田島貴男の
2004年 オレの
5大ニュース(予定)。

ニュース その5
たどりつけず、の旅。

第2回
ビビり番長、ボルケーノにあらわる。

今日はハワイ島の2日目です。
マウナケア山のすばる望遠鏡訪問を翌日に控え
オフ日だったはずの今日でありますが、
果敢にキラウエア火山に向かいます。
今日は朝から雨が降っています。

「ちょっと!
 ワイハーに合わせて昨日
 短パンとサンダルを買ったんだけどさ、
 この天気じゃあ寒いよな!
 しかも、短パンだと思って買ったら
 海パンだったんだよ、
 海パン!!」



勢いで、まちがって購入した海パンを、
まったく海でない
キラウエア火山に行く寒い雨の日に
ムリムリ着用した番長を
当方はとめようもありません。
ま、番長が寒くないならいいでしょう。
とりあえず出かけましょうか。

トム・ウェイツをBGMにして出発し、
30分がすぎたとき。



「‥‥な、
 あの雲すごい早さで動いてねえ?」



あれはいずれかの民家から出ている
煙ではないでしょうか。

「ちがうよ、雲だよ雲」

ほんとだ、雲っすね!!
ハッ! ばばば番長、ものすごい風です!!
葉っぱが渦巻いて乱れ飛んでます。


竜巻になってるっぽいです!

「これはやばいよ。
 車がこのまま飛んでったらどうしよう!」

その瞬間、突如頭上を走る電線が落下。
車のフロントガラスに向かって
大きな火花がババーッと飛んできました。

恐怖!!!
死!!!
サスペンス!!
余裕メーターゼロ!!


「マジやべえ!! 早くこの地帯を抜けよう!!」

しかしなかなか抜けられません!
重ねて、すごい豪雨が襲ってきています。
あたりの雰囲気が
川口浩探検隊のようになってきました。

「なんなんだ、この天気の変わりようは。
 オレはワイハーをなめてたね。
 日本では味わえない不気味さがあるなあ」



そんなこんなで片道95マイルを走り抜け、
キラウエア火山に到着しました。

ビジターセンターでしばしの休憩。
「ほぼ日」カメラマンが目をはなしているうちに、
番長は火口を見るため、
展望台の塀に昇っていました。


とても芸能人の行動とは思えません。

「見て見て。でかい火口があるよ!
 火口のなかに、
 もうひとつでかい火口があるんだよ。
 あん中でさらに爆発したんだな。
 いーやいやいや、すごいな。
 黄色くなってるとこ、あんじゃん?
 あれ硫黄なんじゃないの?
 えーっと、地図によるとだね、
 火口のまわりをぐるっと一周できるみたいだよ。
 あんなとこまで行くよ、道が。
 わーすごいすごいすごい!」


巨大火口に触発された番長。

番長の指令に従い、火口のまわりを車で走ります。
途中、博物館をひやかしたりしつつ、
火山の蒸気がたちのぼるポイントに到着しました。
ここでヒット祈願をする番長のようすを
動画でごらんください。
(↑こちらをクリックしていただくと、動画をごらんいただけます。)



「スメルオブ硫黄がすごいね。
 卵置きたいかんじだよね」

巨大火口まで、歩いて近づいてみましょう。
あたりの景色は、まるで
この世とは思えないですね。

「ワレワレハ、いま
 アナザープラネットにおるよ」

などと言いながら
ハイテンションな番長ではありますが、
さきほどから気になるのが、
火口をのぞき込む際に
番長が必ず手すりにつかまっていることです。
そういえば、ハワイ島に来る飛行機のなかでも、
翼のフラップの調子が悪そうだと
独自に判断して、
墜落しないかどうか、しきりに気にしていましたね。
もしかして番長は、高所恐怖症ですね?
すき間恐怖症の高所恐怖症ですね?

