天久
この写真もおかしいけど、
「味写」にも似たやつ、あったなぁ。
梅
え、なにそれ? 見たい!
天久
コンビニでね、
店員がやたらいっぱいいて、
全員で棚卸しをしてる写真なんだけど。
梅
あー、そんな、おもしろい!
天久
このブレ具合が
無駄なスピード感を出してるんだよ。
でも梅ちゃんも、この投稿者も
こういう場面に遭遇する才能
があると思う。
梅
それは、あるかも(笑)。
天久
やらせじゃなんじゃないの? って、
言われることある?
梅
うん、けっこうあるよ。
でも、あたしみたいな写真って、
やらせでできたら
そっちのほうがすごいと思う。
天久
確かにね(笑)。
カメラをはじめてから、どれぐらい?
梅
えーと、けっこう、8年目。
天久
それじゃ、おもしろい写真を
意識して撮りだしたっていう
自覚が出てきたのは‥‥?
梅
うーん、
3年目ぐらいからかな。
東京に出てきてからのほうが、
こんな写真が
多くなってきたかもしれない。
天久
大阪のときよりも?
梅
たぶん、東京の人を撮るときには
1対1で向かい合う状況が
あんまりないっていうか‥‥。
大阪におったときは
ぜったい、あたしと撮られる側との
関係性ができてたんやけど。
天久
撮られる側も
撮られていることを
ちゃんと意識してる。
梅
そう。でも東京では
あんまりそんな関係性が
できてこんていうのもあって、
よけいにこんな写真が
増えてきたような気がする。
天久
カメラ向けても割と無関心でいられるよね、
東京の人は。
梅
あと、東京では、ヘンなこと起きてんのに、
みんなが知らんぷりする状況も多くって、
そのヘンな状態が、さらに浮いて見えるというか。
たとえばこれなんか。
天久
ははははは!
これは完成度高い!
梅
みんな、ふつうにしすぎなんやもん。
ヘンなこと、起こってんのに(笑)。
天久
これはどういう状況で撮れたの?
梅
この子どもが、いきなり
あたしのカメラ見て、アピールしてきたんです。
「オレ、できるから!
デングリ返しできるから!」
とか言ってきて、ほんとにデングリ返った。
天久
うん、うん。
梅
そうしたらこの人が
たまたま通りかかって‥‥。
天久
ミラクルだなあ。
梅
わあ、冷め過ぎやん!
と思って、ぱしぱし撮ってん。
こんな冷めた人、見たことないって。
天久
子どもの無邪気と
都会の無関心が生んだ傑作だね。
梅
子どもにカメラ向けると、なんか起きるね。
天久
うちの傑作も見てくれる?
梅
これ面白い!(笑)
面白いだけじゃなくて『イイ写真』!
天久
「味写」に送られてくる写真も
やっぱり子どもや赤ちゃんが多いんだよ。
梅
あいつらは動物だから(笑)。
天久
それに親バカパワーが加わると
とんでもない傑作が生まれてくることがある。
梅
さっきの写真は東京だけど
やっぱり子どもは大阪のほうが元気あるね。
天久
カメラ向けると
なにかしら、おかしなことしたがるんじゃない?
梅
そうそう。
子どもらを撮ってたら、まずは
なに新聞か聞かれる
しね。
天久
へえ。
大阪と東京じゃ
撮れる面白さも違いそうだね。
梅
引いて見てみたときに、すごいのは東京。
でも、一人ひとりをクローズアップすると、
やっぱ大阪やね。
天久
被写体としてキャラが立ってるのは大阪で、
写真全体としていい絵が撮れるのは、東京ってワケか。
あ、そうだ。これ見てくれる?
梅
スゴイ!(笑) 日本やないね?
天久
そう。中国。
むこうは無関心どころか、
撮るほうも撮られるほうも、
全力で意識してる(笑)。
梅
場所によって人も生活も違う。
そういうところが面白いのかも。
天久
梅ちゃんなりの撮影ポイントってあるの?
梅
やっぱりいつもカメラ持ってると
面白い写真が撮れそうな場所が分かってくる。
「匂い」がするというか。
天久
じゃあ、次回はそのあたりのお話を‥‥。
<続きます!>
2006-12-13-WED
© UME KAYO / HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN