森の民だけあって、フィンランドの人たちは
自然に根付いた生活にふれると
興奮スイッチが入ってしまいがちです。
自然の中でどうやって食を確保していたのか、
家でどうやってチーズを作っていたのか、
麦をどうやって挽いていたか。
そんな生活を想像させる、昔の道具を、
フィンランドの人たちは大事にします。
使えなくなっても、たとえばインテリアにしてしまったり。
そんなところに人が集まれば、
道具を囲んで会話もはずみます。
そんな昔の道具はサマーハウスのような、
日常の生活からさらに自然に一歩溶け込んだ
生活をする場所などで見受けられます。
そんな道具がごちゃっとせずに、
おじいさんの古時計のような威厳と
やさしさで飾られているのが
ハッリさんのレストランです。
道具だけでなく、ところどころで
古い木造のどっしりした家の建材を使っています。
いくつも並ぶテーブルの中には、
ハッリさんが自分で見つけてきた
100年以上のものもあったりするんです。
ハッリさん、フィンランドの質実剛健な
アンティークが大好きなんだそうで、
旅先でひょっと買ってきたりもするのだとか。

このレストランを飾っているものたちは、
ほとんどがカレリア地方のもの。
かつてフィンランドだった、現在ロシア領の地域です。
ここはフィンランドが独立するときに
独立に足る個性と強さを求めた
「フィンランド文化の源泉」でもあり、
画家をはじめ多くの芸術家が
ここに作品のインスピレーションを求めて
旅をしたといいます。

こんな話ばかりしていると、
レストランがコテコテなフィンランドのようですが、
レストランにやってくるお客さんたちはまちまちです。
お昼は近くのオフィスで働いている
会社員たちが多いんです。
だからお昼のメニューは、
どちらかというと無国籍に近いでしょうか。
フィンランドっぽいもの、
テレサさんの創作料理、○○風‥‥
つまり毎日のようにやってくる会社員たちに
飽きがこないような、
そんなテレサさんの気配りが伺えます。
もちろん、今ではあまり家で作ることのないような、
手のかかるフィンランド家庭料理もあります。

夜はフィンランドの料理がメインです。
そしてここがテレサさんらしいのですが、
彼女はフィンランド料理に
「少しだけ」アレンジを加えたりもするんです。
でも、それはフィンランドの人が
喜んでくれるタイプのもの。
食材をよりおいしくいただくために
彼女が考えた工夫なのです。
正統派フィンランド料理が
懐かしいお母さんの味になるのは、
こうしたテレサさんの工夫が
あるからなのかもしれません。

レストランはお昼はランチブッフェ、
夜はディナーブッフェになっています。
テーブルの上にずらりとお料理が並んでいて、
好きなものを好きなだけ、
自分で選んでお皿に盛って食べてください。
フィンランドの食事は、ボリュームがすごすぎて、
本当はいろいろ試してみたいのに‥‥
という方に、お勧めです。
オードブルも、お魚もお肉も、少しずつあれこれ。
スープもほんの少し、とか。
たとえばスモークサーモン、
ニシンのマリネ、きのこのサラダを前菜に、
トナカイのローストと、マッシュポテトをたっぷり、
さらに焼いたサーモン、なんていう選び方もできますね。

また別料金になりますが、
メニューから特になにかをオーダーして
いただくこともできます。
たとえばエスカルゴのソテーや、
フィンランド風のパンケーキ、
フィンランドのチーズの盛り合わせ、
ビーフやトナカイのステーキや、
ニシンのフライなどもあります。
デザートも、ベリーのバフェやアップルパイ、
フォンダンショコラなどなどが
別料金メニューにあるので、
甘いものは別腹の方、ぜひお試しください。
それからお酒なども別料金ですが
世界各国のワインなど、
いろいろありますので、
こちらもメニューをお願いしてくださいね。

そうそう、ベリーやきのこは
ハッリさんとテレサさんが
お二人のサマーハウスの森で
摘んできたものが調理されて出てくることもあります。
レストランに流れる音楽は心地のよい
懐かしいフィンランド音楽ばかり。
フィンランドタンゴはじめ、
そんな音楽に興味のある方も
是非行ってみてはいかがでしょうか。
ハッリさんとテレサさんが大好きで
やってくる常連さんたち、
テレサさんの手料理をいつも楽しみにしてくる人々、
心地よい音楽、
フィンランド人を興奮させてしまうインテリア。
もちろん旅行者たちも多いので、
ここに来るのは初めてという人だって多いはずなのに、
なんだかいつも懐かしくて、
そして初めていったときからい心地のいい、
そんなレストラン‥‥のように私は思います。
なんでも世界中で愛読されている
旅行ガイドブックの定番、ロンリー・プラネットでも
紹介されているのだそうです。


Konstan Möljä(コンスタン・モリヤ)

【住所】
Hietalahdenkatu 14, 00180 Helsinki
【電話番号】
+358 (0)9 - 694 75 04
【地図】
大きな地図で見る
【営業時間】
火~金曜日 11:00~14:30、17:00~22:00
土曜日 16:00~22:00
日・月曜日 休業
【交通】
ヘルシンキ中央駅から徒歩20分ほど。
トラムの6番が、近くを通っていますが、
慣れない人は、タクシーで行くことをおすすめします。
【料金】
ランチブッフェはひとり8.70€
ディナーブッフェはひとり18€
【HP】
最新情報は、 ホームページでご確認ください。
|