総武線猿紀行第143回
36年目の青春ガチンコ勝負とは?(その3)
いよいよ10月4日(金)
「トーク・ウェスタン・カーニバル」が開催されます。
え〜ゴールデンカップスのデイヴ平尾さんと、
カーナービーツのアイ高野さんに
初めてお会いするのですが、
御両者には、GS時代のディープな内幕話を中心に、
激しく色々なことをお聞きしたいと思います。
さて、ワイルドワンズの加瀬邦彦さんから
「25歳以下限定ライブをやりたい」といわれ、
当惑したのは、加瀬さんの動機は
「サエキけんぞうのコアトーク」
というトークイベントに出演していただいた際に、
25歳程度の若者がたくさんいたからです。
しかし、そういった20歳台で昔の音楽を聴いている連中が
一筋縄でいかないことは明白です。
彼らは総じてものすごいマニア。
どこからともなくコアな情報を仕入れてきます。
そんな連中にとっては、
時に「ハンパなライブ演奏」よりも「コアなお話」のほうが
情報密度が濃かったりするわけですね。
レアなシングル盤の名前を聞くほうが、
中途半端なライブを見るより大事なわけです。
僕としてはワイルドワンズのライブ企画をするのは
良いのですが、ワンズのライブがもし、
おっさん臭いものだったら
その責任を問われることになります。
そこで銀座のメイツというところでやっている
ワンズのライブを見に行くことにしました。
会場の平均年齢は52歳くらいでしょうか?(笑)
オジサンにつれて来られたおねえちゃんもいます。
曲は、ワンズの曲もありますが、
ニューミュージックメドレーでは
「YMCA」や湘南サウンド後輩筋の
サザン・オールスターズの「勝手にシンドバッド」を
振り付けでやったりします。
一番面白かったのは、加瀬さんが、
メンバーで唯一独身の植田芳暁さんに向かって
「料理、炊事、洗濯、すべてこなせなければ
・・・嫁は来ないぞ」と「関白宣言」を歌うところです。
還暦を迎えた加瀬さんが
50台後半独身の植田さんにいう冗談としてはスゴイ、
ブラック。
しかもこの日はおまけに
「お前が男と結婚したら間違いなく話題になって
バンドが有名になる、男と結婚しろ!」
と物凄いMC。
とにかく長く続いているアーティストはMCがうまい。
ワンズは4人ともしゃべるので楽しいです。
ライブではワンズのオリジナル曲は少なめでしたが、
さすがに81年の再結成以来、
営業中心とはいえ20年間ライブを続けているだけに
安定した演奏力でした。
いけそうである。
腹をくくり、計画をたてることにしました。
日にちは9月1日。
タイトルは、68年当時、大橋巨泉が
音楽評論家の星加ルミ子と木崎義二さんとやっていた番組
「ビートポップス」からとり、
「ビートポップスin銀座
featuringワイルドワンズ」としました。
司会は僕が巨泉役で、
GS評論家の大森眸さんが星加さん役です。
その番組はゴーゴーガールが
たくさん踊ることが特徴なので、
まずは、ゴーゴーガールを調達することが大事です。
次に若い世代のGSのバンドを集めます。
ドンキーズというバンドは
コアトークにも出ていただいたのですが、
20台前半という若さで
マニアックな60年代風映画も撮りながら
GSもやっているすごい連中。
この人たちはギャグも恐れずガシガシやります。
14年前に突然ブームになったネオGSブームは
ムーディーなオリジナルラブなどを生み出しましたが、
間違ってもお笑いはやらなかったので、
新しい世代の台頭を感じます。
実際のGSはスパイダースをはじめとして、
ギャグはかなり強かったので、それも正しい行き方です。
また、DJやバンドで幅広いGS的活動を続ける
鈴木やすしさんにも出ていただくことにしました。
この人は30歳ぐらいの人で、有名なロカビリーの
「鈴木ヤスシ(又はやすし)」とは別人。
ワンズとのならびでは本物に見えるので、
問い合わせがありました。
渚ようこさんもあえて渚ゆう子と名前を近づけており、
こういった行き方は、流行なのかもしれません。
(本名ならゴメンネ)
その他、DJにベテランのサミー前田と、
ネオGSの王者ファントムギフトのサリー久保田を向かえ、
万全ともいえる布陣で臨みました。
8月31日にはクラシカルGSとして有名な
ハプニングス・フォーの再結成コンサートも開かれ、
もう2002年の夏の終わりの気分は60年代なのです。
9月1日は昼から銀座に集合。
ケネディハウスは普段、ライブレストランとして営業中。
加山雄三さんのライブも月一であります。
