第4回伊丹十三賞は森本千絵さん!その贈呈式・祝賀パーティへお祝いにうかがいました。
こんにちは。です。

2009年、糸井重里が栄えある第1回受賞者となった、
伊丹十三賞。
とてもうれしくて、その後「ほぼ日」では
伊丹十三特集が生まれたりしました。


そういうご縁もあって、
以来「ほぼ日」が注目している、伊丹十三賞。

これは、俳優、イラストレーター、エッセイスト、
映画監督、テレビマン、雑誌編集長などなど、
いろんなジャンルでその足跡を残した
故・伊丹十三さんの遺業を記念して創設されたものです。

第2回がタモリさん第3回が内田樹さんと、
いずれもジャンルを超えた、名付けようのない仕事を
切り開いてきた方々が受賞されています。

そして第4回目となる今回の受賞者は、
じゃーん! 初の、女性。
しかもぐっっっと世代が下がって、30代!
アートディレクター、コミュニケーションディレクターの
森本千絵さんです!

さすが伊丹十三賞。
賞自体が、こだわりなく、タイプに収まらない!

森本千絵さん、おめでとうございまーす!
ぱちぱちぱち。

森本千絵さんといえば、
最近の活躍めざましいので、
ご存じの方も多いのではないでしょうか。

広告代理店勤務を経て 2007年「goen゜」設立。
サントリー「シルキー BOSS」、
日産自動車「NOTE」などのCM、
Mr.Childrenなど有名ミュージシャンのアートワーク、
映画や舞台美術、さらに、
保育園や動物園のトータルディレクションなど、
デザインのみならず、空間まるごとつくり上げる
物語性のある作品で、各界で活躍されています。


森本さんのお仕事のひとつが、こちら。
一度閉園したにもかかわらず、
2002年に奇跡の復活を遂げた、北九州小倉市の動物園、
「到津の森公園」
森本さんは、この公園に思いを寄せる、浅田政志さん、
梅佳代さん、黒田征太郎さんと4人で、
コラボレーションプロジェクトをおこなっています。
(詳しくはこちらをどうぞ。)


では、授賞の理由をうかがってみましょう。
まず贈呈式の入り口でいただいた式次第には、
こうありました。

―授賞理由ー
子どもから大人まで、わかりやすく楽しく、
こころの奥にまで届く独自の世界観と、
ジャンルを問わない作品の可能性にたいして。
(第4回伊丹十三賞贈呈式パンフレットより)

そして、
選考委員を代表して、
中村好文さんが祝辞を述べられました。


長い巻物に、横書きでびっしりです。
選考段階の最初から、中村さんは
ぜひ森本さんに、と思われていたそうです。


中村さん
「選考が終わって、森本さんに連絡をしたところ、
 何の前触れもしていなかったその知らせに、
 森本さんが間髪入れず、
 『ちょーうれしい!』と。
 その瞬間に、選考委員たちの顔も
 ぱっと輝いたのでした。

 森本さんを特集した雑誌を見てみると、
 ほとんど笑顔です。
 思えば伊丹十三さんも、
 ジャンルを越えたそれぞれの仕事を
 眉間にシワ寄せてするのではなく、
 誰よりも楽しんでいたようです。
 森本さんも、ジャンルという壁を軽々と飛び越え、
 ご本人が誰よりも楽しんで仕事をしていると思う。
 (抜粋)」

さらに、
森本さんの作品がわかりやく、
視覚的に伝えることに長けていること、
それは、伊丹さんが自分を「視覚的である」と
エッセイで書いていたことを思い出す、といった
お話などが続きました。

そして次に、森本千絵さんより、
受賞者のスピーチです。



森本千絵さん
「わたしはちいさい頃から絵を描くことが大好きで、
 賞や広告を目指しているということではなく、
 楽しい方へ楽しい方へ流されていって、
 やることすべてが、楽しくなって、
 出会いがあって、目の前にいる人が喜ぶとうれしくて。
 そうしてどんどん動いていくと形になって。
 よく、何屋さん? と聞かれるんですけど、
 いろんなことをやらせていただいてます。
 伊丹さんほどではないんですけど。(笑)

 どこかで読んだんですが、
 伊丹さんが『自分は空っぽの器で』ということ、
 わたしもひとりひとりと会って、そうすると、
 どくっと動くところがあって、
 あ、こういうことが好きなんだ、
 こういうことがしてみたいんだということが
 見つかっていくので、
 今、たくさんのことをさせていただいているのは、
 それだけたくさんの方と出会ったからだと思っています。
 そして、まだまだたくさんの人と出会って、
 想像もできないようなことも
 やっていけるんじゃないかなと思っています。

 かっこよく、楽しそうに生きている人の作品は好きで、
 だから伊丹さんも好きで。
 今ここにいらしたら、倒れてしまうかも(笑)。
 選考委員のみなさんもそれぞれの仕事を
 それぞれかっこいいなーと見てきました。

 ほんとうにありがたい賞だと思っています。
 ありがとうございます。(抜粋)」

そして宮本信子館長から、乾杯の音頭と、ひとことです。



宮本信子さん
「さっきの控え室で森本さんがとても緊張されていて、
 ほんとうにかわいらしくて!
 伊丹さんもきっと、森本さんにこの賞を贈ったことを、
 よろこんでいると思います。
 これからますます自由に、楽しく、
 いろんなことをいっぱいいっぱいしほしいって、
 そう思います。乾杯!」


選考委員のみなさんと(左から中村好文さん周防正行さん
森本さん、宮本信子館長、平松洋子さん南伸坊さん)。


自由に、楽しく仕事をすること。
ものを作る人は、そうであってほしいという願いが、
今回の選考の中に込められていたように、感じました。

さて森本さん、「ほぼ日」のゆーないとと
以前からのおともだちなので、
また追加のお話を、うかがってみましたよ。



森本さん
「伊丹十三賞、『めちゃくちゃうれしい!』って
 さっき言スピーチで言いましたけど、
 どううれしいかというと、
 伊丹十三さんを支えていたひとたちと、
 愛しているひとたちが選んでいる。

 ということは、伊丹十三さんが、
 確実にここにいるわけで
 それを感じ、出会えたことが嬉しいんです。
 人間として、お招きいただいたような気持ちで、
 こんなに森本千絵として嬉しいことはないのです!
 ありがたい。」

森本千絵さんは、多数の広告賞のほか、
2012年の「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」など
数々の受賞歴をお持ちです。

今回は、尊敬する大人たちが作った、
尊敬する大先輩の賞ということで、
また違う、格別のうれしさがあったようです。

森本千絵さん、ほんとうにおめでとうございます!

そして最後は、恒例の集合写真。
今回は会場の2階から撮影してみましたよ。

‥‥みんなが見上げていて、なんだかちょっと、
伊丹さんに報告しているみたい。

「おーい、伊丹さーん。
 いい受賞者が決まりましたよ!」



それではまた、次のニュースで。

2012-04-25 WED