火口付近で、本気でテンパった番長のようすを
ぜひ動画でごらんください。
(↑こちらをクリックしていただくと、動画をごらんいただけます。)

「ここはどこまで行っても溶岩だね。
 溶岩の曲ができそうだよ。
 サビが、やっぱ『溶岩溶岩♪』なんだよなー。
 あ、それか、
 ブレイクして『バッ!ヨーガン!』とかさ。
 ふふふ、すっごいきれいな曲にしたりして。
 そういえばTHE B-52'Sの曲で、
 『恋の溶岩』って歌があったなあ」

キラウエア火山とお別れし、
さらに数マイル離れた溶岩樹公園へ行ってみました。
溶岩樹とは、流れ行く溶岩が
樹に付着して固まったもの。
ここの溶岩樹は、1790年頃の
噴火によるものだそうです。


溶岩樹がボーッと立っています。

「っつーか、溶岩樹もすごいけど
 この森は、なんもかんもでかいな。
 森の精霊ってかんじ。
 わあ、この木やばい。ぞっとするぅ!」



溶岩が流れると、
小さい木は燃え尽きてしまうそうですが、
このあたりの木はでかいので、
溶岩樹になったんですね。

あたりはもうすぐ夕暮れを迎えます。
はっきり言ってもうすこし暗くなったら
おかしくなりそうな
えっらい場所に足を踏み入れています。
もちろんあたりに街灯はありません。
心の底から、早く帰りたいです。

「でもなんか、ジュラ紀みたいな雰囲気しない?
 恐竜がいそうだもん」


「あのシダ見てよ。大きいねえ」

あまりのおどろおどろしさに、
頭が痛くなってまいりました。


見上げればこんな森。


かたや、ふと横を見るとすごい雰囲気の溶岩樹。


ダーン。


ババーン。

ねえねえ、この溶岩樹、
ずきんをかぶった人
みたいだよ。



ギャアアアアア
(心の叫び)!!!

さあ、明日はニュース「その5」のメインイベント
マウナケア山での星空観測と
すばる望遠鏡の訪問です。
ここまでのことは、オマケでしかありません。
遅くなってしまいましたので、いそいで帰りましょう。



「いよいよ明日か!
 オレのお楽しみ袋はパンパンですよ。
 うーん、しかし、ねみい(眠い)な。
 帰りは運転を替わってよ」

了解です。
当方、コンビニの自動ドアを
誤って車のタイヤで開けた経験がありますが、
運転には自信があります。
番長は暗くなると人間としての性能が
一気に落ちる傾向にありますから、

明日に備えて、
ぐっすりおやすみになっていてください。
「右側通行だからね。気をつけて」

5分経過。番長高いびき、かと思ったら
「あんまりスピードを出さなくてもよいよ」
と、つぶやき声が聞こえます。
はい、はい。

「若干、右に寄ってるよ」
「カーブはスローイン、ファストアウトで
 走行するように」
 
みなさん、どうやら我々の車に
雨にそぐわぬ黒い海パンをはいた
教習所の教官がひとり乗り込んだもようです。

「そぅそ、スローイン。
 もういっそ、スローアウトでいいな」
「なんか目が冴えてきた」
「あ、こういうカーブは対向車から見えないから
 ふくらんで走行してくるヤツがいるから」
 
番長、いいから
寝ててください!!!


その後夜遅くホテルに到着し、
マウナケア山での星空観測に胸を高鳴らせ
就寝した一同でした。
しかし、各部屋のつけっぱなしのテレビからは
この日起こったカリフォルニアやイギリス、ドイツなどの
世界各地の洪水や大雨、強風のニュースにまじり、
「ハワイ島コナ地区に朝から一日中雨が降った」
というニュースが流れていました。
その映像と英語の小さなテロップが映し出されたことを
目を閉じる直前に
一瞬不審に思ったスタッフがいましたが、
部屋の電話のメッセージランプが
煌々と光っていることに気づきはしなかったのでした。

(次回につづく!)


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2005-01-28-FRI

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