糸井 | どうもどうも。 |
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中畑 | お久しぶりです! |
糸井 | いやー、ほんとに久しぶりですね。 |
中畑 | ほんとですねぇ。 まぁ、糸井さんはずっと ジャイアンツファンだから なかなか会いに来づらいだろうけど。 |
糸井 | いやいや、そんな(笑)。 |
中畑 | でも、まぁ、 自分がどこのファンかっていうのは どうしようもないことだから。 |
糸井 | うん。 自分でも、こんなにファンなのは どうなのかなとよく思うけど、 しょうがないですね。 |
中畑 | しょうがないですよ。 だから、ここ(横浜DeNAベイスターズ)は ここでよさがあるっていうのが、 少しずつわかってもらえるようになったら、 おもしろいと思います。 |
糸井 | はい。 おもしろいチームになりましたよね、 ベイスターズは。 |
中畑 | おもしろいでしょう? |
糸井 | うん、おもしろい。 なんというか、ほかのチームに 影響を与えるようなおもしろさがありますよね。 |
中畑 | もう、いい意味で、そうなってくれれば。 まだまだ勝負につながってないところはあるけど、 そういう存在感というか、 個性は出てきたと思うんだよね。 でも、裏返せば、そういうものさえ、 いままではなかったんだから。 |
糸井 | ああ、そうなんですかね。 いや、伝統あるチームなんですけどね。 |
中畑 | でも、まぁ、ここ10年ぐらいは、 選手もフロントの人間たちも みんなちょっとかわいそうだったな、 っていうのは現実問題として あるんじゃないかな。 |
糸井 | うーん。 |
中畑 | やっぱり、親会社が変わるっていうのは 大きなことだと思うんですよ。 (※2002年、親会社がマルハからTBSへ。 その後、売却の話が進行するも合意に至らず、 2011年12月、DeNAが親会社に) 監督が変わることなんかよりよっぽど大きい。 会社そのものが変わっちゃうんだから。 そういう不安は半端じゃないと思う、ぼくは。 |
糸井 | そうですよね。 |
中畑 | そういう中で、集中してやれって言ったってね。 ぼくがその立場だったら やっぱり不安でしょうがないですよ。 勝負どころの話じゃないね。 だから、もともと集中できる状況に なかったチームだと思うんですよ。 選手はもちろん、首脳陣も、フロントもね。 そこからスタートしてるんですから、 やっぱり、これから新しく つくっていくチームなんです。 |
糸井 | うん、うん。 |
中畑 | それを理解するとね、逆に、 「ああ、いまはまだムリかなぁ」って 妥協しなきゃいけない部分もわかるようになる。 それはもう、しょうがない。 でも、いままでの野球界のやり方で、 ここにこうお金をつかえば勝てるっていう野球は もういいんじゃないかなとぼくは思う。 |
糸井 | なるほど。 |
中畑 | もちろん、勝ちたいですよ。 勝ちたいということは常に頭にあるんだけども、 その勝つ方法論、勝つことへの意識っていうのは、 これまでの野球界の考え方とは やっぱり違うものを追いかけていきたい。 このチームならではのオリジナリティを つくっていきたいですね。 |
糸井 | だから、いまのベイスターズには、 どういう性格のチームが、 どういうふうに勝つかっていう、 ふたつの種類のたのしみがありますよね。 |
中畑 | そうですね、ええ。 |
糸井 | 中畑さんが監督になってから2年経って、 どういう性格のチームなのかっていうところは だいぶはっきりしてきたような気がします。 |
中畑 | そうですね。 できれば、お金はあんまりかけないで、 チームの土台には生え抜きの選手を持ちつつ、 いま勝つための補強はしっかりする。 でも、土台にある自分たちの オリジナリティは絶対大事にする。 そういうふうにあるべきだと ぼくはもともと思っているんだけど。 |
糸井 | それは、DeNAの監督になる前から 中畑さんが持ってた考え方ですよね。 |
中畑 | そうです、そうです。 それはだから、曲げる必要ないから、 だから、ぼくやれてるんですよ。 それ、やらしてくれるから。 |
糸井 | じゃあ、そういう意味では、 ここで監督ができてよかったという思いが。 |
中畑 | あります。ここでよかった。 自分のオリジナリティというか、 自分の原点というのはこうなんだということを、 受け入れてもらって スタートできるわけだから。 つまり、球団は、こういう私を選んで、 責任を与えたわけですよね。 だから、俺がダメだったら、 その責任は選んだ側にもあるんだよ、 っていうところまで言えるわけです。 |
糸井 | なんか、高校野球の、 新しい学校の監督になったみたいな。 |
中畑 | ああー、似てるかもな。 |
糸井 | じゃあ、やっぱり、中畑さんならではの 野球チームをつくらないといけないですね。 |
中畑 | そうそうそう。 いままでにない、 おもしろいチームをつくらなきゃね。 だから、ぼく、評価される監督になりたいとか、 そういうの、ぜんぜんないの。 |
糸井 | はぁはぁはぁ。 |
中畑 | お客さんが満足してくれる、 お客さんがよろこんでくれる野球をしたい。 で、順位はあとでついてくるもんだし。 ‥‥っていいながら、 けっこう順位を宣言して、 失敗してるんだけどね(笑)。 でも、そういうふうに、 多少無理にでも目的を持たさなきゃ いけないチームでもあるわけ。 |
糸井 | 観てるほうとしては、それも含めて おもしろいですけどね。 |
中畑 | いやいや、もう、けっこうな 演出家になってきてるんですよ、ぼく。 |
糸井 | うん、なってきてると思う(笑)。 |
(つづきます) |
2013-12-16-MON |