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時間
89分
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音質
桐朋学園土曜講座での講演。
客席から録音されたものだが
クリアに収録されている。
途中で声が遠くなるのは
吉本隆明が黒板を使用するため。
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講演日時:1970年5月
主催:桐朋学園
場所:桐朋学園
収載書誌:中公文庫『語りの海3』(1995年)
講
演
よ
り
沈黙というと「ぼんやりしている状態」と
思われがちですが、沈黙も言語表現なのです。
ある人が何もしゃべっていなくても、
その人の意識の内部には何かがある、ということです。
黙っていても、その人の
主観的あるいは意識的な状態がわかるとか、
表現されているとか、感じる場合があるでしょう。
それは、沈黙の言語が、内的意識の時間性、空間性に
解体して存在しているからなのです。
外からは憶測するよりしかたがないのですが、
まったく無意味なのではなく、
その人の主観や意識の内部はたいへん満たされていて、
何かしゃべられているのかもしれない、
というようなしゃべり方がありうるわけです。