ほぼ日刊イトイ新聞 フィンランドのおじさんになる方法。

第23回 エルッキさんの「クルマラン・コウル」利用ガイド。 森下圭子

わたしたちがキヒニオで泊まったのは、
エルッキさんの経営する
「クルマラン・コウル(Kulmalan Koulu)」という施設。
じつはここは以前、村の学校だった建物で、
いまはエルッキさんが授業をおこなう
ビジネスマン向けのセミナーハウスとしてのほか、
観光用の宿泊施設としてもオープンしています。

フィンランド人にも懐かしい小学校。

フィンランドの小学校というのは、
かつてどこも、村人たちの手によって
建てられていたのだそうです。
材木を提供してくれる人がいて、
ボランティアで働いてくれる人たちがいて、
どんな人も教育が受けられる環境を作るために
村人たちが力を合わせて
学校を建設していったのだそうです。

そんな手づくり小学校の多くは
2階が住居になっていて、
小さな学校で教えてくれるたった一人の先生や
そのご家族の住まいになっていました。

このキヒニオでも、少しずつ子供の数が増え、
学校の規模が大きくなり、
離れができたりしていきました。
そんな学校が廃校になったとき、
エルッキさんはここを買い取ります。
セミナーもできて宿泊もできる施設にしよう、
と思いついてしまったのだそうです。

エルッキさんが再現した「小学校」は。

エルッキさんと村の仲間たちは
村の小学校の懐かしい部分を残しながら、
快適に大人たちが休める施設を作ろうと
コツコツと手を加えていきました。
物置に残されていたのは
博物館でしか見られないと思っていたような
教材や勉強机。
昔の教室のようすを完全に再現させた部屋では、
大人たちが先生役をやってみたり、
子供の頃に戻って懐かしい机のふたを
パタパタやったり‥‥止められなくなるようです。

人々のあたたかい心が集まって建てられた木造の学校には
木のぬくもりがしっかり残っています。
1階には昔の教室を再現させた部屋と
大きな食堂があります。

時代にあわせた素敵な家具は
もともと奥さまのアンニッキさんが
趣味で集めていたアンティークです。
2階は大胆なリフォームを行って
大小5室の宿泊施設になっています。
それぞれの部屋に複数のシングルベッドが並ぶ、
共同宿泊施設です。

この建物にはトイレが共用で一つしかありませんが、
校庭を横切ったところに男女別のトイレが複数あります。
そう、「林間学校」のようなイメージといえば
わかっていただけるかもしれませんね。
その隣にあるシャワーやサウナは、
男女共同での使用になります。
(時間で区切って使います。)

目玉はお風呂。
サウナ+シャワーが一般的なフィンランドでは
なかなかバスタブにありつけなかったりするのですが
ここには薪で沸かす木の露天風呂があります。

夏、白夜のときの、
空の青さが少しずつ深みを帯びていく様子、
真夜中に聞こえてくる鳥の声。
夜の音を静かに聴きながら入るお風呂は格別です。
冬は冬で、サウナのあとに裸のまま雪のなかを歩いて
たどりつくこのお風呂、最高なんですよ。

校庭にはこのお風呂のほかに、
軍用テント(ストーブつきだから冬でも楽しめちゃう)や
焚き火、薪割り、燻製などの設備が整っています。
テントの中でご飯を食べたりするのも楽しいかも?
おじさんたちは、こんなところで会議をすると
秘密の作戦会議みたいで盛り上がるようです。
焚き火ではソーセージをはじめ、
あれこれ炙ってみるのもいいですし、
お願いしてスープやコーヒーを
焚き火で作っていただくこともできます。
焼き網などもあるので、
たとえば日本からお餅を持ってきて焼くこともできます。

夏休みの時期になると近くに住む人たちや
車で通りかかった人たち向けに
校庭がカフェになったりします。
手づくりの菓子パンやケーキといっしょに
奥さまのアンニッキさんが選んだ
オーガニックのハーブティーやコーヒーを
いただいたりして、短いけれど最高の夏を、
いつもと違った形で楽しんだりしているようです。



日本から、遊びに行くことはできる?

