イズミ |
正直なところ、
2時間くらいご一緒させていただいて、
ほんとに接客好きなんだなあと
思って見てたんです。
最初アナウンサーだからかな、
と思ったんですけど、
ずっと見てると、
いや、これほんとに好きなんだわ、と。(笑) |
今泉 |
好きなんですよね、なんか。 |
イズミ |
接客歴っていうのがあったら
教えてくださいよ。 |
今泉 |
接客の最初は高校の時のモスバーガーですね。
その後は、アナウンサーを6年9ヶ月やって
身体をこわしたりして一旦やめて
福岡から東京に出てきたんですけど、
(編集部註:当時、福岡放送にお勤めでした)
ちょっとだけだけど退職金もらって、
人生で一番貯金があったんですね。
その時に長野オリンピックをちょうどやってて、
会社辞めたばかりで解放感にひたっていたんで
長野でどかんとお金を使って
オリンピックを楽しんだりしてたんです。
でも税金を払わないといけない
ということをすっかり忘れていて、
貯金分くらいの税金の請求が来てしまって
突然貧乏になっちゃいまして。
仕方なくアルバイト雑誌で
一番早くお金をくれるバイトを探して
カメラ屋さんとかフィルム店に
派遣されてフィルムを売るっていう
日給8000円の仕事をやりました。
高崎のカメラ屋さんでは
フィルム売るはずなのに
カメラ11台とか売って。(笑) |
イズミ |
カメラって使いすてカメラじゃないですよね。
一眼レフだったりもするわけですよねえ。 |
今泉 |
立ってるとお客さんに
話しかけられるじゃないですか。
仕方が無いんで、予算がどれくらいあって、
どういうものが欲しいかっていうのを聞いて
「じゃ、これでいいんじゃないですか?」
って自分がカタログとかで勉強した、
にわか知識の範囲内でですけど
お薦めしてたんです。
買いたくて来ている人たちですから
ちょっと背中を押してあげると
買ってくれるんですよね。
そんな調子で2日でカメラ11台。(笑)
その後は銀行の
テレフォンバンキングセンターに勤めました。
お客さまに
「定期預金が満期ですよ」とか説明する仕事で
スクリプトっていう決まった文章があるんですけど
流れとか基本は変えないものの、ほとんど無視して
好きに喋ってたんですよ。
相談に乗ったりとか。
「ずっと使ってない
郵便貯金の通帳があるんですけど」
って聞かれた時には
「郵便貯金は銀行と違って時効があるから
早めに郵便局に行った方がいいですよ」
そういうことを言ってたんですよね。
銀行だから郵便貯金の話しなくていいんですけど。
そんなことで非常に評判もよろしくて。
「あなた、うちに来て手続きできないの?」って
頼まれたことありますね。(笑)
基本的に人と話してるのが好きなんでしょうね。 |
イズミ |
ホントに楽しそうに売ってるんですよ。
今までお客さまも含めて、
いろんな人にお手伝いして
いただいたんですが、接客を見ていて
「この人は、すごいな」
って思った人は今泉さんが初めてですよ。(笑) |
今泉 |
そこ褒められてもなぁ(笑) |
イズミ |
なかなか出来ないですよ。
さっきも聞いたように
10の中で1しか伝えられないってことが頭にあって。
非常に的確なんですよ。
しかもクロージングまでが早い。
こっちが30秒くらいかけて説明していることも
今泉さんは5秒くらいでポーンッと説明しちゃう。
背中を押すってことなんですけど。
やっぱりみていてすごいなぁと思いました。
そう考えると私がやる店っていうのは、
自分は楽しいんですけど
効率が悪いんじゃないかなぁと(笑)
今泉さんの接客を見てそう感じたんですよね。
こりゃ、ちょっと変えないといけないと。 |
今泉 |
糸井さんにメールで報告したんですよね。
イズミてんちょーの接客は
「プロっぽくないけど、
正直すぎて笑ってしまいます。」と。(笑)
面白いんですよ、この人。
いろいろ聞いてくるお客さまがいらして
「このミニトマトはおいしいの、どこが違うの?」
って聞かれてまして
「これはですね、これくらいの味のものは
探せばある・・・かもしれません」
(イズミさんのマネをしながら)
って言うんですよ。
おいしいんだし、探せばあるかもしれないけど
ここにもあるんだからどうぞって言えばいいものを
「今日のトマトに関しては、探せばあるかもしれません」
なんて、非常に正直にものを言うんですよね。
でたらめ言わないっていうか。
でも、それは非常に大事なことだと
思うんですよね。
