ほぼ日手帳世界一物語。

第十回 おそるべし!“紙問題”


ほぼにちわ、あややです。

昨日発表しました、
「ほぼ日手帳2003」の“手帳カバー”。
みなさま、気に入っていただけましたでしょうか??
昨日の発表以来、postman@1101.com宛にも
みなさまのからのメールが
じゃんじゃん届いております。
「私は、トマトレッドに決めました!」
なんて、早くも購入する色を宣言してくだっている方も
いらっしゃったりして、
とにかく、ものすごーく大評判です!!
自信作ではあったのですが、
実際に、みなさんに、気に入っていただけて
ほんとうに、うれしいです!!
ありがとうございます。
まだ、ごらんになっていないという方は、
ぜひ、こちらのページをどうぞ!

さてさて、きょうは、
わたしたちを悩ませた頭の痛い問題、
手帳に使用する紙”についてお話しまーす。


●おもてうつりする!?

読者の方からのアンケートで、
何人かの方からご指摘いただいたのが、
“手帳の紙”についてでした。
そのご指摘とは・・・・

ゲルインク(水性)のペンで書くと、
 おもてうつりがする!


ということでした。
うーーん、正直、
これは、ちょっとショックなご指摘でした。
だって、昨年使用していた紙は、
手帳に最適な紙と言われる
トモエリバー”という紙だったんですもの!
“トモエリバー”が
なぜ、手帳に適しているのかというと、

1.裏うつりしない
2.薄くて軽い
3.やわらかい(ひらきやすい)

という利点があるからなんです。

1番の「裏うつりしない」というのは、
手帳用紙としては、大事なポイントですよね。

2番の「薄くて軽い」というのも、
手帳にとって、大事な要素です。
“薄い”ということは、
手帳の厚さが分厚くならない、ということなので、
他の紙を使用するよりも、
同じページ数だったら、薄くてすむ
または、同じ厚さだったら、
よりたくさんの情報を書き込める
ってことですもの!
しかも、紙が薄いと、
その分、当然重さも軽くなりますよね。
手帳は、毎日持ち歩くものなので、
軽い”ということも、とっても大事な要素ですわっ!

さらに、3番の
やわらかい(ひらきやすい)」というのは、
「ほぼ日手帳2002」でもおなじみの、
あの例の製本、手でおさえたりしなくても、
180度パタンと開く
“糸かがり製本”を実現するために、
とっても重要なポイントなのです。

以上のような利点を考えて、
昨年は、“トモエリバー”を使用したのでした。

が、しかーし・・・
アンケートをとってみたところ、
「ゲルインク性ペンを使用すると、インクがにじみやすい。
 よって書いた跡が残って、表面が汚れてしまう。」
というご指摘を受けてしまったのです。
このご指摘を受けて、わたくし、
実際に、ゲルインクのペンで
「ほぼ日手帳2002」に書き込んでみました。
すると、たしかに、書き込んだ直後に手帳をとじると、
反対がわのページにインクのしみがついてしまいます。
油性や中性のボールペンで書き込んでいれば、
“おもてうつり”はまったくないんだけどなあ。

わたくし、油性派なもので、
正直、これには気づきませんでした!
でも、一度、耳にしてしまったご指摘に
目を背けることはできません。
これは、なんとかせねばっ!!

というわけで、早速、今回、
手帳の印刷をおねがいしている図書印刷さんに、
事情をすべてお話して、
ゲルインクでもにじまない紙ってありますか?
と単刀直入にたずねてみました。

すると、図書印刷さんからの解答は、

ゲルインクに対応している紙というのは、
 現在どこの紙メーカーも製造していない。


ということだったんです。
ガ、ガーーン・・・。
ない、んですか。はあ〜。
で、でもね、実際に、こうして使用者の方から
ご指摘をいただいてるわけで、
ここは、やはり、なんとか検討してみたいんです!


●最も“インクの乾きがよい紙”は?

そもそも、“おもてうつりする”ということは、
“インクの乾きが悪い”ということだから、
比較的、“インクの乾きのよい紙”を
持ってきてもらうことにしました!

まず、最初に図書印刷さんが持ってきてくれた紙は、
最も、インクの乾きがよいと言われる、
スイングマット”という紙でした。
うーむ、たしかに、
実際に、ゲルインクのペンで書き込んでみると、
インクの乾きはとってもよいわっ!
で、でもね・・・・
紙質がとーっても厚くって、
しかもペンのインクのすべりがあまりよくない!!

すらすらと書くのには、
どうやら適してないみたい・・・。
これは、大問題です!!
だって、「ほぼ日手帳」は、
たっぷりの書き込みスペースが
大事な売りの1つなんですものっ!
書きにくかったら、どうしようもありませんわっ。

実際に、手に取ってみてわかったのですが、
この“スイングマット”という紙、
本来、手帳紙として優先されるべき利点である
“書きやすさ”とか“高級感”が
まったくないんですよね〜〜。

しかも、紙が厚いからどうにも、分厚い!
うーーん、どうやら、この紙で手帳を作ったら、
来年のアンケートでは、

分厚すぎる。

というご指摘がジャンジャンきそうですわ〜。


●上質紙は??