加山さんや、ワイルドワンズが
このライブハウスで間近で見られることは
知られていませんが、ここは大変にお得なので
是非予約していかれることをオススメします。
http://www.wildones.co.jp/kennedy/index.html
普段はライブレストランで営業中なので、
大きめなテーブルと椅子があり、このイベントのために、
それを外に出すことから始まります。
それはスタッフだけでできないので出演者、
GSのメンバーが総員集まって
エッチラ、オッチラ運ぶのです。
椅子をかたすステージ裏はJRの銀座高架線下。
あまり知られない空間ですが、戦後ずっと続いている、
信じられないほどレトロな風景が休日に、
新橋、有楽町をつないで続きます。
このステージ裏を、加山雄三さんも使うのです。
リハーサルは順調に終わり、いよいよ客いれ。
時間がない中での告知だったので、
果たしてお客さんが来るのかどうか?でしたが、
開始前には列ができました。
予定通り若い子もたくさんいますが、
「(精神年齢)25歳以下」と告知したので
怪しい若者もいますが、それもうれしいです。
かなり客席があったまった中、
鈴木やすしのDJ「ビートポップスのテーマ」をかけ、
いよいよショウを始めます。
GSに混じってドリフターズネタも披露するドンキーズ、
テンプターズなど、暗めなGS曲を勢いよく演奏する
鈴木やすしとゴールデンサウンズに、
ワイルドワンズのメンバー達も感心して見入っています。
当時のGS達と何かが違う。
それは肩の力が抜けている、
リラックスしているせいでしょうか?
一般に今の若者は
ステージにあがらなくなってきているといえます。
いよいよ、ワイルドワンズの登場です。
ステージ脇でフォロウします。
ベテラン特有の激しいテンションが
ステージそでにも香ってきます。
すごい緊張感。
いつもはリラックスしている植田さんが
ちょっと上ずりぎみにMCをし、演奏開始。
「オール・オブ・マイ・ライフ」という、
ザ・バーズとビートルズを合わせたような
67年の1stアルバムのオリジナル英語曲です。
今聴いても十分、むしろ今だから受ける曲調です。
左右には20代で、
ステップを決める完璧なゴーゴーガールが2名、
演奏をあおるように踊っています。
完璧ともいえるGS的演奏に客は呆然とし、
黄色い歓声があふれていきます。
これがあのソフトなイメージのワイルドワンズ?
たたきつけるような植田さんのリズム、
加瀬さんのファズのかかった12弦ギター、
島英二さんと鳥塚茂樹さんの若々しいパフォーマンス、
とてもじゃないけど平均50代後半とは思えない。
僕が見ることの無かった当時のジャズ喫茶の雰囲気が
見事に再現されていきます。
ソフトな「想い出の渚」も
みんなが合唱しながら盛り上がり、
ラストは「ハ・ハ・ハ」などジャズ喫茶をわかせた名曲が
すごい迫力で演奏されていきます。
加齢とは関係なく、一線のリズムは保存され、
35年たった今、GSの封印はとかれました。
それは、CDや映画ヴィデオといったメディアを経て
若者がそれに気づき、
本来すれ違った出生をしている世代同士が
奇跡の出会いを始めた夜だったといえるでしょう。
この日、音楽と世代にそびえていた
大きな大きなベルリンの壁が崩れたといえます。
10月4日のコアトーク会場で、先着30枚限り、
こうした演奏を含むワイルドワンズの
10月16日赤坂ブリッツ公演を6000円チケットを
「若者」に限り、3000円で販売します!
サエキけんぞうのコアトーク69回
「GS最前線 第一回
トーク・ウェスタン・カーニバル!!」
GS界のスターダムイベント
「ウェスタンカーニバル」をトークで再現!
正真正銘のGSスーパースター達の爆発する
GS裏話のバトルロイヤル!
※18:00開場19:00開演〜いつもより30分速く始まります
【Guest】アイ高野(カーナビーツ)、
デイブ平尾(ゴールデンカップス)、
加瀬邦彦、植田芳暁(以上ワイルドワンズ)、
黒沢進、大森眸(以上GS評論家)
【司会】サエキけんぞう
【チャージ】¥2000(1D込)
at新宿ロフトプラスワン
http://www.loft-prj.co.jp/PLUSONE/plusone.html
新宿歌舞伎町1-14-7林ビルB2F
(コマ劇場前のサンクス右隣)TEL3205-6864
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