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時間
45分
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音質
ところどころに録音者の手元で
ノイズが入る箇所があるが
クリアに収録されている。 -
講演日時:1971年5月2日
主催:日本現代詩人会
場所:新宿・紀伊国屋ホール
収載書誌:中公文庫『語りの海3』(1995年)
講
演
よ
り
日本の詩が発生の起源に近いところで
保存しているものから、
詩的な喩の起源として考えられることは、
一篇の詩形式のすべてを使って
主観的な感情をあらわすというふうには
詩の表現は可能ではなかった、ということです。
日本では、詩の問題は
「詩のなかに意味を込める」ことには
なかったんじゃないか、ということです。
一般的に風景の描写とか
日本的な自然美といわれていることは、
本当はまったくの錯覚であって、
詩の起源に近いところで
「景物」が表現にあらわれている場合、
その「景物」は決して写実的な意味での
「景物」あるいは「自然」ということを意味せず、
むしろ宗教的あるいは自然信仰の段階において
個人の観念でなく
共同体の観念が象徴的に寄り集まるところとして
「自然」というものが詩の表現のなかに存在していた、
ということが考えられるのです。