編集部員A
(以下部員A) |
このコーナーは、326編集長の「東京の原点」、
つまり東京で最初に住んだ街を
ルポするってことなんですけど、
どこに住んでたんです? |
326編集長
(以下326) |
高輪3丁目。まあ、なんというか、品川だよね。 「プリンスホテル」がある品川。
「品川ナンバー」の品川。 |
編集部員B
(以下部員B) |
またえらくベタなステイタスで来ましたね。
じゃ、今日は編集長の東京アーバン・ライフの
出発点を見せていただけると。 |
326 |
見せる見せる、さっそく行こう!
もう、車の運転、ぼくがしちゃう。 |
部員B |
なんか妙にノリノリだなぁ。
(FMからドラゴン・アッシュの
懐かしい曲が流れてくる) |
326 |
あ〜、ホラ、なんか、
すごくタイミング良くなくなくない?
ドラゴン・アッシュ、
懐かしい青春って感じだよねー。
|
部員B |
ちなみに高輪を訪れるのは、
どれぐらいぶりなんですか? |
326 |
うわー、どれぐらいだろ。
引っ越してから一度も行ってないからなー、 丸4年ぶり?
うわ、けっこうなっげー。
2年ぐらい住んでたんだけど。 |
部員A |
でも、九州から出てきて、
どうしてまた、こんな高輪なんて、 渋いところに部屋を見つけたんですか?
渋谷とか若者の街じゃなくて。 |
326 |
そこはもともと、
当時の事務所が用意してくれた
マンションだったんだよね。 |
部員A |
なんだ、自分で探したんじゃないんだ。
もしかして、
「プリンスホテル」も「品川ナンバー」も
あとから知ったんじゃないんですか? |
326 |
(無視して)
さっ、着いた。最初はここ!
|
部員B |
えっ、ここ、、明治学院大学ですよ。
編集長、明治学院、行ってたんですか? |
326 |
すっげーよく通ってた。 学食にご飯食べに。
学生のふりして、しょっちゅうまぎれ込んで
カレーとか食ってたんです。
近所に食べるお店、あまりなかったし、
安かったっていうのが、一番の理由なんだけど。
いま冬休みだと思うけど、やってるかなー? |
部員B |
いきなり通ってもいない大学の学食かい!
ま、いいや。場所まだ覚えてます? |
326 |
えーっと正門入って、
確か、チャペルみたいな建物を、こう左手に見て、
正面の建物の所を左に曲がると、そこに。 うげー閉まってる!
って言うか、学食の建物がないーー!
まじっすかーー? 僕の思い出が、ものっすごい工事中。
なんかショックー。ボーゼン。 |
部員A |
やってるかなーどころか、
もう完全消滅じゃないですか。 |
326 |
まあまあ、先はまだまだある。
気を取り直して、次行きましょう、次。
あっ、誰か近づいてきた。
あ、ファンの方ですか。いやーうれしいな。
はい、写真撮って撮って。
|
部員B |
ボーゼンとしたわりに立ち直りが早いな。 |
326 |
じゃ、次のとこで飯食おー。
ここから歩いてすぐの所に、
24時間営業の立ち食いそば屋があるんだけど、
そこもよく行ってたんだよね〜。
名前なんだったかな〜、
あ、あったあった、今度はあった。 『与一そば』。
|
部員B |
ここは、またすっごい狭いですね。
ここには、どんな思い出があるんですか? |
326 |
なんでここが思い出の場所かっていうと、
当時はひとり暮らしだったじゃないですか。
毎日インスタントものとか、
コンビニの弁当食べてね。
そしたら、やっぱり、たまには、 人が作ったって確信できるものを
食べたくなるんですよ。
ここは、目の前で人が作ってくれるのが
嬉しかったから、いっつもよく、
夜が明けるか明けないかぐらいの時間に
来てましたね。
濃いーつゆが入ったどんぶりを見て、 「東京にいるんだな」なんて、
しみじみ思ったりして。
うわ、ガラじゃねー。
せっかくだから、うどん食べましょう。うどん。
|
部員A |
じゃ、食券買わなきゃ。
あ、このお店、当時のままですか?
