年末年始スーパーカスタム企画。
留守番番長、
「ほぼ日」を乗っ取る!

柳瀬博一番長、その後


ほぼ日読者の皆さま、
1月4日、たった一日イトイ経済新聞の臨時編集長、
留守番番頭(番長という器ではないです、やっぱり)を
務めさせていただきましたヤナセヒロイチでございます。

まずはご挨拶と御礼を。
山形浩生さま、年末の忙しい時期に
長時間インタビューありがとうございました。
永野健二さま、正月早々、
編集長仕事を手伝っていただきありがとうございました。
谷島宣之さま、みごとな
ボケ・ツッコミの利いた原稿ありがとうございました。
すずきちさま、困ったときはこれからも助けてください。
ミスター・メリー木村、
キミがいなかったら「経済新聞」、発行できませんでした。

そしてほぼ日読者のみなさま、
正月からいきなりカタ〜イ「経済話」に
つき合わせてあいすいませんでした。
なにより読んでいただいてありがとうございました。
おっと忘れてはなりません。
アッキイさま、奥さま、
赤ちゃん誕生おめでとうございます。
あ、Darlingさま、
すっかりお休みいただけましたでしょうか?
 
それにしても、ヒラ編集者仕事一筋の小生としましては、
いきなり番長とか編集長とか
「長」の仕事はしんどかったです。
なんか普段の仕事と比較してしまうんですよね。
肩に力がはいっちゃう、というか。
でも、ホームページの編集長は面白いです。
原稿入稿、ほんとにギリギリでオッケーだし、
いきなり読者から反応が返ってくるし。
(当たり前、ですか……)

今回の「経済新聞やろう」というのは
土壇場のその場しのぎアイデアだったんですけど、
隠れテーマのひとつが
「社会の理系化が進行してるぞ」
という話を一度どこかでしておきたかった、
ということでした。

会社の大先輩にして日本有数の「理系記者」、
谷島さんにそのお話をしていただいたわけなんですが、
こうした「見立て」をメディアの外側の方たちや
当事者の方たちがどう思うか、すごく知りたかった。
そうしたら思った以上に反応があったんです。
なんかうまくいえないですが、
新年から「いい手ごたえ」をいただきました。
たとえば――







 ほぼにちわ。
 『動かないコンピュータ』の
 谷島さんのインタビューが読めて嬉しかったです。
 ITProは僕の愛読サイトで、
 なかでも谷島さんのコラムは
 「数億円をかけてマニュアルを作る」
 (作りたいのはシステムなんだけど、
  業務分析のコンサルタント料に
  高額をはらってしまいシステムが作れなくなった事例)
 とか切り口が斬新で、経営者たちの
 コンピュータアレルギーを斬っていくんですね。

 つまりは
 「どこにお金を使うべきかよく考えよう」
 という事なんです。
 高い安いだけで「ハードやソフトの性能」
 の対価を比較しようとしない事例は
 周りでもよく目にしますもん。
 ……って、仕事が取れなかった負け惜しみかも(汗?)

 今後、市町村合併が進んで
 (実は僕もそういう現場にいるのですが)、
 メインコンピュータが違うメーカの自治体が合併すると、
 普通はどちらかが「負ける」わけです。
 うまくやって複数のメーカが取ると
 「いずれミズホ市」が出てくるだろうと
 言うのがもっぱらの噂。
 そして、いまは僕らのやってる自治体は
 まさに2社が入ってしまった。
 なのでミズホ市にならないよう
 必死にやっているのですが、
 まっさきになってしまうかも……。
 そうなってしまったら是非にも
 「斬って」ください、お願いします。






この方、なんと、ほぼ日と
日経BP社のコンピュータ系専門サイトITProを
同時に愛読されているかなりディープなお方。
しかも、かなりの「谷島ファン」。
ほぼ日読者は実は「隠れ理系」が多いのでは、
とにらんではいたのですが、
まさかここまでディープな方がいらっしゃるとは。
それから、ほぼ日が「国際紙」であることを
象徴するように、
ニューヨークのキャリアウーマンのかたからもお便りが。







 すべての記事がとても面白く読み応えありました。
 頷いたり首をひねったり、
 刺激してくれるコンテンツでした。
 私は今ニューヨークで日系銀行(みずほではないですが)
 に勤めており、合併に伴う
 システム統合にも若干関わりました。
 その時のシステム部の方達の苦労は、
 普段もハードワークですが、
 何度も徹夜作業があったりの相当なものでした。
 海外支店でこうですから日本の本部は想像を絶します。






そうそう、
現場の理系社員の現状に対するレポートもいただきました。







 痛快なインタヴィー記事嬉しく拝読しました。
 羽織ゴロのマスメディア、
 職人の良心につけ込んで過酷に働かす製造業界……
 田中さんが全く何の前触れもなく
 ノーベル賞を受賞したのが、
 日本における理系人間を取り巻く環境度合を
 表しているのではないでしょうか?
 私は理系の勉強をしましたが、長らく、
 部品調達を生業にして来た文系人間です。
 海外駐在もやってきて分かってきたことですが、
 理系人間の反乱(自立)は、既に始まってます。
 海外駐在したまま、他所に転職したりして
 帰って来ない人が増えているようです。
 多少の収入ダウンでもです。
 特にアジア地域ではそれ相応の敬意をはらわれますから、
 アイデンティティを認識する良い機会にもなるわけです。

