今年『ナイン』は大当たりする!
去年は知らなかったくせに、応援します。


シェフ
きょうから『ナイン』の広報、
キウチさんに稽古場レポートを
書いていただきます!

べ3
まずは先週、稽古場で行われた
記者会見のもようから!

シェフ
演出のデヴィッド・ルヴォーさんも
ブロードウェイから
かけつけたばかりだったんだよね。

べ3
直前まで向こうで
ジェシカ・ラング主演の
『ガラスの動物園』を演出してた、
っていうからすごいねー。
そんなお話もふくめて、どうぞ!
写真もいっぱいあるよー!

シェフ
第1回目なんで、キウチさん、
はりきって、ちょっと長めです!

               
第一回 はじめての記者会見
               

4月6日、桜三分咲きのうららかな日。

「おおーっ、なんだこれ?!」

稽古場に入って来た別所哲也さん、
待ち構えていたカメラの列を見てびっくり。そして笑顔。
こんなに人が来るとは思わなかった‥‥。

ここは「ベニサンピット」という、
古い染物工場のボイラー室を改築した劇場です。
「tpt」という演劇事務所のホームグランド、
稽古場としても使わせてもらっています。
そしてきょうは、「tpt」にとって、
初めて試みる“記者会見のようなもの”でした。

申し遅れました。
ぼくは『ナイン THE MUSICAL』の
広報係になってしまったキウチといいます。
本業は、演劇の脚本や演出です。
ぼくがなぜこんなことをすることになったか、
つまり「人手が足りない」ということなんですが、
とにもかくにも、記者会見の日を迎えました。

自分たちで言うのもなんですが、
ホテルでもなく、明るい会議室でもない、
ふだんのまんまの「稽古場」で、
いわゆる「芸能人の記者会見」みたいじゃなく、
金屏風もなし、横断幕もなし、マイクもなし、
スニーカーにチノパンのプロデューサーが、
「では、そろそろはじまめしょうか」と声をかけて、
スタートする。こんな記者会見って、ありなのか!

『ナイン THE MUSICAL』は、
ロンドンでデヴィッド・ルヴォーが演出し、
ブエノスアイレス、ブロードウェイと渡って、
アントニオ・バンデラスが主演(!)、
トニー賞を受賞した大ヒットミュージカルです。

オリジナルバージョンのポスターです。
それを、オリジナル演出家(!!)の手によって、
オール日本人キャスト(!!!)で
この5月に大阪と東京で公演します。
これを「やるぞ!」と言い出したのが、
大きなテレビ局でもなければ、
大きなイベント会社でもない、
ましてや大劇団でもない、
はっきり言えば「東京下町の、ちいさな一演劇事務所」、
「tpt」だったのです。

無茶でしょう?
無茶だと思った。
でも不可能じゃない。

さてこの日の記者会見。
テレビカメラと記者の皆さんがずらり、
40社60名という大にぎわい。
これ、関係者の誰ひとり予想しませんでした。

まず、アルゼンチンから来た振付家グスタヴォが、
ひとりずつ出演者を紹介します。
主演の別所哲也さんと子役の男の子、
そして16人の女性たち。みんな稽古着です。
英語だけれど、名前と役名だから大丈夫。
グスタヴォは演出家より早く3月中旬に来日し、
歌とダンスの稽古をスタートさせていました。
とくに司会者の姿もないまま、外国人が日本人キャストを
紹介することからはじまる記者会見。
この始まりで、会場に優しい空気が生まれました。

グスタヴォさんです。
順番がまわって来た演出のデヴィッド・ルヴォー。
ブロードウェイでジェシカ・ラング主演の舞台、
『ガラスの動物園』の幕を開け、2日前に来日しました。
きょうから本格的に稽古合流という日なのです。
マイクなし、代わりにマグカップ片手のスピーチ。
デヴィッドがゆったり話しだします。
ここには息のあった通訳、珠麗さん。