この時代に、かけうどんとは言え、 1杯250円ですよ。
なんか、昭和って感じで、雰囲気ありますね。
アーバンという感じはまったくしませんが。
|
326 |
このころは、ホントいつも家にいて、
深夜になってから、人気のなくなった街を
ぷらぷら歩くような生活でしたね。
東京に出てくるなり、
もう、缶詰状態で仕事してたから。
まぁ、今から思えば、事務所も、
わざとそういう状態にするために、
六本木や青山じゃなくて、こういう所に
マンションを借りたような気がするんだけど。
まーそれはそれで、東京初めてだし、
楽しかったけど。 |
部員A |
ここへよく来てたってことは、そのマンションって
ここから近いんですか。 |
326 |
うん、行ってみようか。
あーでも、学食みたいになくなってたら、
いやだなー。 お、そこだぁ!
ほら、目の前のレンガ色のマンション。
そうそう、ここ、ここ、 「トーア高輪ガーデン」って、
どこがガーデン? みたいな感じだけど。
あー、あの部屋です。503号室。
うわ、いろいろよみがえってきた。
あんまり楽しくないなー。
|
部員B |
いや、でも、なんかキレイなとこじゃないですか。
やっとアーバン、シティ、モダンライフって感じが
してきましたよ。
部屋の中も、きっとおしゃれにして、友達呼んで、
ワイワイ騒いだりしてたんでしょー? |
326 |
いや、ぜんぜん。 部屋の広さは1Kだし。
ほとんど当時は人とも会わなかったし、
だから、あまり呼んだりもしなかったかな。 |
部員A |
そんなこと言って、彼女とかいっつも
部屋に来てたんでしょう? |
326 |
そんなことないよ、一番ウチに来たのは、
う〜ん・・・
あっ、思いだした。うちの兄ちゃんだ。
東京に来るときは、いつもウチに来たな。
|
部員B |
兄ちゃんが?
何しに来てたんですか?東京まで。 |
326 |
何しに来たか全然わかんないけど、
なんか、長居するの。
でも、ベッドとか一人分しかないし、せまいし、
寝るとこねーよって言ったら、
兄ちゃん、寝袋持参で来て。
しばらく頼むって、もう部屋の中、キャンプ状態。
でも、せまいところにずっと男二人ってのも、
なんか、むさくるしいじゃないですか。
だから、やっぱり、夜になると、
公園とかブラブラしてたかなあ。
でも、それ以外は、部屋で独りだったって気が。 |
部員A |
当時、メディアの注目を浴びはじめた
二十歳の青年とは思えないぐらいの、 引きこもりっぷりですね。
でも、まあ、それなりに楽しくやってたと。 |
326 |
そうすね。
自転車買ってからは、恵比寿や渋谷まで
遊びに行くことも、たまにあったしね。
えーっと、このへんに確か・・・
あ、あった、あった。
このなんか、よくわからない、アウトレットの店。
たまに通ると、店の前にテーブルが出てて、
いろんな物が安売りになってて。
今日は閉まってるけど。
そう言えば、今、ウチで使っているカーテン、
ここで昔500円で買ったやつだ! あんがい、もつよねー。 |
部員A |
ええっ?もつよねーじゃないでしょ。
まだ、そんな4年前の500円の
使ってるんですか! |
326 |
いや、でも使えるし。まだあと、3年はもつね。
それはそうと、アウトレットからすぐ近くの
ここのとんかつ屋さん。
兄ちゃんとも行ったけど、
ここの定食うまいんですよ。
あ、せっかくだから、食べてこっか?
「あれ、前に来たことあります?」
326編集長のこと、覚えてくれていたみたい。 |
部員B |
なんか食べ物の思い出ばっかりですね。
さっきうどんも食ってるし、とりあえず、
ここ、お持ち帰りにしますから、次行きましょー。 |
326 |
なんか調子出てきたぞー、次、コンビニ行きます。
高輪台交差点のヤマザキ・デイリーストア。
ここの唐揚げ、めっちゃ、 もうサイコーにうまいんですよ。
今でも通りかかると、必ず車停めて買いますから。 |
部員A |
ちょっと、また、食べ物じゃないですか。
しかも、「ここの唐揚げ」ったって、
他のヤマザキでも、どこでも買えるんじゃ・・・。
味いっしょじゃないんですか? |
326 |
それがね、なんか微妙に違うんですよ〜。
比べましたもん。
よそのヤマザキのと。 ここのがとにかく東京一なんです。
このひと袋180円の唐揚げをふたつと、
肉じゃがコロッケ、あと、
ダイエットコーラを買うのが日課だったなぁ。
その袋を持って、近くの誰もいない
児童公園で食べる。
これが、うまいんすよ。
そうだ、唐揚げ買って、公園行ってみよう! |
部員B |
ここがその公園ですか、住宅地の中にひっそりと。
ほんと誰もいませんね、公園なのに。
|
326 |
このブランコ!
