感心しつづける黒蜜ゼリー |
東京に就職で出てきてから、 代々木上原に12年ほど住んでいます。 途中、1キロぐらいの引っ越しをしましたが、 残念ながらワンルーム住まいは変わっていません。 上京してすぐ、 駅前に「シチュー」と黒板で大書きした店が眼につきました。 それ以外は、表に広告的要素を排した店構えで、 アンティークの店かと、 半年ぐらい遠巻きに見てたんですね。 ある日、どうしても肉が食いたくなって、 会社の帰りに思いきって入ってみたわけです。 入り口にアクセサリーやら陶器が並んでいて、 やっぱりそっち方面の店じゃないかと思い、 帽子を被った女主人らしき方に、 「食事できますか?」と聞いた覚えがあります。 「はい。」と言われたので、 「シチューください。」とおずおずと申し出ました。 これが、おいしかったんですねえ。 それから、週に1回ぐらいは、 「シチュー」だけを頼んでもくもくと食べる人になり、 そのうち、ご飯を3杯お代りする人になり、 他のメニューもうまいことに気づいたぐらいから、 店の奥さんにあれこれと話しかけれる人になり、 新メニュー開発の試食係になり、と、 名作「黒蜜ゼリー」を食べたときの感動は忘れられません。 この『西光亭』の料理もデザートも、 実に手間ひまかけてていねいに作られていて、 普通のメニューが普通の見かけで出てくるのですが、 しっかりおいしくて、その頑なさにいつも感心します。 3年前にちょっと駅から離れたところに引っ越され、 食事が前日までの完全予約制になり、 看板はさらに目立たなくなり、しかも地下と、 商売っ気からはどんどん外れていくように思うのですが、 こういうマーケティング活動も 人にお薦めしたくなる理由になってるかもしれません。 贈り物にデザート類などを利用させてもらってます。 「おいら」さんも、 よく「ミルクゼリー」を買われているようです。 あと、近所でお薦めしたい店は、 薬膳中華の『jeeten(ジーテン)』。 なに食っても頭が馬鹿になったように「おいしい!」です。 その近くの焼き鳥屋『酉吉』は、 70年代ロックをかけながら、 炭を睨みつけるように仕事をしてる丸坊主の大将が、 絶妙な塩を振り、焼きを入れ、たまりません。 ここの「ねぎだこ」は、つまみとして最も好きです。 最近、同じ丸坊主の同じ顔をした若者が、 店に立ってますが、おそらく息子さんなんでしょう。 そして、バーは『カエサリオン』です。 マスターの田中さんは、 いつも「へぇ〜」と感心する飲み物を出す、 お客さんとの距離感の持ち方がうまい 清潔感の香る人であります。 |
2002-12-30-MON
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