明日8月15日、この
「吉本隆明の183講演」は
183個のすべての講演を公開いたします。
その直前の今日の特集は、
「東京」をテーマにしました。
吉本隆明さんは1924年11月25日、
船大工の吉本順太郎、エミの三男として
東京の月島に生まれました。
そこから月島、佃島、新佃島など
狭い地域で転居を重ねますが、
米沢高等工業学校に入学を機に
18歳で山形に移ります。
20歳のときに日本カーバイト魚津工場に
動員され、終戦を迎えます。
その後、東京工業大学を卒業し、
千駄木でひとり暮らし、結婚。
田端、上野、谷中などへ引っ越します。
56歳のとき、千駄木から
本駒込に転居して以降は
同じ家に住みつづけました。
学校や戦争で東京を離れたり、
講演で全国各地に出向きましたが、
本拠はつねに東京の「右半分」側でした。
そこからいわば一歩も動かずに
「グローバル化」していく世界と
何万年前から重なる歴史を見渡しました。
吉本さんは講演「わが月島」と
「都市を語る」で
このように話しています。
「月島や中央区の問題を
考えることで
世界の問題に
どうとりくめばいいか、
とっかかりがつかめるはずです」
「東京という町が、どういう形になるのかを
追求することは、
日本の社会を底辺とする
高度な資本主義社会が
どこへ行くのか、
東洋的な成り立ちを持つ都市が
どうなってしまうのかを示唆する意味で
とても重要なのです」
ふるさとを考えるとき、
懐かしさもひとしおであり、
否定する気持ちもひとしおになる。
独自の地形を持ち、
それゆえに重ねた歴史があり、
さまざまな出来事を通り過ぎ、
途方もないところに入って、
いまも、背負っているものがある──。
慣れ親しんだ土地を
夏休みに訪れるとき、
取り入れたい視点です。
本日公開の5講演、どうぞお聞きください。
そして、明日の全講演公開も
どうぞたのしみになさってください。
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