- 渡辺
- で、これが「西洋菓子しろたえ」の、
持田さんのお好きなチーズケーキです。
これって、酸っぱめなんですよね。
- 持田
- はい、酸っぱめですね。
- 渡辺
- しっかりしててね。
結構こういう、
あんまり甘くないものもお好きですか?
- 持田
- 甘くないというよりも、
シンプルなところに魅かれます。
「また食べたい!」と思わせる感じが、
とても好きです。
- 渡辺
- 自分でも買いにいらっしゃるの?
- 持田
- お店で食べたこともありますよ。
- 渡辺
- えっ、しろたえのカフェスペースって、
けっこうテーブルの間が狭くて、
席が近い感じですよね。
あそこで、持田香織さんがお茶を?
- 持田
- あの、わたし、全然(笑)、そんな。
- 渡辺
- 目立つでしょう! 隣にいたらシンプルに
びっくりしますよ。
- 持田
- そんなことないですよ!
- 渡辺
- だって、PVのままとかじゃないですか。
声をかけられるでしょう?
- 持田
- そうですね。
でも「あ、持田さん、こんにちは!」と言われたら、
(元気いっぱいに)「あ、こんにちは!」って言います。
- 渡辺
- 「以上っ!」みたいな感じ(笑)?
- 持田
- はい(笑)、それ以上、何も求められないです。
- 渡辺
- なるほど。
で、再びもくもくと
チーズケーキを食べ始める、みたいな。
- 持田
- はい。
- 渡辺
- はぁ‥‥。 それは持田さん、
いつからそんな感じなんですか?
20代のときはきっと‥‥。
- 持田
- そうですね、できなかったですね。
- 渡辺
- そのペースを獲得なさったのはいつごろ?
- 持田
- うーん‥‥、30歳になる手前だったと思います。
- 渡辺
- 「持田さんだ! キャーッ!」ってなっちゃうところを、
スッと鎮めさせる技術って、どんなふうに?
- 持田
- わたしがひたすら笑顔でいることでしょうか。
声をかけてくださる方も、
わたしが元気に笑顔で
「あ、どうも! こんにちは!」って返すと、
ちょっと予想外の展開みたいで、
「あ、こんにちは‥‥」以上のことは
あまり起こらないっていうか(笑)。
- 渡辺
- それ、人間心理をとてもよく突いてますよね。
ふいに「サンキュー!」って元気よく言われると、
元気に「サンキュー!」って返しちゃうみたいな。
でも、そっか。
乱暴な話だけど、犬とかもそうだって言いますよね。
- 持田
- え、犬(笑)?
- 渡辺
- こちらが恐がって逃げると追ってくるんですって。
- 持田
- (笑)なるほど。
- 渡辺
- あと、こう、ケーキ屋さんや甘味処で会うと、
おやつ好き同士として、
「もうこれ以上食べてるのを邪魔するなってことだな」
っていう察知とかはあるかもしれないですね。
- 持田
- そうですね。ふふふ。
- 渡辺
- あと、持田さんのリストの中に、
苺大福がありましたが、
苺大福って、もともとお好きでした?
- 持田
- じつは‥‥あのぅ、そんなに。
豆大福とかのほうが好きだったんです。
- 渡辺
- あ、わかる!
そうですよねぇ!
- 持田
- 「え? いちご?」みたいな感じで、
フルーツと餡の組み合わせが、
ちょっとどうなんだろうなって。
だからすごく流行った時には行けなかったんです。
- 渡辺
- とても、わかります。
- 持田
- 「ちょっと違うんじゃないかな」
っていう感じで(笑)。
- 渡辺
- 同感です。
- 持田
- でも、ある時、青山の会社の裏に、
「まめ」っていう和菓子屋さんができて、
そこの苺大福が本当においしいっていう話を聞いて。
で、行ってみたんです。
そうしたら、お店の奥さんもすごく素敵な方で、
「ちょっと食べてみよう」と思って、いただいたら、
本当においしいと思って、それから好きになりました。
- 渡辺
- それはどんな感じだったんですか?
いちごがすごい大きいとか?
あんこといちごって、
いちごが酸っぱく感じちゃったりとか
するじゃないですか。
「まめ」の苺大福は‥‥?
- 持田
- お互いに、殺し合っていない感じがしました。
いちごのことを、あんこが気遣って(笑)、
あんこのことも、いちごが気遣って、みたいな、
ちゃんと2人で織りなしている感じがしました。
- 渡辺
- なるほど。
実は、全くのわたくしごとなのですが、
わたくしも先日、苺大福に開眼したんです。
- 持田
- おぉ。最近!
- 渡辺
- 本当にもう数日前なんです。
- 持田
- それまでは、邪道ということでしたか。
- 渡辺
- はい‥‥なんていうんでしょう、それまでは、
勝手な苦手感にしばられていまして‥‥。
それが、この赤坂の「松月」の
苺大福に出会って、苺大福観が変わりました。
だから、ちょっと試してみていただきたいなぁと思って。
- 持田
- 甘いんですか、いちごが?
- 渡辺
- 「あまおう」の苺大福だから期間限定なんですが、
すごくみずみずしくて、甘いんですよ。
- 持田
- いただきます。
うーん、うん‥‥うん?
あ、白あん?!
- 渡辺
- 驚きでしょ?!
- 持田
- 白あんは初めてです。
- 渡辺
- おいしくないですか?
- 持田
- うん。おいしい!
- 渡辺
- すみません、おいしいと言わないわけにいかない
聞き方しちゃって。
あと、全部召し上がらないで大丈夫ですからね。
お腹いっぱいになっちゃうから。
- 持田
- おいしい。食べちゃう。
きっと、いちごが、甘すぎてもだめなんですよね。
ちょっと酸味があるところがいいですね。
- 渡辺
- ありがとうございます。‥‥あぁ、満足。
- ──
- こういうふうに、和菓子の世界に急にやってきて、
世間をにぎやかして、
ちょっと拒絶反応を起こさせたりしながら、
最終的には全部取り込んだみたいなお菓子って、
近年、あんまりないですね。
- 渡辺
- 結局、続いてますもんね、苺大福。
でも、お汁粉を食べていた時に、持田さんが
「洋菓子と和菓子と、どっちが好きですか?」って、
聞いてくださったんですけど、
持田さん的にはあるんですか、洋と和って。
浅草とかって、和のほうが多いのかな。
- 持田
- はい、浅草には和菓子が多いですね。
- 渡辺
- 召し上がるのも?
- 持田
- 食べるのは、半々くらいです。
どちらも、やっぱり、捨てがたい。
(つづきます)