 私なりに理系と文系の
 日本企業内での役割を申し上げると、
 「理系の人が稼ぎ
  文系の人が夜な夜な浪費する」。
 今、生き延びている企業はそうして来なかった会社で、
 前途を危ぶまれている会社はそうして来た会社
 (自業自得ですが)との認識でいます。






こういうご意見、実に勉強になります。
それから、永野さんのインタビューに対して
「どこでも経営が必要なんだ」
という公務員の方のメールが新鮮でした。
ちょっと長いけど掲載しますね。







 永野さんとの経済ってどんなことを言うのだろう?
 っていう会談、面白かったです。
 私は「経済」と畑違いのところにいるのだと思ってた。
 ある意味ではあってるんだけど(公務員)
 病院や学校の経営など
 あらゆるものがマネジメントであるという
 言葉を聞いて「なるほど」と。
 経済って、自分の好きな視点で追っていけば
 かなり奥深く、面白いんだろうなって思いました。

 私のすんでいるところは、
 炭鉱で一時的に栄えたのですが、
 今は働く場所もなく、人もいなくなり
 生活保護を貰っている人の割合も、とても高いのです。

 それで、小手先の目新しい事をやってるのですが。
 例えば「花いっぱい運動」とか
 「クリーン大作戦」(ボランティア)
 でも、これって客観的にみると
 目的意識と労働のつりあいのバランスは
 市民にとっては、悪いものなんだと思うんです。
 心の豊かさのないボランティアなんて、ウソっぱちです。

 他にも老朽化の進んだプールを今年、改修したのですが。
 市民は年中入れる屋根つきを!と願っていたのですが
 議員さんに屋根つきのスイミングを経営してる人がいて、
 その人の承諾がないため、屋根なしのプールになったと
 もっぱら噂されていますし、
 以前は50円だったのが500円とかになり、
 東京の親戚は「やすーい!」と感激してたけど、
 この市民の生活水準を考えると、ウソみたいな金額です。

 年末に、
 アッとランダムに選んだ人から市についてのアンケートを
 とってました。
 私は、人が行きたくなる場所、
 人が憩いたくなる場所はどんなだろう?
 と考えたら、「名物」「名所」でした。
 名物はあったのですが、
 「黒ダイヤ(石炭のこと)」という羊羹を
 作ってる工場ですがつぶれました。
 美味しかったのでショックだったのですが、
 そのときは人口が少なくなったから……と
 かなしい気持ちでした。
 でももしかしたら、
 これはバブルの崩壊と似たような現象で
 そこに「経営倫理」がたりなかったのではないのか?
 と今日の対談を読んでいて思いました。

 「名所」は、温泉かな?と思いました。

 石炭が取れる地域は、土壌があまりよくないし、
 水がいいというわけでもないし、
 地理的にも恵まれていないし
 おまけに穴ぼこだらけで「地盤沈下」しまくりなんです。
 今は全部潰したのですが
 「湿地帯」とか普通に、そこらにありました。
 近場には豆腐の名産地や
 焼き物の名産地や温泉があるんだけど
 私たちの市の土壌では難しいようです。
 でも、
 「難しい」=「不可能」では無いと思うんですけど。

 娯楽施設でもいいし、
 何か人が集まるものをひとつ、
 作る事が大事だと思うのです。

 そして仕事。
 鉱害復旧工事を国の補助で行えるために、この市には
 びっくりするぐらい工務店が多いのですが
 工場などはその不景気と交通の不便さからどんどん
 引き上げて行ってます。
 つまり、未来的ではないですよね。
 永久に建物を作りつづけることなんて不可能だし、
 安定して働く場所もなくなっえるし。
 やっぱ「意識の高い農業」かな?
 これからはとかも思ったり。

 こうやって書くと未来が見えてこないのですが、
 こんな市は、うちだけではないだろうし。
 運輸システム改善のためのバイバスが欲しいのも、
 うちだけではないだろうし。

 今、私の市は例えるなら
 過労でダウンしてるのに、何の処置も施さず
 どんどん他の合併症を生み出してる、という感じです。

 永野さんが言われた日本の未来を変えていける人物が
 いたらな・・・なんて思います。
 結局は「人物」なんですよね。
 お金、どんなにあっても、
 倫理的に使えないとお先真っ暗だもん。
 糸井さんとか、ある意味すごい事をやってて、
 本当、いいお手本はたくさんあるから
 もっと真剣に取り組んで欲しいと思います。






……こうした生のご意見は、
小生のような単行本の編集をしていると
なかなか接することは出来ません。
公務員の立場でのリアルな悩みが伝わってきます。
なまじのレポートよりもはるかに胸にずしんときます。

なんか、とりとめがなくなっちゃいましたが、
「留守番番長」、ほんとに非常に
有意義な経験をさせていただきました。
年末引き受けたときは、あまりの重圧に
(……受けるんじゃなかった)と悩んだものですが、
いまは、
(次に留守番番長システム始動の際は、
 押しかけ番長やってしまおう)
などと不遜な考えを……。
というわけで、またお会いできたら。

最後にお願い。
みなさん、本、読んでくださいね。
アディオス。

2003-01-15- WED

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