この施設は夏休み以外は
おもに会社のセミナー用に使われています。
エルッキさんのかつての仕事経験が背景にあります。
なんでも人をまとめてひっぱっていくリーダーシップを
指導していたのだそうです。
大きな会社の幹部や、
大人数をまとめなくてはならない人たちが
ここにやってきます。
大自然の中で子供の頃にやったような懐かしい遊び、
森の声をききながらゆっくりする時間、
そんな風に楽しい要素たっぷりの中で
少し教室でお勉強する時間もあって。

ほんらいは、そんなふうに使われているのが
ここ「クルマラン・コウル」ですが、
日本のかたがセミナーで使う機会は
あまりないかもしれません。
でも、都会的な快適さとはまったくちがう
フィンランドの田舎ぐらしを体験しに、
ここに泊まることもできます。

では、ここで休暇としてどんなことができるかを
お話しさせていただきますね。

アンニッキさんの指圧
奥さまのアンニッキさんは
フィンランド全国にお弟子さんたちのいる
指圧の先生。
フィンランドで指圧の第一人者とも呼ばれています。
(クルマラン・コウルで
 セミナーが行われることもよくあります)。
そんなアンニッキさんの指圧を受けることもできます。
こちらは、事前に予約が必要です。
また彼女はハーブやお料理のことにも詳しくて、
ここでは彼女の選んだアロマオイルやサプリメント、
ハーブティーなどが並んでいます。
アンニッキさんがいるときであれば、
気軽に、そんなアドバイスもしてもらえます。
(ちなみに、エルッキさんもアンニッキさんも
 英語を話します。)

フィンランドの森と湖体験
クルマラン・コウルから車で5分ほど行ったところにある
トロッコ遊びやテントサウナの利用、
廃線になった線路ぎわでの焚き火も、
もちろん可能です。

そして、釣りやいかだ舟での湖上のピクニックなどを
体験したい場合にも、是非彼らにご相談ください。
その他に、近くの山を歩きたいけれど、
ネイチャーガイドがいてくれると嬉しいなどという際にも
どうぞご相談ください。
きのこ狩りやベリー摘みなどに関しても同様で、
季節にあわせたアクティビティを
ガイドつきで楽しんでいただけます。
冬は、クロスカントリースキーや、
かんじきを履いての雪上散歩なども楽しいですよ。

村での買い物
村のスーパーってどんな感じ?
村のよろず屋は? など、
ちょっと田舎でも何かお買い物してみたい方も
いらっしゃるかと思います。
そんなときも是非ご相談ください。

食事は?
滞在中は、基本的にすべての食事を
「クルマラン・コウル」でとります。
朝食、昼食、夕食、その他おやつや
飲み物なども提供されます。
朝食はブッフェスタイルで、
ハムやチーズ、生野菜、ヨーグルト、ベリー、
パン、ミルク、ジュース、コーヒーや紅茶など。
昼食と夕食は、食堂でも、食堂車でも、
焚き火のそばでも、
リクエストに応じてセッティングしてくれます。
基本的にフィンランドの食材をつかった郷土料理で、
湖で釣った魚を調理したり、
季節によってはきのこや、
摘んだばかりのベリーも楽しめます。

料金は?
アクティビティやサービスの利用によって
利用料金が異なります。
もちろんお一人でご利用いただくことも可能ですが、
グループでご利用いただくほうが割安になります。
基本的には食事(朝、昼、夜、その他おやつ)と
宿泊をセットにし、その他やりたいことがどんなことかを
事前にご相談いただいて、
エルッキさんから基本的な料金を
提示してもらうのがよいでしょう。

アクセス
キヒニオへのアクセスは、
フィンランド国鉄のパルカノ(Parkano)駅から
車で15分ほどとなります。
駅に掲示してあるタクシー会社に電話をして
(英語が通じます)来てもらうか、
事前にエルッキさんに到着時間を知らせておき、
送迎をご予約いただくのがよいでしょう。


エルッキさんの「クルマラン・コウル」は、
日本から予約のできる代理店がありません。
「ほぼ日」が間に入ることもできませんので、
興味があるかたは、
英語(またはフィンランド語)で、
直接メールにてエルッキさんまでお問い合わせください。
info@kulmalankoulu.com

クルマラン・コウルのサイト
http://www.kulmalankoulu.com/

住所:
Niskoksentie 2
39820 KIHNIÖ, FINLAND

2009-04-16-THU
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