ケツはいんないけど、これにゆられながら
独りで唐揚げ食いました。うわ、せっつねー。
あのころと一緒だー。ウメー。
ちょっと食べてみる?
|
部員A |
あ、ホントにうまい! |
部員B |
ほんとだ。うまいですね、これ。 |
326 |
ほらね。路駐禁止を違反してでも、
また買いに行きたくなる味でしょ。
ほんとウメーこれー。
じゃー、もうひとつ、
近くに思い出の公園があるんで、
そっちも見に行ってみましょう。
(再び歩き出す編集長) あっ、ちょっと待って!
ここ! ここのスーパー! ここの店長、僕の恩人なんですよ。
|
部員B |
え、どうしたんです?
事件にでも、巻き込まれたんすか? |
326 |
事件っていうか事故っていうか。
ま、故障なんですけど。
ある日、うちのトイレが詰まったんで、
水洗トイレをこう、ガッポンガッポンする、
棒の先に丸いゴムのついたヤツを
買いに行ったんですよ。
なんて呼ぶのか知らないけど。
でも、もう、どこにも売ってなくて、
途方に暮れてたら、ここのスーパーの店長さんが、
店の奥の方から出てきて、 「じゃ、店のを貸してあげるよ」
って言ってくれたんです。 |
部員B |
それはよかったですねー。親切な店長さんで。
そんなモノを借りる人も、
ちょっと珍しいと思うけど。 |
326 |
東京って冷たい人間ばっかりじゃないか?
と思ってたから、 「うわーいい人いるじゃん!」
って初めて感動したのが、
この、ガッポンガッポン事件です。
|
部員A |
一人暮らしだと、
そういうちょっとしたことが身にしみて、
ほんと嬉しいんですよね。
ちょっと汚いけど、いい話じゃないですか。 |
326 |
今はセブンイレブンで
ガッポンガッポンを借りてますけど。 |
部員B |
え?いまも借りてる? |
326 |
だってさー、マンションでひとり暮らしだと、 よくトイレが詰まるじゃないですか?
東京のコンビニはどこでもたいてい
貸してくれますよ。
そういう親切さは、東京の素敵なところですね。
|
部員A |
え?え???
ちょっと待ってください。
トイレって、そんなしょっちゅうは
詰まらないですけど??
なんか、今の話、おかしくないですか?
どうして、そんなにトイレ、詰まるんですか!? |
326 |
詰まらないですか?
つうか、オレ、食べ残しとか、
生ゴミとかになるのがいやで、
ゴミ箱に捨てずに、いつもトイレに流すんですよ。
食べ残しも、食べたあとのものも
おんなじじゃない。
で、豚カツ2切れ残っちゃったなって、
トイレに持っていって、ジャーとか、
水で流しておわり。 |
部員B |
おいおい!何やってんですか!
そりゃー、詰まるはずです。
食べ物をトイレに流しちゃーそりゃダメですよー!
消化されたものだから流せるんです。 |
326 |
そうなの?なんか、あれって、違うんですか?
ある日、なんか詰まっちゃって、
逆流してきたんで、どうしてなのかなーと・・・。
今でもナゾ?
|
部員A |
ナゾって、そんなこと、
ずっと今までやってたんですか!
いい話だったのに、なんか、
やな話になってきたなあ。 |
326 |
今まで、いろんなもの流してきたけど、
一番、自分でもおお〜っと思ったのは、
知り合いからもらった瓶詰めの、 ぎっしりのイクラかな。
食べよーっと思っているうちに、
賞味期限も切れてしまったんで、
トイレに流したんですよ。
そしたら、真っ白な便器に、まっ赤なツブツブが、 こう、一面にザラーっと広がって・・・。
|
部員B |
うわっ、想像してしまった。
うええええええええ。
|
326 |
それ、じっと見てたら、なんだかキレイで、 台所から、さい箸を持ってきてさ・・・ |
部員B |
ぐええええええええ。 |
326 |
その白地に真っ赤なイクラを、 こう、ちょんちょんっと、
ハートの形に・・・。 |
部員A |
さ、さい箸で便器のなかのイクラを
ハ、ハート形に!?