では、“スイングマット”ほど、
インクの乾きがよくないけど、
“トモエリバー”よりは
比較的インクの乾きがよくって、
しかも、“書きやすさ”とか“高級感”のある
紙って他にないのかしら??
というわたしたちのオーダーに対して、
図書印刷さんが次に持ってきてくれたのは、
上質紙”という紙でした。
この“上質紙”の利点は、

1.インクの乾きが比較的よい
2.優れた保存性(破れにくい)

という点です。
これ、実は読者の方から、
「某店の手帳の紙はゲルインクにも適していて、
 これは最高」
というご意見をいただいていたのですが、
調べてみたら、
その紙はこの「上質紙」だったのでした。

そんでもって、またまた、ゲルインクのペンで
わたくしたち、実験してみましたっ。
結論は・・・・

ゲルインクのおもてうつりはある。

しかも、

トモエリバーにくらべて、
同じページ数だと、
格段に分厚くなってしまう!

たしかに、トモエリバーに比べたら、
インクの乾きはよかったんです。
でもね、どうにも、こうにも、
トモエリバーの手帳と、上質紙の手帳では、
厚さがぜんぜん違うのです・・・・。
しかも、厚みをできるかぎりおさえるために、
一番薄い上質紙を持ってきてもらったのに、です。
実は、アンケート結果では、
もう1つの意見として、

なるべく分厚くならないようにしてください!

というご意見がたくさんあったのです。
実際“インクがおもてうつりする”というご指摘よりも、
厚さ”についてのご意見の方が断然多かったんです!
そう考えるとね、
格段にインクの乾きがよいとは言いがたい
この上質紙を使用して、厚みが増すというのは、
使ってくださるみなさまが、
よろこんでくださるかどうか、
ちょっと疑問が湧いてきました。
さらに、この上質紙、厚みをおさえるために
一番薄い紙であったがゆえに、

裏うつりする!


うーーん、おもてうつりしにくいけど、
裏うつりするのか・・・・。
なかなか、世の中、完璧なものってないのですね〜。
ふう〜。
アンケートで、手帳の紙について、
お褒めの言葉として、
たくさんの方々からいただいていたのが、

裏うつりしなくて、いい!!

というご意見でした。
そうなんです!
さきほども、言いましたが、
トモエリバーは、“裏うつりしにくい”というのが
実は、大きな長所なんです!!

なんだか、事態は、どんどん迷宮に入ってますわ・・・。
あちらを立てれば、こちらは立たずだし、
う〜〜ん、ほんとーに、困ったなあ。


●ペンをおまけに!!??

手帳用の紙としての“利点”をおさらいしますと、

1.ペンの滑りが良い
2.裏うつりしない
3.インクの乾きが良い(おもてうつりしない)
4.厚みがあまりない
5.やわらかい(ひらきやすい)

ということです。
これが、ずばり、
手帳にとっての“理想の紙”なんです。
あえて、作る側からの欠点をいうと、
実は紙としては「けっこうお値段が高い」
ということはあるにはあるのですが、
これはあえて問題にしないことにしました。

これらの要素を
ぜーんぶ兼ね備えた紙があったらいいのだけれど、
どうやら、そういう紙って、
わたしたちが調べたかぎり、ないみたいなんです。

このような“紙問題”に、
かれこれ1カ月の時を費やしておりました。
とほほ。
もはや、どのポイントを優先したらいいのかもわからず、
途方に暮れていたところ、
またもや、darlingが大英断を下しました!

「要するにだ。
 あっちを立てれば、こっちは立たずで、
 欠点がまったくない紙なんて存在しないんだろ!?
 じゃあさ、手帳に適した紙のポイントを
 一番満たしている紙は、ずばり、どれなんだよ?」

は、はい。
それは、昨年使用した“トモエリバー”です。
“トモエリバー”と同じ材質で、
インクの乾きさえよければ、ばっちりなんです!!

「でも、実際、そんな紙は存在しない、と。
 だったらさー、もう、いつまでも、
 ないものを探していてもしょうがないだろ。
 いっそのこと、ここは、発想の転換をしてさ、
 “トモエリバー”に書き込んでも、
 おもてうつりしない
 ペンをおまけでつけようぜ!
 それで、“このペンを使ってください
 っておねがいしようよ」

ぬわんですって〜〜!!
darling、マジっすか〜〜???

「だって、それしかないじゃない!
 “トモエリバー”は、そのゲルインクってヤツに弱い、
 ってこと以外は、手帳によく適してる紙なんだから、
 やっぱり、今年も“トモエリバー”でいきたいじゃない。
 だったらさ、たったひとつの欠点を
 あらかじめ、こっちでカバーしようぜ!


たしかに。
“トモエリバー”のたったひとつの欠点をカバーするには、
ゲルインク(水性)のペンを使うかわりに、
“おもてうつりしないボールペン”を
使ってもらうしかありません!!
これは、なんて、大胆な決断なの!
男気ありまくりですわよっ、darling。
『北の国から』でいったら、草太にいちゃん以上、正吉なみ!
それに、ボールペンがおまけにつくとなったら、
読者のみなさんも
きっとよろこんでくれるにちがいないわっ!!

そして、数日後、わたくし(あやや)、
さっそく、ボールペンを探しに、
東京ビックサイトで開催されていた
“文具ショー”なるものに、出かけていきました。
そして・・・・
そこで、驚くべきボールペンと出会ったのです!!
おまけといえども、手は抜きませんわよっ。
それが、真の世界一
にしても、
この、ボールペン、ほんとーにすごいんですっ!!

そのお話は、また明日・・・・

2002-10-09-WED

BACK
戻る