いい音は空気を洗う。
加藤晴之さんの紙筒スピーカー物語。

<「加藤晴之さんのスピーカー」って何ですか>

スピーカーなんてものに、まったく縁のなかった
通天閣あかりです。
カラオケの18番は「草原のマルコ」。
ピアノは右手の段階でやめました。
高校の頃やっていたバンドでコピーしてたのは
BON JOVIとプリプリとアン・ルイスです。
家にいる時のBGMは音楽よりもテレビです。
アンプって何ですか?
ウーハーってお菓子ですか?

こんな、「よく言えば普通」な私でさえ、
これ、他とは全然音が違うやん!
と感じたスピーカーのお話が、今日から始まります。

darlingが95年から連載を続けている
カタログハウスの雑誌『通販生活』ですが、
今回の『秋の特大号』に掲載された
「加藤晴之さんの紙筒スピーカー」は
その号の商品87点(消耗品を除く)の中で
なんと、現在売り上げ高ナンバー1なんですって!


『通販生活 秋の特大号』は、8月後半から
定期購読者へのお届けが始まったところ、
早速このスピーカーの注文が殺到。
日を重ねるごとに、これまた注文が続々と。
何故に??
試聴したわけでもない人たちが、
こんなに申し込んでくれたのでしょうかっ?
書店で、この『通販生活 秋の特大号』が発売されるのは
9月14日の予定なのですが、
これを読んだ人たちが申込みをはじめたら、
なんかすっごくタイヘンなことになりそうです。
そんな心配をしているところに、
『通販生活』の編集者で、
このスピーカーを担当されている宮坂さんから
こんなメールが届きました。

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予想をはるかに上回るご注文を
集中的にいただいたために、
このペースですと数日のうちに
在庫ゼロになってしまいそうです。
加藤さんのスピーカーは
ほとんど全部の工程が手作業のため
制作スピードの短縮が難しく、
これからご注文をいただいた方へのお届けは
11月末以降になってしまうと思われます。
購入をご希望くださる方には、
必ずご入手いただける体制をとりますが、
お手元に届くまでには
ちょっとお時間がかかってしまいそうです・・・
___________________________

な、な、なんやて!なんやて!宮坂師匠!
今から注文して11月末やて!
「ほぼ日」のメリー木村くんがすでに現物を手に入れたのは
すごくラッキーだったのかも!

さてさて、その「加藤晴之さんの紙筒スピーカー」って
いったい「何がどう」いいのでしょうか?

まず見た感じは、これであります。


アンプつき
一括価格37000円(分割価格39200円)送料600円別
スピーカーのみ
一括価格27000円(分割価格28800円)送料600円別

特長としてはですね。
・「ダブルバスレフ方式」で広い音域を再生
・素材は古紙で作られた紙管とMDF
(間伐材を粉砕して固められた素材)
・スピーカーユニットはフランスのオーダックス社製
・幅11.6cm×奥行26cm×高さ23.2cm
・重さ1.3kg
・最大入力10W
・出力特性87Hz〜20KHz

・・・はい。
なんのことかさっぱりわかりませんね。
分かる人だけ分かっとったらええねん、
と、今夜はやけ酒でも飲みたくなりますね。
(しかし、この辺りの専門的なことも
 今後、様々なドラマを交えて
 解明していきますからお楽しみに!)

と、やや自棄になったところで、
このスピーカー発売のキッカケをつくった
「ほぼ日」のdarlingに
まずは、このスピーカーとの出会いを
話していただきましょう!

♯1 darling、いい音に出会う

・いいものをポピュラー化するのが仕事

僕が加藤さんにお会いしたのは、
2年ほど前、宮崎駿さんのスタジオで、でした。
宮崎さんも、加藤さんのスピーカーを友人に紹介されて
聴いてみてびっくりしたそうです。
僕は加藤さんのことは
「蕎麦打ち職人」として知ってたんですよ。
すっごい蕎麦を打ってきた人なんです。
『蕎麦打』(筑摩書房)って本も書いてますよ。
同じ方法論でスピーカーを作ってるんだろうなってことを
思ったんです。
だとしたらスゴイぞ、と。

で、実際にいろんなスピーカーを聴き比べさせてもらって。
自分が作ったものでも、
だめなものはだめって言ってるし、
こっちはこれが足りないとか
これはこれに比べてここがいいとか、
非常に科学的にしゃべってくれました。

