないディレクターって、
多いタイプではないですよね。
土屋さんは、会社が違うけど、
そういう人、あんまり知らないでしょう? |
土屋 |
たまたま最近、
「仕事とプライべートとの
境ってあるんですか?」
と聞かれたことがありました。
ぼくの答えは
「境目はないです。
だからずっと仕事をしてます」
と、三宅さんとは逆になっちゃったんです。
さっき、三宅さんが、
たまたま糸井さんのお嬢さんと
話しているのを聞いて、
「あ、ぜんぜん違う雰囲気だ」と思いました。
ぼくは、娘のともだちに対して、
あんなふうには話せないと言うか……。 |
糸井 |
土屋さんのお子さんは、
けっこう大きいんですよね? |
土屋 |
ええ。
上は男が21歳で、下に娘がいますけど、
やっぱり、
「仕事をしている最中に、
子どもたちがどんどん大きくなった」
という感じです。
子どもたちが
「かわいい」と言われるような時代には、
ぼくは、ほとんど家にいなかったので、
ものすごい精神的な壁があるんですよ。
だけど、
そういうものなんだろうな、と言うか、
テレビ屋っていうのは
それが宿命なんだろうな
と思ってたら……三宅さんが、
そうじゃないらしいと伝わってきた。
だから、衝撃的だったんです。
ぼくはやっぱり、三宅さんと言えば
「ひょうきん族」のディレクターなんです。
今日は、才気走っているというか、
破壊的な人を想像して、
ここに来たんですが、それが違っていたと…
「笑い」って、
やっぱり壊すところがあるじゃないですか。 |
三宅 |
ええ、壊しますね。 |
土屋 |
笑いに関わる人は、
「自分も壊して、人も壊して」
みたいなところに進んでいくんじゃないか、
と思っていたところがあるんです。
三宅さんは、そういうところは、
もう、抜けてしまったということでしょうか? |
三宅 |
土屋さんがおっしゃっていることは、
よくわかります。
ただ……自分のことで言うと、
まだADの頃に、
萩本欽一さんの前で思ったんですよ。
「この人には、もう、
何をつくろったりしてもダメだな」と。
こちらがふつうにしていないと、
「話をすること」さえできないんです。
萩本さんに限らず、
すごい人たちには、ヨイショしても、
心の内をすぐ見破られてしまう。
だから、こちらとしてはもうふつうに、
イヤなものはイヤだとか、
おもしろくないものはおもしろくないとか、
ふつうにいかないとダメだと。
かっこよく言ってしまえば、
「人間的に大きくなることで
ついていかないと、やっていけない」
と言いますか。
だから、嫌われてもいいから、
「大将、もう時間ですから」と、
ハッキリ言ってしまうだとか、
自然に、ふつうにしていかないと、
小手先ではダメだなぁということを、
萩本さんからは、教わったんです。 |