たまたま、「花に水をやると少しずつ大きく育つ」
という遊びを作っていたときのことです。
そのときは花が水をかけられるたびに際限なくどこまでも
大きくなるという仕様に、暫定的にしていたんです。
とにかく、育つってことがどれくらい面白いかを
試してみたくて、
育った結果どうなるという部分までは
つくっていなかったのですが、
それが、子供たちに遊んでもらってて、
しばらくしてみてみたら、
すんごい巨大なものをつくって、喜んでたんですね。
ずぅっと水をかけ続けてたんですよ。
水をやり続けるといいよ、って教えたわけじゃないのに
これってどこまで大きくなるのかなあ、って
みんなで話しはじめてて。
小学校の3年、4年生くらいかなぁ。
友達どうし何人かで来てくれてたんだけど、
こうしてみようよとか、回してみたら?とか。
ちゃんと相談しながら、遊んでくれてた。
そうすると、いろんなとこに気づいてくんですよね。
面白かったですね。
作る側としては、そんなことやったって、
こんなの誰もわかりゃしねえよ、とか言いながら(笑)、
そんなの無駄だよとかいう声もありながら、
でも気づいてくれたら嬉しいじゃん、っていって
あちこちにいろんなもん隠したりしていたので。
面白いと思ってあちこち遊んでくれていると、
そのうち見つかるものとか、ありますから。
ある子供に聞いたんだけど、
その子は一日に500回ぐらい声かけてるんですって。
今日はたくさん声をかけたから1000増えたとか、
気軽にすさまじい数字を言ってる(笑)。
知り合いの子供なんですけどね。
今日は70匹釣りましたとかって(笑)。
遊び続けられるんですよね、彼らって。
「もっと仲良くなりまちゅう」とか、言ってます(笑)。
ここで「ほぼ日」のために秘密の隠しネタを公開、ですか?
意識してゲームに隠しネタを入れたってのはないんです。
いつのまにかプログラマーが組み込んじゃったとか(笑)、
デザイナーが仕掛けちゃったとか(笑)、
そういうのはいっぱいあるけど。
そこをつくったひとじゃないとわかんないのが
いっぱいあるんですけど、
う〜ん、何がいいかなぁ。
「声をかけると回る」ものが
あちこちにありますけど、それなんかどうですか?
家の中だと、回るものは4つくらいあるのかな。
外に出たらもっといっぱいあります。
声をかけると、なぜか声の音波に反応するっていうのか、
風に反応するっていうのか、なんかよくわかんないけど、
いろんなものがくるくる回るんですよ。
ゲームと関係のない世界で。
一時あんまり回しすぎて、「バグです」とかって
言われちゃって。「木の枝が回ります」って(笑)。
「いや、それは回してるんです」ってお答えしたんですが。
回したのは山中君、デザイナー、ですね。
プログラムとして、もともと
「声をかけると回る」っていうものを
仕掛けとして用意してたんです。
例えば、花びらがくるっと回るように、とか。
デザインするとき、ある特定の名前をつけておくと、
プログラムでその名前をチェックして、
そこをくるくる回すっていうふうにしておいたら、
いつのまにか、あっちこっちに意味もなく
その名前が埋め込まれてた(笑)。
時計の針が回ったときには、さすがにみんなで
「あぁ、回ってる回ってる」って(笑)。
あれ、もちろんふだんは停止しているんです。
「ピカチュウおはよう」って声をかけると
なぜかうしろの時計の針がクルクルクル〜。
「おやすみなさい」っていうとクルクルクル〜(笑)。
ずいぶん減らしたつもりだけど、どうだろう?
気づかずにまだ回ってるのも、
いっぱいあるんじゃないのかな。
声をかけないとわかんないけど、実は回るってもんが。
(内山さん)
あと、部屋に、ベッドがあって、ラジカセがあって、
窓があるんですけど、その窓の外の景色をみながら
「ピカチュウ」とかって呼ぶと、ハエが飛ぶ(笑)。
これ、めちゃめちゃ小ネタですよ。
あんまりにもくだらないんで、
雑誌にも出せねえよ、って言ってたやつですけど、
いいんですか(笑)こんなんで?
ピカチュウが朝起きるでしょ。
部屋のなかにいるときに、ベッドがあって、
その横にラジカセがあって、で、本棚があるんですけど、
そのラジカセの向こう側がちょうど窓になっていて、
きれいな山並みが見えるんです。
窓の外でもみながら一声かけると、
ブ〜〜〜〜ンって、ハエが飛びます(笑)。
これは、すっごい小ネタだよね(笑)。
うちの橋本(※「ブーメラン世界大会への道」にも
登場する「てつ」こと、マリーガルの橋本さん)が、
いとこの家の地元では
「ピカチュウのうまいおじちゃん」って呼ばれていて、
甥っ子とかにやって見せてるらしいんですよ。
おっちゃん、うまく釣れへんねん、って言われると、
おっちゃんの前でやってみ、っていって
やらせるんですって。
で、甥っ子が
「ピカチュウ! ひっぱれ〜! ひっぱれ〜! がんばれ〜!
がんばれ〜! ひっぱれ〜!」って叫んでるのを、
おっちゃんに貸してみ、っていって
「・・・(低い声で)ひっぱれ」「・・・ひっぱれ」って。
そしたら釣れるんですよ。
それを見た甥っ子が、それから釣りのときには
おっちゃんの声をまねて、わざとひっくいおっさんの声で
「・・・ひっぱれ」「・・・ひっぱれ」って。
ようするにあれってタイミングの問題で、
ピカチュウ自身はフルパワーで釣り上げようとしてて、
ガーッとやってるときに、ピカチュウピカチュウ! って
いくら言ったって、聞きゃしないですよ(笑)。
わかっとるっちゅーに、っていう状態なんで。
「今だよ」って感じで冷静に、「ひっぱれ」って
普通に言ってあげたほうがいいんですよ。
ふつうの釣りだったら、タモ網を出せる状態のときに、
タモ網がわりに「ひっぱれ」っていうことなんですよ。
(再び小澤さん)
釣りのときに、ピカチュウにお弁当あげるっていうのも、
わりと知られてないネタですよね。
ピカチュウが釣ってるときに「はい、お弁当」っていうと、
ちょこちょこちょこってやってきて、受け取ります。
あ、ルビーですか?
ルビーとかあのへんは、ただのルビーなんですよ(笑)。
そのルビーをどこかに持っていくと
「なんとかのルビー」に進化する、とか、
なんとかの剣にはめるとか(笑)、
そういういわゆる「アイテム」ではありません。
ルビーが手に入ったってこと自体が嬉しい、ということ。
こうして作っていくと、
「手触り」っていうことも、考えますよ。
そこまではまだ表現できていないのが、
今のコンピューターの悔しい部分でもあるんですけど。
せっかくそこにいるのに、声も通じるようになったのに、
でも、撫でられない。
なんとか撫でてみたいって思って
いろいろ考えてみたりもしたんだけど、
かえって、他の部分が自然に出来ているだけに、
撫でるときだけ、画面に指先のへんなのが動いてるっていう
ギャップがかえって悲しかったりしてね。
それはやっぱり、架空すぎる。疑似体験なんですね。
こんな感じかなと思って満足してるだけのような気もして。
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