本読む馬鹿が、私は好きよ。

電車のなかで本を読んでいる人を見つけると、
何を読んでいるのか知りたくなります。
自分は読んでなかったけれど、
たくさんのファンのいる作家については、
「どういうふうにおもしろいの?」って聞いてみたい。
読みたい本が増えるのって、うれしいことだから。

どうぞ、この作家をよく読んでいる読者の皆さんは、
「ほぼ日」の読者に、そのおもしろさを伝えてください。

ラストは、一気に。


ほぼにちわ。
丁髷小説愛好家のみなさん、お世話になります。
わたくしのほうは、新選組関連書籍を
あらかた読み倒してしまったので、
柴田連三郎「眠狂四郎」などを読んでいます。
円月殺法のすごさにめまいですよ。奥さん。
こちらも、一応幕末ですよ。

さて、折しも、
「『新選組!』withほぼ日テレビガイド」男子部は、
京都に遊行中、本日もテキスト中継をおこなっております。
どうぞ、そちらもご覧くださいね。

こちら、「本読む馬鹿が私は好きよ。」は、
本日で『新選組を知るならこの一冊!』最終回です。
もう、おなかいっぱい、という向きもありますが、
それでも、読むんです!(ってなぜ命令?)
いままでに紹介しきれなかった書籍を
一挙にご紹介してまいります。
もはや、王道ではなく、横道やら細道かもしれませんが、
そのような道にもめっけものは転がっているわけで!

では、まずは、男子部と修学旅行中の、
堺さんが演じた山南さんが登場の大作!

黒龍の柩 上
北方 謙三
¥1,785 (税込)
毎日新聞社
4620106607
黒龍の柩 下
北方 謙三
¥1,785 (税込)
毎日新聞社
4620106615


=
この夏、三谷幸喜さんと堺雅人さんが、
生み出した「山南敬助」が、
何故にこれほどと思う位、
気にかかる人物になってしまいました。
勝海舟、西郷隆盛、徳川慶喜、坂本竜馬、
新選組のひとりひとり、
幕末にその名を馳せた人達が、
何を守り、何を残したかったのか、
何がほしかったのか、
何をつくりたかったのか

で、どう身を処していったのかが、
山南や土方との関係を通して、
浮かび上がってくるように書かれていて、
とても面白かったです。
(kuzuny)


=
大河「新選組!」で高い人気を誇る山南氏。
その死に際しては号泣しましたとも!
‥‥しかし、やっぱりちょっと中途半端だ〜。
と思う人がいるなら、ぜひ、お読みください。
北方謙三氏の「黒龍の柩」。
異説・新選組という感じの小説なので、
「新選組を知るならこの1冊!」
というテーマには合ってないかも‥‥。
でも、山南さんの脱走・切腹に関しては、
すごく納得です。

私的には、これこそが真実‥‥と思い込みたい。
めちゃくちゃかっこいい山南さんです。
(匿名)


すみません!わたくしこちらまで
手が回っておりませんでした!
眠狂四郎がどーだ、とか言ってる場合ではありません。
早速、買って読みます。
すみません、読んでないのに紹介して、
ルール違反かもしれませんが、
おもしろそうだったので、出来心です。

じゃあ、次!
ドラマではずいぶん前になりますが、
新選組の前半のクライマックス、
芹沢鴨暗殺について。
輪違屋糸里 上
浅田 次郎
¥1,575 (税込)
文藝春秋
4163229507
輪違屋糸里 下
浅田 次郎
¥1,575 (税込)
文藝春秋
4163229604


=
浅田次郎さんの『輪違屋糸里』を推します。
ていうかですね、
浅田次郎の
『壬生義士伝』を読んだら、
『輪違屋糸里』を読まないと!

どちらがよりいいとかでなく。
『壬生義士伝』が男性の生き様、
『輪違屋糸里』が女性の生き様を

見事にあらわしています!!
そして、新選組の主流を追えば

脇に追われざるを得ない芹沢鴨、
この人物と取り巻きとを実に丁寧に描いていますので、
芹沢派粛清に伴う隊士たちの苦悩が胸に迫ります。
重層的で緻密な作品だと思います。
(shiho)


=
ほんの数ヶ月前、ドラマの芹沢暗殺にぶつけるように
出版された浅田次郎「輪違屋糸里」(文藝春秋)。
ドラマを見ながら読むと、

なかなか味わい深い作品でした。
主に舞台となる島原の風俗も
よく描かれています。

浅田次郎さんもこの本を書かれる際、
何度も島原に足を運んで取材されたそうです。
この本にも出てくる「角屋」「輪違屋」は、
今でも京都・島原に存在していますし、
実際の光景と重ね合わせて読むのも
面白いと思います。
(むうみん)

こちら、darlingdarlingが、
雑誌「ダ・ヴィンチ」の9月号、
「今月のこの本にひとめ惚れ」で、
ひとめ惚れしています。
『糸井重里』『輪違屋糸里』‥‥‥。

次!
永倉新八主人公の「幕末新選組」をご紹介しましたが、
こちらは、「島田魁」。

いつの日か還る
中村 彰彦
¥840 (税込)
文芸春秋
4167567083


=
主人公は、島田魁(照英)。
地味です。
淡々としてます。
でも、その淡々の中に、
過去の新選組小説には
描かれなかった、
あるいは適当にとばされた
ディテールがぎっしり。

