田島貴男の
2004年 オレの
5大ニュース(予定)。

ニュース その5
たどりつけず、の旅。

第7回
無情の雨が、降りしきる。

田島貴男ニュース番長の
マウナケア山中腹での晴れ乞いが終了し、
逆に雨が降ってきたので、
気を取り直して腹ごしらえをしようと思います。
和食のお弁当ですよ、番長。
しかし、外が雨のため
ビジターセンターの椅子がただいま満席です。
申しわけないですが、
床に座って食べるしかありません。

「床で充分だよ。
 ハーラ減ったな。
 ‥‥うまいっ!!
 早よ、食ってみ!」



は、はい。
おいしいっすね。

「醤油かけた?
 かけたほうがおいしいよ」

たしかに醤油がついていますが
照焼きチキン、つけもの、
ハワイ風の大味な野菜のスライス、フライが
渾然一体となっているお弁当の
いったいどれに
醤油をかければいいか、わかりかねます。

「おかず全体にガーッとかけるんだよ」

わ、わかりました、
全体的にガーッとふりかけました。

「な、おいしいだろ? な?
 マジうめえよ!」

番長は、ひとついいことがあると
(それは往々にして食べものである場合が多いのですが)
酸欠であっても状況が絶望的であっても
全体的テンションがバッと上がります。


床に座って弁当を食らう
日本のグレートポップミュージシャンです。
この哀愁感はポッと出のヒヨッコには出せないです。

番長の歌がマウナケアの女神に届いたのか、
あたりはさらにとんでもない大雨に。
この心の空虚を、何としましょう。

「こうなったらウクレレの練習だ、猛練習だ」
 

ビジターセンターでビデオを見るお客さんの
邪魔になることも気にせず、
おみやげウクレレの音害をまきちらし練習に専念。


ウクレレといっしょに買った、子ども向けの教本。


天候は、どんどん悪くなる一方です。

いつまで経っても、
雨は上がりそうにありません。
そろそろ、我々も潮時のようです。
星空はとうとう拝めないようです。
いったい何をしにハワイまでやってきたのか、
考えはじめると、
ブラックホールのような
空しさ

急激に襲ってきます。



「しょうがないな。
 これも運命だ。よし!
 あれだけ練習したんだから、
 麓に戻ってウクレレワンマンショーをやろう!」

まじっすか!
マウナケアの雨なのか自分たちの涙なのか
酸欠なのか疲れているのか
笑いたいのか泣きたいのか
どうにもわからない状況ですが、
ウクレレ片手に力強く叫んだ番長の背中が
どんな天体よりも鮮やかに、
ハワイの夜空に輝いた一瞬でした。

さて、



平地にもどりまして、
田島貴男ハワイアンショーのはじまりです。
手にしているのは、例の19$のウクレレです。


「チューニングをどうチューニングしても
 まったく合わないのよ」
 
ウクレレといっしょに買った初心者用の教本に
楽譜と歌詞が載っていたから、
ただそれだけの理由で、
この季節にジングルベルを歌います。
もはやこの歌は、マウナケア山の女神ではなく、
この5大ニュースをお読みのみなさんに、
そう、あなたに捧げます。
田島貴男とマヒマヒポホイキーズ
(と言ってもたったひとりですが)の
奏でる調べを、どうぞご堪能ください。
動画でごらんください。
(↑こちらをクリックしていただくと、動画をごらんいただけます。)

さらにもう一曲、こちらの動画もどうぞ。
(↑こちらをクリックしていただくと、動画をごらんいただけます。)

キラキラ光るお空の星を拝みそこねた
番長のせつなさが
あなたを137億年の宇宙の彼方までいざないます。

田島貴男とマヒマヒポホイキーズのジングルベルを、
都合何テイクも撮ってしまったので、
番長と「ほぼ日」乗組員は、
ほとんど徹夜状態で、車で空港に向かいます。

「最後の日が来てしまったね。
 星を見ないまま帰るの、やだなあ」

空模様はいまだ回復せず、
小雨がぱらついているありさまです。
とことん呪われているようです。
それでも、空港に向かう道中、
少しでも暗い道路にさしかかると
「あ、星が見えたよ、いま!」
といずれかの者が叫び、
停車して空を仰ぐ、という空虚な行為を
3度ほどくり返したのでした。


星をひとつでも確認すると、悔しさのあまり
バカバカしくもすぐに下車。



「星、見えねえっぺ(郡山弁)」


開き直って車内でバナナの朝食をとる番長。

すばる望遠鏡にも行けず、星も見れず。
たどりつけず、たどりつけずの「その5」の旅。
しかし、番長が絶望にうちひしがれているかというと、
まったくそんなことはありません。

「いろいろあったけど、なんだかずーっと
 ふつうに、笑ってたな」
 
ほんとうに、ナイスな旅でした。
ありがとうございました。


「ああ〜肩すかし」さすらう旅人番長。

昨夜はほぼ徹夜ですので、
帰りの飛行機では、寝ることにしましょう。
おやすみなさい、番長。

「ほぼ日」乗組員が1時間ほど寝入ったその間も
番長は本を読んだり
なんだかんだなんだかんだ
していました。
番長、少しは眠れました?

「いや、15分ほどな」

わかりました。もはや睡眠は敵です。
番長の辞書に「休養」という文字はありません。
いつまでもエンジン全開で走りつづける
変わらぬ田島番長であることを
この5大ニュースが終わっても、願っています 。

「星は見れなかったけど
 たのしかったね。
 キラウエアサザンに行ったしな。
 でもあの日は冷えたね、サム・クック。
 火口に落ちたらあぶねえ、リック・デリンジャー。
 オレもすでに38スペシャルのいい大人だからね、
 ッハハハハハハ!!」

番長の笑った意味がわかった方、
あなたは音楽通ですね?
旅も後半にさしかかると、番長はこのような
音楽系オヤジギャグで総攻撃をしかけてきました。
「ほぼ日」の同行乗組員は
音楽に非常に疎いタイプでしたので
申しわけないけれども全くおもしろさがわからず
完全無視をしつづけることに。

「ミュージシャンなら
 腹をかかえて笑うネタなのに!」

と、番長はとても残念そうでした。
しかし、そう言われると黙ってはいられません。
うーん、うーん、
そこは立ち入りクインシー・ジョーンズ。

「‥‥ギャッハハハハハ!
  うまい!
  ねねね、それ使っていい? オレ、使っていい?」

いいですけれども、
ミュージシャンのダジャレというのは
このような、赤子の手をひねるレベルなんでしょうか。
さあ、もうすぐ成田に着きます。
5大ニュースはもうおしマイケル・ジャクソンです。

「ギャハハハハハ!!
 それもいい!!」

まもなく日本到着。
次回は、ニュース「その5」最終回です。

(次回につづく!)


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2005-02-04-FRI

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