タモリ |
こないだの発見で
縄文かどこか知らないけど
すごい古い女性の骨が
発見されましたよね。
推定年齢21歳なんだけども、
すこしちいさくて、
小児まひのかただったんだろう、
と類推されているのだそうです。
当時の小児まひの方が、
21歳まで生きていけること自体が、
介護っていう概念のあらわれだと。
そうでなければ
生きのびられなかった、
ということがわかったんです。
つまり、単に
「あー」とか「おー」とか
言っている人間じゃないということが、
どんどんわかってきて。
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中沢
| だって
3万年くらい前の旧石器時代で
小児まひの人を
介護してる旧跡があるんですよ。
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タモリ
| もっとさかのぼってもそうなんだ。
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中沢
| ええ。
もっとさかのぼっても
体の不自由な人を
人間は、介護したわけです。
弱いものを育ててるんですね。
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糸井
| つまり、一見、
けだもののようだといいますか、
その弱肉強食といいますか、 強いものだというふうに思われていたし、
そんなふうにイメージされてきたものが、
実はちがっていた、ということですよね。
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中沢
| まったくちがっていたんです。
ぼくらよりも、もっと繊細だし、
やさしい感覚を持ってるはずの人たちですよね。
あーとかうーとかじゃなくて、
言語も、深いところでは
今と同じ構造を持っているんです。
ボキャブラリーもかなり豊富だったし、
ことに自然界のものや、
動物に関するボキャブラリーは、
ぼくらよりもっと豊かだったと思います。
役に立つ動物や植物についての知識も豊富だし、
社会構造だってかなり発達していました。
すごいですよ、親族構造なんて複雑で。
ぼくらは、ふつう、
おじさん、おばさん、
その先になると
よくわかんなくなるでしょう?
だけど、縄文時代の人達の知識では、
もう5親等、6親等くらい、
広大な親族の図が頭の中に入ってるんです。
結婚相手をどこにさがすとか、
この中で操作していたわけですから。
そういう意味で、ある部分は、
ぼくらよりもずっと発達してたと思います。
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糸井
| なんで俺たち、
そんな誤解してたんだろうね。
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中沢
| 一つは進化論じゃないですか。
近代になって、
人間は原始人から進化してきて、
宗教もアニミズムから多神教になって、
キリスト教が最高、みたいな……。
進化論は、近代の社会に
ものすごく影響を与えてますから。
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糸井
| 今がいちばんいいんだ、
と思わせるための仕組みだもんね。
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タモリ
| そしてこれからの世界が
かならずかわるんだ、
という仕組みは
近代のヨーロッパの論理から
きてると思うんですけども、それは、
行き詰まってるということが、
みえてますよね?
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糸井
| 実際、変化してないですもんね。
(明日に、つづきます)
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2006-01-04-WED
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