糸井重里
・いくつになっても、「いまさら知る」ということがある。
よく言われていたことだけど、やっぱりそうかぁ、とかね。
「あ、そうかぁ」だとか、「え、そうだったのか」とか。
それがあるから、今日も明日もおもしろいのだと思う。
近くに小さな子どもがいたりすると、
なにかができるようになる過程を見られるから、
それがどんな具合でできるようになったかのなかに、
ぼくにとっての発見があったりする。
じぶんも、かつて、そういうふうに覚えたのだったか。
すっかり忘れていたことが、新しい発見として見えてくる。
じぶんの身の回りの些細なことでも、
いまごろ知ることは毎日のようにあるものだ。
昨日は、スニーカーの靴ひもを、
足先の部分から順にまじめにきゅっと結ぶと、
ものすごく歩きやすいということを知った。
ここのところ、足の裏がちょっと痛くて、
どうしたもんかと悩んでいたのだけれど、
思いついて靴ひもをしっかり結んだらすこぶる調子がいい。
そういうときに、ちょっとさかのぼって考える。
サンダルとか、祭りの雪駄を履いたときに、
痛みを感じるようになったっけなぁ、と。
足首を使って履き物を持ち上げるような動きは、
足にとってよくないのかもしれない、とか考える。
じぶんにとっての発見は、いまの世の中だと、
たいてい「いまごろ知ったんですか」とか、
「それよりもっといいのは」とかの
先に知っていた方々のご意見を呼び寄せてしまう。
ぼくは、そういう「先人のご意見」は、
あるに決まってると思っているので慣れたのだが、
ネットの初期には、あんまりいい心持ちはしてなかった。
せっかくじぶんで発見したことをよろこんでいるのだし、
わざわざ「いまごろ」とか言われなくてもいいよね。
でも、そういう人は必ずいるものだと知るようになって、
気にせずに、なんでも素直にものを言うようになった。
ものごと、「いまさら」は前提みたいなものだからね。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
昨日からのぼくは、靴ひもをきゅっと締める人になってます。
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