「世界にはさまざまに優れたミュージカルがあります。
 一番よくできてるのは『ジプシー』、
 一番エンターテイメントなのは『オペラ座の怪人』、
 そして『ナイン THE MUSICAL』は、
 間違いなく、一番セクシーなミュージカルです。」


デヴィッド・ルヴォーさんです。
けして大げさに聞こえない、しゃれたスピーチ。
たぶんこの演出家自身が、かなりセクシーな人なのです。
そして、ますます雰囲気がよくなっていきます。
「会見」なんて堅苦しくは呼びたくない、
いつもの稽古場で生まれる空気。

記者さんからの質問に応えて、新キャストのひとり、
宮菜穂子さんが昨年秋の『ナイン』の感想を話しました。

「私はそれまでの24年間、
 性の意識を捨てて生きて来たんですけど
 (出演者爆笑)‥‥
 でも去年『ナイン』を客席で観て、
 女性はこんなに美しくなれるんだってわかって、
 あの日から女性として生きていきたいと思いました。」

ああ、なんて爽やかで真っすぐな言葉なんだろう。
ぼくたちはこのミュージカルを、
できるだけたくさんの人に観てもらいたくて、
いろんな紹介のしかたを考え、もがいてきました。
昨年秋の初演は、最終日こそ満席になり、
公演成果が紀伊國屋演劇賞団体賞につながりましたが、
宣伝不足のため初日後しばらくは、
1階の前半分がやっと埋まっているだけ‥‥
興行的には「惨敗」だったのです。

だから今年は絶対に成功させたい。

大阪公演まであと1か月。その願いが、
ともすると焦りに変わりつつある時期でもあります。
それが宮さんのこの言葉にはっとさせられたのです。
なにもぼくたちが飾る必要はない、特別な売り文句も、
くどくどとした説明もいらないかもしれない。
見えるもの、感じることを、素直に伝えられたら、
それがいちばん、『ナイン THE MUSICAL』を
伝えることになるじゃないか。

去年、『ナイン THE MUSICAL』で
なにかを変えられた人が、いま、
新しい『ナイン THE MUSICAL』をつくっています。
それが、この作品が放つ不思議なチカラです。

(あすに、つづきます!)




べ3
キウチさんありがとうございましたー。
去年の『ナイン THE MUSICAL』を
見た! というかたから、
メールをいただきましたよ。
紹介します!
=
すっご〜〜〜〜〜〜〜く
よかったですよ、ナイン!
ミュージカルって
ちゃんと見たことがなかったし
結構チケット代が高かったので迷いましたが
tptの芝居ならきっと大丈夫、と思い
思い切ってチケットを買って出かけました。

去年は確かに空席が多かった。
宣伝不足だったんですね。

今迷ってる人がいたら
必ず行ったほうがいいです。
ネタばれしてはいけないので
詳しく書けませんが
とにかくシャレてるって言うか
「ほんものだぁ!」という感じの
ミュージカルです。

特に印象に残ってるのは
出演されている池田さんと、大浦さん。
本当に素敵でした!!
みなさんしつこいですが
是非行ってみて下さい!!
(松戸のjunko)

シェフ
池田さんっていうのは
主人公グイド(別所さん)の
愛人カルラを演じる
池田有希子さんですね。
こんなかたです。

読売演劇大賞女優賞受賞の
ものすごい存在感のある人です!

べ3
稽古でもいきなり
ドキッとするシーンを見て
それが池田さんだったんだよね。
あと、大浦さんっていうのは
元宝塚花組のトップスターの
大浦みずきさんです。

ぼくは大浦さんの宝塚時代に
見にいったことがあります!
かっこいいんだよねー。

シェフ
んだんだ。稽古もかっこよかった。
目があってどきどきしちゃったよ。

べ3
ほかにも去年見たっていうかたや、
今年に期待するというみなさま、
ぜひメールをくださいねー。
アントニオ・バンデラス版を
NYで見た! っていう人も歓迎です!

シェフ
『ナイン THE MUSICAL』の公演情報は
tptのホームページをごらんくださいねー。
次の更新はあしたです!

 

illustration=UNO


2005-04-15-FRI
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