「そうだったのか!」と膝をばしばし叩きまくり、
「これが知りたかったのよ!」と納得しまくりです。
派手さはなくともさすが直木賞作家、
すばらしい文章で綴られる
大正時代まで生き抜いた島田魁の生涯は、読み応えあり。
(ゆのはな)

島田魁には、自身が書いた手記もありますよ。
永倉新八の手記とともに、
原文+解説された新書もあります。

新選組日記
木村 幸比古
¥840 (税込)
PHP研究所
4569630081
記憶違いや誇張などもあるそうなのですが、
なにせ、「本人」が書いたものですから、
リアリティーがありましたよ。



次は、
「新選組まわり」を3冊。

俄―浪華遊侠伝
司馬 遼太郎
¥1,020 (税込)
講談社
4061311018


=
幕末、京の治安維持に勤めた新撰組に対して、
自腹で大阪の警備を担った
侠客(まあヤクザですね)明石屋万吉の話。
組織作りの段階で、土方歳三を訪ねるなど
新撰組との絡みもちょっとありますが、
面白いのは、
同時代の京都と大阪のギャップです。

「燃えよ剣」と読み比べるのも面白いかもよ。
(高野 輝次)

武揚伝〈1〉~〈4〉
佐々木 譲
¥720(税込)
中央公論新社
4122042542


=
『組』関連ではないですが、
その後の土方歳三の話が書かれている
「佐々木譲」の「武揚伝」、おすすめです。
題名通り榎本武揚のお話なのですが、
箱館戦争に行き着くまでに土方歳三と出会い、
ドラマがありました。
脇役の土方ですが、いいです。
ついでに、勝海舟が悪い人で登場するのもまた、
他にはないおもしろさです。
(しま)


胡蝶の夢(1)~(5)
司馬 遼太郎
¥620 (税込)
新潮社
4101152284


=
司馬遼太郎先生の「胡蝶の夢」です。
新選組ものではありません。

幕末の蘭学医師・ 松本良順の物語です。
ですがもちろん新選組も登場します。
大河でも今後登場するでしょう。
幕末を蘭学という切り口から観る、

ちょっとおもしろいですよ。
新選組のよき理解者にして、
新選組を後世に語り残した一人でもある松本良順。
知っておいて
損はないとおもいます。

(落合亮二)

「新選組」そのものではなくても、
ちらと出てくるだけでも、おもしろいと感じている
そこのお方!
それは、もう病ですな。

ならば、いままでに、
「『新選組!』withほぼ日テレビガイド」でも
「捨助の謎」として浮上している『鞍馬天狗』は
いかがでしょうか?

鞍馬天狗〈1〉
角兵衛獅子

大仏 次郎
¥670 (税込)
小学館
4094042318


活劇がものすごい読みやすい文体で書かれています。
漫画かと思いました。
ただし、鞍馬天狗は、反新選組ですからご注意を。

最後のメールは、「物語」ではないものを。

新選組
松浦 玲
¥777 (税込)
岩波書店
4004308550

=
小説を読み、新選組の辿った
大まかな流れは掴んだと思った私が読んだのが、
松浦玲『新選組』(岩波新書)です。
小説では分かりにくい近藤勇の思想的変遷と、
幕末の歴史での新選組の位置付けが見えてきます。
はっきり言ってしまえば小さいのですが、
その小ささが逆に愛しく感じられます。

また、伊東甲子太郎の政治構想と

その死の意味への指摘は、
どうしても悪役を振られがちな
伊東甲子太郎を見直すきっかけになりました。

ちなみに、お値段はお求めやすい777円(税込)。
史実関係の本はお値段が張ることが多い中、
手に取りやすい価格であることも

お勧めポイントの一つです。
「あ、この次の展開知ってるからもういいや〜。」

となったら、
史実方面へ一歩踏み出すのも悪くないと思います。
是非読んでみて下さい。
(さとう)

まさにさとうさんのおっしゃるとおり。
歴史的事実を小説化したものは、
著者の解釈の違いを楽しむという形になってしまって、
飽きてきてしまうこともありますよね。
そんなときに、うってつけの本でしたよ。

そのほか、こちらに、ご紹介いただかなかった本で、
僭越ながらわたくしめのオススメもいくつか。

新選組副長助勤
斎藤一

赤間 倭子
¥620 (税込)
学習研究社
4059001341


長寿をまっとうしつつも、
多くを語らなかったために、
「謎の人」として取り上げられることが多かった
斉藤一の生涯を書いた小説です。
新選組後の生き方も書かれていますよ。


そして、最後の最後は、
三谷幸喜さんの著著と、
もうお買い求めの方も多いと思いますが、
NHKのムックをば。

三谷幸喜の
ありふれた生活3
大河な日日

三谷 幸喜
¥1,155 (税込)
朝日新聞社
4022579307


新選組!前編
NHK大河ドラマ・
ストーリー

¥1,050(税込)
NHK出版
414923339X
新選組!後編
NHK大河ドラマ・
ストーリー

¥998 (税込)
NHK出版
4149233403

さあ、読んで読んで読みまくって
ドラマの『新選組!』 を
さらに楽しみましょうぞ。

では、これにて、
特集は、終了!
また、お会いしましょう!!

このページへの激励や感想などは、 メールの表題に
「本読む馬鹿が、私は好きよ。」と書いて
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2004-09-28-TUE

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