イカと女の子と男の子。
このかわいらしくも、なんとも不思議なロゴは、
「いか文庫」さんという本屋のロゴです。
いか文庫さんは、ふつうの本屋ではありません。
まず、お店がない。
さらに、本屋の売り物である、本すらない、というのです。
ちょっと、おもしろそうでしょう?
先日、いか文庫のみなさんに実際にお会いして
お話させていただく機会がありましたので、
そのときの様子をレポートさせていただきます。
担当は、「ほぼ日」の大高です。
どうぞよろしくお願いします。
わたしたちがいか文庫さんと
知り合った経緯からお話しましょう。
発端は、糸井重里が書いた
9月13日の「今日のダーリン」です。
抜粋しましたので、お読みください。
・「仕事がある」というのは、たいしたことです。 ぜんぶが、稼げない仕事ばかりになると、 |
この糸井重里の言葉を受けて、
いか文庫の「バイトちゃん」こと、
藤田さんが「ほぼ日」に、
次のようなメールを送ってくださったのです。
はじめまして。 【エア本屋「いか文庫」とは?】 その噂はリアルな本屋さんの耳にまで届き、 私たちはエア本屋だから、儲けは一切ありません。 「いか文庫」バイトちゃんこと、藤田真緒より。 |
このメールを見た糸井重里が、
「いか文庫、おもしろそうじゃないか」と感じて返信し、
一度お話しましょう、という運びになったのです。
糸井と、いか文庫さんが
合って話したときのことをお伝えするまえに、
いか文庫さんがどんな活動をしているのかを
もう少しだけ詳しく紹介いたしますね。
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こちらは、今年の夏、
吉祥寺の「BOOKS ルーエ」で行われた
「いか文庫フェア」のようすです。
棚の半面がいか文庫色に染まっております。
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?「楽しい楽しいエアホニャララの世界」という
タイトルのこのフェアで、
「エア〇〇な本」をいか文庫さんがセレクト。
?
西荻窪の「beco cafe」というブックカフェにも、
期間限定でいか文庫のコーナーがあります。
1段目には、本以外のものが‥‥。
なんと、いか文庫のグッズ!
トートバッグなどのグッズを展開してらっしゃいます。
?
なんとアメリカ・ロサンゼルスのお店、
「BOARDERS」でも
いか文庫のグッズが販売されているんだとか。
たしかに、手前の棚に、
いか文庫さんのTシャツとトートバッグが。
知れば知るほど、
ますます実体がわからなくなるような気がする
いか文庫さん。
いったい、どんな人が運営しているんだろう?
というか、いか文庫って、一体なんなの??
では、ご紹介します。
いか文庫のみなさまです!
?
「店主」の粕川さん。
?
「バイトくん」の中嶋さん。
?
そして、
メールをくださった「バイトちゃん」の藤田さんです。
いか文庫さんは、3名で運営されていたんですねー。
レア(?)ないか文庫グッズも
もってきてくださいましたよ。
海外の本屋では、
本をいれるトートバックが売られていますが、
いか文庫にもトートバックが。
本を入れることを想定されているため、
持ち手のつなぎ目等、けっこう頑丈につくられています。
ロゴのバッジやコーヒー、書類ケースなど、
幅広くグッズがあるんですね。
そして、不定期に刊行されている「いか文庫新聞」も。
あ、『さよならペンギン』だ!
「さよならペンギン復刻記」のコンテンツの
紹介までしていただいていますね、
ありがとうございます!!
ご挨拶や、談笑をしたあとに、
糸井重里はみんなが思っているだろうことを
素直にそのまま質問しました。 ?
糸井 | いか文庫って、なんなんでしょう? |
店主 | わたしたち3人は、本が好きで、 『本のDJ』という気持ちで活動しています。 本屋っぽくフリーペーパーをつくって配布したり、 オリジナルグッズを展開して、 イベントなどで販売などもしています。 お店も本もないけれど、本屋だと言い張っています |
糸井 | えっと、いか文庫で 食っていけてはないんですよね? |
店主 | はい。それぞれほかの仕事をしながら、 いか文庫の活動をしています。 バイトくん、バイトちゃんには、 まだバイト代を払ったことないですね‥‥。 パンとかお茶は配給していますが(笑) |
糸井 | じゃぁ、サークルのようなもの? |
店主 | そうですね、今のところ、 サークルのような感じです |
糸井 | そうなんですね。 いやぁ、すっきりした(笑) |
一同 | (笑) |
糸井 | いか文庫はどうなりたいんですか? 野望をおききしたいです |
店主 | そうですね‥‥。 野望というか、最終目標のようなものは 特にないんです。 それをつくってしまうと、 『これだけしかやりません』となってしまいそうで。 今は、わたしたち3人でいただいた仕事を できるかどうか考えて、できるんだったら、 3人で力を合わせることはもちろん、 友だちの力も借りて、 いろんなものをつくっていくと 活動をつづけているところです |
糸井 | ほかのお二人は、どう考えているんでしょう? |
バイトくん | ぼくらの一番の弱みであり、 強みであると思っているのは、 『なにもない』ということです。 野望とはちがうかもしれませんが、 自分たちが楽しくできることを やっていこうと思っています |
バイトちゃん | 店主は本当の書店のスタッフですし、 バイトくんは本の編集やブックデザインが本業と ふたりとも本の業界に身を置いているんですけど、 わたしは全然ちがう世界で働いていて。 いか文庫とつながったのも、 いか好きだったからなんです(笑)。 もちろん、本も好きです。 そういうわたしでも、 本のたのしさやおもしろさを伝えていけるのが、 いか文庫かな、と思っています |
糸井 | いかを売るっていうのは、ないの?(笑) |
店主 | ゆくゆくは、あるかもしれませんね(笑) |
なごやかなムードで、
いか文庫さんたちとの会話は進んでいき、
やがて糸井が
なぜいか文庫さんにお会いしたいと思ったのか、
その動機を話しはじめました。
「今、本ってすごくもったいないと思うんです。
本をつくっているのは出版社ですが、
出版社は本が売れないと困っちゃいます。
だから、どんどん本を出さなきゃいけない。
なんていうか、すべてではないんですけど、
本が価値ではないところで
売られている感じがあるんですよね。
そういう自分も、アマゾンでとにかく買って、
あまり読まないうちに処分することもあります。
極端な話、読みたい本があれば、
図書館に行けばいいという考えだってあるでしょう。
ぼくは、こういう本の不幸な状況を、
出版社や書店ではない人が変えていくんじゃないかな、と
思っていたんです。
いか文庫さんの存在を知って、
この人たちが何をしたいのかを
とりあえず知りたいと思って、
一度お話しましょうと声をかけさせていただきました」
今後、いか文庫さんがどうなっていくのか、
「なにもない」ということで、
なにができて、どうつながっていくのか。
ご本人たちが一番未知に感じられているようでしたが、
お会いして、わたしたちもたのしみになりました。
短い時間でしたが、
とても刺激的で、たのしい時間を過ごすことができました。
いか文庫のみなさん、ありがとうございました!
【いか文庫さんの今後の予定とお知らせ】 ●紀伊國屋 新宿本店にて、 詳しい日程は現時点(2012年11月30日)では ●『いか文庫新聞』の第3号が 不定期発行の『いか文庫新聞』、 BOOKSルーエ(吉祥寺) ●2012年内に、 現在、いか文庫さんは |