うそですよね?うそでしょう!? |
326 |
いやほんとに。
こりゃー写真撮らなきゃーって思って。 |
部員A |
あの、まさか・・・。
まさか、何かの作品にしたとか
言うんじゃないでしょうね。 |
326 |
・・・した気がする。
どっかのマガジンに載ったかも。 |
部員B |
もうそれ、アーバンもへったくれも
ありゃしないです。
ファンの人も、きっとショック受けますよ。 もう、へんなもの流さないでくださいねっ!
|
326 |
(あんまり聞いてない)
いやぁーこれ、思い出せてよかったよー。
懐かしいなー。
いろんな事思い出すもんだねー。 感受性豊かな20才の自分に
会いに来たってカンジ。 |
部員AB |
会いに来たくなかった・・・ |
326 |
(上機嫌の編集長)
ま、じゃあ最後に、
いつも独りでバスケとかやってた 高輪公園に行きましょう。 |
部員A |
そうしましょう。 |
326 |
あ、その前にひとつ、
不思議に思ってたんですけど、
マンションから公園に行く途中、 一瞬、そこだけ、岡山県になるんですよ。
そこだけ岡山県所有の土地。 |
部員B |
また、変なことを・・・。 バチカン市国じゃないんだから。
港区の中に岡山県の土地なんて
混ざってないでしょー。
もう、わけわかんないなー。 |
326 |
いや本当だって。オレ、看板立ってるの見たもん。 「ここから先は、岡山県です。
無断で入るべからず」
って看板。
だから、あー、ここだけ岡山県なんだーって。 |
部員A |
んなバカなー、見間違いじゃないんですか。
きっと、白昼夢か何かですよ。
なんでまた岡山なのか、
ぜんぜんわかんないし。
(注:後で地図で調べると、確かに途中、
岡山県公舎があり、編集長の言うとおり、
敷地内は、岡山県がハバをきかす場所だった? のかも) |
326 |
あー着きましたー。
ここが一番よく行ってた高輪公園。
|
部員B |
東京メモリーのしめは、やっぱり公園ですね。
テレビの「ウチクル」なんかだと、
ここで、昔の恩師とか出てきて、
手紙読んで感動して泣いたりするんですけど。
編集長も、やっぱり何かオチとか
用意してるんでしょうね。 |
326 |
あーオチかー。
それは、気がつかなかったなあ。
変なジャングル屋敷みたいなところは
あるんだけど。
ここ、ここ。
ここに勝手に入って、写真撮ったなあ。
この向かいのとこに、
バスケットのコートがあってね、
よくひとりで来て、フリースローとかしてました。
たまーに、「いっしょにやる?」って、
声かけられたりしましたけどね。 でも、よく考えたら、
ボール、オレのだし。
|
部員B |
今のは・・・。 |
326 |
や、別に今のは、オチじゃないよ。あはは。
ここ、けっこう広いでしょ。緑も多いし。
秋は紅葉もきれいなんすよねー、って、 まだ紅葉してる!
もう、正月だっていうのに、
わけわかんねー、何ですか!
けど、せっかくなんで、
ちょっと写真でも撮っておくか。
謎に80年代のアイドル風にしよ。
|
部員A |
どこまでもマイペースな人だな・・・
でも、今日短い時間でいろいろまわってみて、
どうでした?
今の「オレの東京の原点」って。
上京したばかりの、ハングリーだった頃を
思い出したでしょうか。 |
326 |
えー、はい、なんとなく。
自分で言い出したんですけど、
思った以上に、いろいろ思い出しました。
4年しかたってないけど、
とっても懐かしかったです。 |
部員B |
じゃあ、ここで、締めと言うことで、
最後にキメのひとことをお願いします。 |
326 |
キメのひとことですか、そうだなー、これかな? 「ハングリーな20才のオレに、アディオス!」
|
部員AB |
なんか、それって、どっか間違ってないですか。
|