「矢野顕子とやりたいことがある人、募集!」 ということを、学内で公募したわけですよね。 そこから選ぶのは‥‥ |
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篠崎 | それは、学生にまかせました。 学祭ですからね。 結果、ちゃんと彼らがやりたいことを やってもらった感じになったと思うんです。 けれども、最初、1日っていう話が、 いっぱいやりたいことが出てきたから どうしても2日間やりたいとなって、 そこからいろいろなことが、 たいへんになっていったんですよ。 あれが1日だったら、 まだもうちょっと楽だったんですけど。 もちろん準備も大変だったし、 当日も、開演が3時間待ちというところから 始まったくらいなんです。 |
開演がそんなに押した! |
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徳留 | もともとのスケジュールが、 これで順調に行ったら奇跡に近い、 みたいなところで組んであったのが、 押して、押して、押して。 「転換」っていうんですけれど、 出演者の交代とともに 舞台装置を変える作業がものすごく大変ですし、 その時間の読みも足りなかったし、 その練習もなくって。 |
そのあたりも含めて プロの手は借りなかったんですね。 |
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篠崎 | そうですね、何もかも全部学生です。 でも、たぶんこれ、プロが入ったとしても、 かなり難しいイベントだったと思います。 |
そうなると、開演までのムードは、 もしかして‥‥ |
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徳留 | はい、お客さん、不機嫌始まりみたいな感じで。 |
篠崎 | 初日は、ものすごい炎天下のなか、 外で待っていただいていて。 会場が初日は体育館の地下、 二日目は音楽学部のホール、 どちらにせよ中に入っても暑くて。 |
初日の「地下やの屋」は、
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徳留 | でも、開演すると、 帰る人がいなかった。 |
篠崎 | そう、帰らなかった。 あとでお客さんに聞いたら、 「何かこう、終わったときに 共に苦しみを乗り越えた達成感があった」 って(笑)。 |
矢野さんは怒ったり しなかった‥‥ですか? |
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篠崎 | しないですね。 プロに対してだったら怒ったかもしれないけれど。 事前のインタビューで、 自分がやろうっていう、 100パーセントの力を出そうっていう気持ちが 重要だと言っていたんですね。 今の段階でみんなはまだ若いし、 それが結果、失敗を生んじゃっても 全然そんなのいいんだ! っていうことを、力説していました。 |
100パーセントの力。 誰よりもそれを、矢野さんが やったっていうことですね。 |
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篠崎 | うん、そうかもしれない。 あれ、見てね、わたし、ほんとに、 矢野さんて、ほんとにすごいんだって思ったんです。 「音楽堂」でもすごいな、すごいなって 思うことがいっぱいあったけど、 「やの屋」観てほんとにすごいなと思った。 よっくやったなって思う。 |
矢野さんは、今回の藝大生とのコラボについて、 「まだ(音楽や芸術を)職業にしていない、 ただ純粋に作品を作って発表したいという 気持ちが彼らにはあるでしょ。 年齢、キャリアも関係なく 自由に発想して作り上げていくことや、 (作品を)出すための力、気持ち、が どうやって表現されるのか、それが楽しみ。」 と語っています。 |
そのあとの矢野さんに 変化はありましたか。 |
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徳留 | 特に変わらないですね。 その日も「疲れたね、飯行こう!」 みたいな感じ(笑)。 |
篠崎 | ただ、おそらく矢野さんは 意識していないんですけど、 厳しい状況を楽しむというのかな、 そういうスタイルを取り入れるように なっている気がします。 |
徳留 | わたしが担当し始めて、 スケジュールが結構タイトな感じに なりがちで。 みんなから鬼だとかひどいとか言われながら、 「矢野さんできますよね。できますね?」 みたいな感じで入れてて。 その9月もすごいスケジュールの1ヶ月でしたから、 さすがにほんとに悪かったなと思ってるんです。 気をつけようと思って。 |
篠崎 | けれども、ある意味ね、徳留と矢野顕子の出会いが 恐ろしいものを生み始めたっていうか(笑)、 そういう切り口もあるんですよ、ある意味。 |
はい、マネージメントの冒険が すごいと思って、今、聞いていました。 |
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篠崎 | そうなんです! そうなんですよ。 しかも矢野さん、 保守的にならないタイプとは思うんですけど、 徳留に余計そうさせないエネルギーがあるから、 よかったなってすごく思う。 そうそう、矢野さんが言うんです、 「初めてだよね、わたしのファンじゃないのが マネージャーって」って(笑)。 |
徳留 | (笑)そんなことないですよ! 全然そんなことないです! |
篠崎 | 「てか、あたしのことそんな好きじゃない人が マネージャーやるって初めてだよね」とか。 |
徳留 | ぜーったい、そんなことないです(笑)! わたし十代のころに矢野さん、めっちゃ聴いたし! |
篠崎 | 別にここでそんなに(笑)。 |
徳留 | わたしの愛が矢野さんにあんまり伝わってないなぁー。 |
篠崎 | あなたが厳しいから(笑)。 |
徳留 | でもやっぱり、わたしが担当する以上は、 矢野さんが、徳留とやってよかったな、 得になったなっていうふうに思ってほしい。 過去の栄光を見過ぎちゃうと、 やっぱり言えない、 みたいなところだって、もちろんあるんですけど、 新しい矢野さん、こんなにすごいのに、 まだ知らない人がいっぱいいるから、 もっと若い人に知ってほしいという気持ちで いま、やってます。 |
そこに立ち戻ったわけですね。 |
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篠崎 | そうなんですね。 |
この「やの屋」というイベントは、 最終的に短編ドキュメンタリーとして 平野勝之監督がまとめてくださったんですよね。 総まとめ的な部分にだけ、プロの手を借りた。 |
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篠崎 | もちろん学生が撮ったドキュメンタリーが基本です。 何度か作り直しをしてきたのだけれど、 ドラマがないものに仕上がってしまった。 それで、熟練した技術が必要だと考えたんです。 全くこのイベントには無関係だった平野監督と、 矢野さんがお仕事をしたご縁で、 ダメもとで伺ってみたところ、 ちょうど空いているという数日を使って 引き受けてくださることになりました。 監督はものすごい勢いで 学生の撮ったムービーを 1つのみじかいストーリーに 編集してくださったんです。 |
拝見しました。 これって、「もっと見てみたい」 というひとも出てきそうですよね。 |
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篠崎 | あるんですよ、もっと。 藝大生たちが、それぞれ、 1個1個の作品にも すごい時間をかけてきたわけで、 そういうドキュメントや 作品紹介のムービーも たくさんあって、見られるようにしています。 興味をもったかたは ぜひごらんになってください。 |
ありがとうございます。 こちらにまとめて掲載しますので みなさん、ぜひごらんくださいませ。 |
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篠崎さん、徳留さん、 どうもありがとうございました。 チャレンジする矢野さんのようすを 知ることができて、 とてもよかったです。 またぜひ「ほぼ日」とも いっしょになにかあたらしいことを! |
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徳留 | ええ、矢野さんもきっと そのつもりだと思います。 これからもどうぞよろしくお願いします。 |
篠崎 | ありがとうございました。 |
2012-05-02-WED |