SKIPで今売っているほうれんそうって
見た目がタテじゃなくて
ヨコに広がっているじゃないですか。
|
イズミ |
「寒じめほうれんそう」ですね。 |
今泉 |
そこでイズミさんは
今日のおすすめはほうれんそうです。
って言っているわけですよね。
でも、形が変わっているんで
お客さまがほうれんそうだとは思わないんですね。
イズミさんを見ててそう思ったので、
自分で売るときには
「今日のおすすめはほうれんそうです。
ちょっと形が変わっているけど、
ほうれんそうなんです」
って、形が変わっているという
情報からまず入って
「これ、ほうれんそう?」って
で、手にとってみていただいたら
大体買ってくれますね。
もういただき!みたいなね。 |
イズミ |
私もそれに気づいたんですよ。
で、マネしよっ!って(笑)
マネさせていただいたんですけど。
私が売っている時は
「ほうれんそう?」
って目で探しているのがわかるんですよ。
今泉さんがそういう風にいうと
「ああ、これね」って
2秒でお客さまが手にとるんです。
私はほうれんそうってことに気づいて
触るまで5秒はかかるんですよ。
そういうところはすごく、
勉強しないといけないなぁって
痛切に感じたんですよね。 |
今泉 |
なんか私、アナウンサーじゃなくて
こう、スーパーで接客歴10年とか
そんな偉そうな感じの人に
なっているみたいですけど(笑) |
イズミ |
でも販売するにあたって
イントロが違うと思いましたよ。
今泉さんが訴求から入って
接客に流れていくんだとしたら
私は頭から接客に入っていっている。 |
今泉 |
そもそも、野菜そのものの
情報や愛着に関しては
イズミさんにはかなわないわけです。
でも、ナスなど自分でも食べてみたものに関しては
それなりに言えるんですよ。
「これは炒めても
全然びちゃびちゃしないとか」
そんなことは言える。
これからSKIPの野菜を売っていくにあたって、
実際に接客するみなさんも
自分で家で
それぞれいろいろ料理をしてみて
「他の野菜とここが違う」っていうところ、
そういう言葉を見つければ
そこから説得力がある接客に
入っていけるんじゃないかなぁ。 |
イズミ |
自分が今まで考えていた
「伝える」っていうことは
「思い、先走り系」だったなと反省したんです。
2ヶ月も自分で売っていたりすると
勝手に自分の接客のスタイルというものを
決めてしまっていたりして。
いろんな人に伝えるってことを勉強しないと
どんどんダメになるなと感じました。
|
今泉 |
そんな反省しなくても(笑)
でも、野菜売るのはやっぱり面白かったですよ。
一応テレビ出てるんですけど
意外と気がつかれないなぁと。
まさかぼくが西葛西で野菜を売っているとは
思わないでしょうし。
気づいた方もきょとんとしてましたね。 |
イズミ |
4~5名でしたよね。 |
今泉 |
ええ。
「はなまるに出ている方ですよ・・ね?」
って。
「どうしたんですか?」って聞かれて。
で、「どうしたんですか?」
って言われるとですね
上手く説明できない自分がいるわけですよ。(笑)
「取材ですか?」と聞かれても
「うん、いや、取材のような・・・」
取材だったら野菜は売らないじゃないですか(笑)
「お知り合い?」
「いや、お知り合いっていう程のものでもないんですけど、
まぁ、なんとなく・・・」
「明日もいらっしゃるんですか?」
「明日はさすがに今日だけなんですけど」
なんで私が今日ここで野菜を売っているんだか
さっぱりわかんない(笑)
でも、非常に楽しい体験をさせていただきました。
ありがとうございました。 |
イズミ |
お客さまはホントビックリしたんだろうなぁ。
まさかねっ?って。 |
今泉 |
対談をするにあたって
イズミさんからメールをいただいたんですけど、
それが非常に丁寧な文面でして
「私と対談のようなものをさせていただけないか
というお願いのようなものでございます」
(笑)って。
だったら対談前に
イズミさんがどんな事をしてるのか
見にいかなきゃなぁって思ったんです。 |
イズミ |
それが素晴らしいと思ったんですよ。
現場とか、伝えるって上で
きちんと知った上じゃないとできない。
さっきの10のうち1しか伝わらないのだとしたら
1伝えるためには
10知らないといけないってことが
その裏返しだって知って嬉しくって。
あのメールで実際きていただいて
販売されたっていうのが
プロだなぁと思ったんですよね。 |