加藤さんに会うまで、
スピーカーのことを
ほとんど意識してなかったんですよ。
昔はああいうもののことを
「ステレオ」って言ってたんですけれども
ステレオって、思えば何回も買い替えてるんですけどね。
だんだんと面倒くさくなっていって、
大きい音で聴くことも段々しなくなっちゃって
ラジオみたいな扱いになっていっちゃったんですよ。

そんな時、加藤さんが色んなスピーカーを持ってきていて
色々聴き分けをさせてくれたわけなんですよね。
もうね、びっくりしましたね。あれは。

これはこうでしょ、これはここがいいでしょって
言われることがいちいちすごくよくわかって、
何より思ったのは、僕らはひとつの商品として、
なにげなくCDを買ったりしてるんだけど
音楽を作った側が一所懸命に
「俺たちはこういう音楽を作ってるんだぜ」と、
レコードに込めた気持ちというか音づくりの部分を、
受け止めてなかったなあということです。
ラジオみたいに聞き流すことで
本当に作り手が意図している音楽というものを
聴けていなかったんです。

加藤さんが
「音楽はヘッドフォンなんかじゃなくて、
 空気を伝わって届いてくるから気持ちいいんです」
ってことをおっしゃってるのを聞いて、
ああ、俺は、音楽を受け止めてないのに、
いいだの悪いだの、
好きだの嫌いだの言ってたなって思ってたよ、
音楽作ってる人に悪いなぁ、って思ったんです。

日本中にはきっと、
俺みたいな人はいっぱいいるなって思ったんで、
ある程度安い値段で、
空気を震わせて流れてくるいい音を
皆が聴くようになったら、
もっと音楽全体が、創る人も聴く人も
もっと気持ちよくなるんじゃないかなと思って、
その手伝いをしようと思ったんです。

で、色々、うーんと考えて、
前に「糸力カレー」を創って売ったときの
パターンを思いついて、その時の経験もあるし
連載もしているしってことで
もしかしたら『通販生活』が
この話に乗ってくれるかもしれない、と思ったんです。

『通販生活』にとっても、
皆にとっても「いいこと」を
遠慮しないで伝えるわけだから、
この仕事、引き受けてくれるんじゃないかって
期待してたんです。
で、『通販生活』の編集者に声をかけて
加藤さんの家にお邪魔して、試聴をやった。
予想どおり、彼らも、非常に興味を持ってくれて
ゴーサインが出たってわけなんです。
(ゴーサインが出てからの諸々のドラマを、
これからこのページで紹介していくことになるんですが)

何より自分が欲しかったんですよね。
聴いて、ほんとにびっくりしたからね。
すごい装置を、すごいお金をかけて買って
いい音が出るなら当たり前なんだけど、
格段に値段が違いますよね。
100万円出してもいい音がしない場合もあるし、
それが、財布の中に入ってる金額で買えるっていうのは
一番大事なことだと思ってたんで、
本当に実現してよかったと思います。

限られた一部の人が、すごいねって
言ってくれることをするのは、あんまり興味ない。
マニアのたのしみを手伝うんじゃなくて、
いいものをポピュラー化するっていうのが
ぼくの仕事だと思うんです。
詳しくもなんでもない人が
いい音を普通に聞いてるっていうのが
豊かさだと思うんで、そっちを実現したかったんですね。
いいものをせっかく作っても、
人の手に届かなければ誰も嬉しくないわけで、
そこをつなぐ仕事ができたら、僕も嬉しいですよね。

音楽を創る側と聴く側が
楽しみをシェアしていくっていうことを、
やりたかったんです。
その両方が満足するっていうのが
「安くていいものを手に入れる」ことなんですよ。
これからモノを創っていく時っていうのは
それが基本になるでしょうね。
市場に今までなかったものを出すっていうのと、
そのモノのいいところを全部伝える
っていうことができれば、必ず広がると思います。
このスピーカーみたいに。


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音楽を創っている人に失礼だって感覚は
今までなかったけど、確かにそうだったかもしれません。
このスピーカーによって、
音楽をあきらめずに楽しむことができそうだなってことが
ちょっと分かってきましたよ。

音の素人にも分かる加藤さんのスピーカーの良さと
それを取り巻くドラマをこれからお伝えしていきます。
本当にいいものなので、いくらでもお伝えできるんです!

次回は、商品名にも名前が入っている
「加藤晴之さん」て誰やねんというテーマで、
お届けします!
ほな。


「加藤晴之さんの紙筒スピーカー」に関する
お問い合わせは、
0120-701-567(カタログハウス商品ご説明課)
お申し込みは、
0120-164-164(カタログハウス受注センター)
までお願いいたします。

2001-09-06-THU


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